横道の先には
毎朝、7時に起きて歯を磨いて外に出る
毎朝、7時10分のバスにのったら、音楽を2曲聴く
毎朝、バス停から会社まで5分歩く
毎朝、毎朝、毎朝、、、
バス停から会社までの距離は数百メートル
その途中に山へと続く横道がある
私はその道の前を通るたびに、その先を妄想する
奥に行くと神社があるかもしれない
きっと不思議な少女がたたずんでいる
それか、永遠の夕方に続く世界があって
晩御飯の匂いがする家があるかもしれない
そんな妄想を繰り返して歩いていく
大事な会議前で緊張してる時も
失敗して落ち込んでいる時も
どんな時も、横道の先が私の心を支えてくれていた
目に見える形で逃げ場所があるというのは、大きな安心感を与えてくれていた
ある日、ついに私は絶えきれなくなった
家に帰る事も寝ることも、全てができなくなった
理由は分からない
ただ、色んな思考が頭をぐるぐると回っては消えていき
不安や怒り、悲しみが波のように襲ってきたのだ
私は横道へと走っていった
大丈夫、大丈夫、大丈夫
そんな言葉を吐きながら、横道へと走る
あそこへ向かえば大丈夫
全てが元通りになる
息を切らし、汗を流し、大きく腕を振って
横道が見え始めると、不安が消えていくのを感じた
まるで、迷子のときに母親を見つけたときのような感覚
縋るように横道へと入って行く
奥に、奥に、奥に
息を切らし、裾を濡らし、奥へと進んでいく
奥に、奥に、、奥に、、、、
奥に、、、、、、、
いつまで歩いても木々が続く
永遠の夕日も朽ち果てた神社も出てこない
例えそれらが妄想でも、何かはあるはずだ
何かなくてはいけないんだ
だったらは私は何のために生きてきたんだ
ここに、救いがなければ私の人生は意味がない
どうして、、、
何もないんだ、、、
嫌だ!嫌だ!嫌だ!
子供のように駄々をこねる
今までの不満をぶちまける
君のためを口癖に仕事を押し付ける先輩
嫌いな社員の嫌味を聞かせてくる上司
そして、それをヘラヘラ笑って誤魔化している自分
全部クソだ!何もかもがクソだ!俺は何のために生きているんだ!
全ての感情を喉が枯れるまで叫ぶ
泥だらけなりながら、体を使って気持ちを表現する
初めて素直になれた気がした
私の全ては森の中に消えていった
空っぽになった私の感情
大の字になって夜空を見上げる
綺麗な星空を眺めて目を閉じる
何もなかった私の心に
家に帰ろうという気持ちが浮かんでくる
お風呂に入ろう、ゲームをしよう、映画を見よう、どこか旅行に行こう
色んなやりたい事が浮かんでは消えて、また浮かんでくる
まるで遠足前の様な気持ち
明日に希望を抱く感覚
まずは実家に帰ろう
私の口から言葉が溢れる
会社なんて転職すれば良い
今はとにかく父と母と一緒にご飯が食べたい




