11 泣いたら腹が減るものだ
サリーのお腹空かない?発言により矛先が突然アンに向いた。
「アンちゃん、さっきのランチ余ってなあい?なんだか急いで食べちゃったから、食べた感じがしないのよね〜えへ〜!アーサーはどう?」
「僕もお腹ペコペコです!」
…あんたはいつもすぐにペコペコで何か食べたがるじゃないのよさ!アーサーでも宏樹でも変わんねぇな!!!と心で呟きながら
「ありますよ。もともとみんなおかわりするだろうと思ってましたし、なんならお持ち帰り用にと思っていたんですが…無くなってもよろしくて?サリーおばさま」
「え!?そうだったの?あらやだ、どうしようかしら…」
「母上、僕は毎日アンさんのところに来てるので、また明日アンさんと一緒に作って僕持って帰ってきますから!ただ、材料費はうちから出したいんです。いつもアンさんに準備させるのも悪いので」
アーサー、アンさんとあんさんと紛らわしいからアンちゃんと呼ぶと言ってたけど、リアルで羽奈さんと呼んでるため、どうしてもアンさん呼びになってしまうので、もう諦めてるアン。
「勿論よ〜!そのくらいどんどん使って〜!」
「いや、サリーそんなことしなくても、うちも余裕があるから全くその心配は…」
「マリラ、私も将来の娘に何かしたいのよ。アンちゃんがあまり強くない身体で一生懸命に頑張ることに応援したいの。それに私達の分までいつも作るだけで大変だと思うから、手間賃やありがとうの気持ちとしてアーサー共々使って欲しいの。」
「そういうことなら…でも、他にも色々事あるごとにだからなんだか悪いわ。」
「それを言うならアーサーにもしょっちゅう色々してくれてるじゃない!」
ウフフ♪と上品に笑い合う母二人は置いておいて、アンとアーサーはアンのキッチンに行き、盛り付けを始めた。
炊き込みご飯をそのまま出してもいいが、なんとなく泣きはらした後は、おにぎりを食べるほうが合ってる気がしたので、ラップを使いおにぎりを作った。
この世界にはラップはなかったのだが、アンの父親のマシュウとアーサーの父親のギルバートの共同開発の新素材としてラップが誕生した。まだ試用段階のため、両家と家臣の家にだけ使ってもらってる。
そのラップでおにぎりを作り、具沢山味噌汁を温めなおし、酢の物はハードルが高いと思ったので、黒豆とその三つを出した。
最初は貴族が手掴みなんて…とロッテは遠慮していたが、
憧れのお姉様方が「これこれ!ラップのおかげで手が汚れないし、このおにぎりは何故か手掴みで食べるほうが美味しいのよ〜!」と恍惚の表情で具沢山味噌汁なるものも飲んでは、
「は〜!美味しいし癒される〜!アンちゃん、うちのシェフにも教えてくれる?」
「勿論です〜!そのうち私が作らなくても良くなって楽チンになりたいです〜」
「お母さんはアンの作るご飯を食べたいわ」
「え〜!?面倒だけどキッチン作ってくれたからな〜倒れない程度に頑張るよ〜」
「アンさん、これ、炊き込みご飯と味噌汁と黒豆まだある?」
とこの光景にやはりロッテは真似てみることにした。
「な、な、な!なんですか!?この美味しさは!クララと同じ7歳だなんて、信じられない!絶品です!」と驚愕のロッテ。
「クララもこれ好きー!アン様素晴らしいです!すごく美味しいです!」
すっかり普通の7歳の女の子になったクララ。
そして、こっちの世界で言うところのシャインマスカットをデザートに出したアンはクララに言った。
「クララ様、涙は止まりましたね。泣いたらお腹が空くから余計に美味しかったんじゃないですか?」
「そういえば…。ペコペコだとよりお食事が美味しく感じるのね。」
「そうですね、空腹は最高の調味料とか言ってるシェフもいるそうですし。あと、この緑の大きな葡萄は皮も食べられるので剥かずに召し上がって見てください」
「!?ホントだ!美味しい!すっごく甘くてさっぱりもしてすっごく美味しいです!」
「…クララ様、そのマスカットはリナ様の領地の特産物なんです。」
「え!?」
「我々が食べる食物は全て田舎と呼ばれる王都の外で作られています。そこの方々が汗水流して懸命に育ててくださるおかげで、我々は毎日食べることが出来ているんですよ。」
「そうなのですか…。知りませんでした。」




