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23 レフリアとの因縁?

「そろそろ二階層か?」


「どうかしらね。今はこの辺りだから」


 レフリアは、一枚の小さな紙を取り出し指を差していた。

 覗き込んでみると、周辺の地形が表示されている地図のような物だった。

 索敵に意識を傾けると、書かれているものはピッタリと合う。


 というか、何でそんな物持っているんだ?


「ちょっとまて、何で地図があるんだ?」


「いや、逆に何で持ってないの? ダンジョンに入る時に貰っているでしょ?」


 そんな当たり前のように言われてもだな……俺にはそんな話は一言もなかったよ? 帰還アイテムもないのに、そんな画期的なアイテムも無しに一人だが?

 あの教師は殺しても罪に問われないよな?


「やれやれ、全く話すら聞いてない。それはもしかして、パーティー用とか言わないよな? 一人だったらくれないとでも言うのか?」


「リーダーが集められた時に……貰ったのだけど、アンタよく帰ってこられてたわね」


 ゲームだと当たり前のようにオートマッピング機能があった。

 子供の頃は何処に居るのかが分からなくて、必死で今の索敵魔法を完成したんだぞ。

 地図のように周辺の通路や魔力の反応が分かるから気にしていなかったけど……そうか、地図があったから他の生徒たちは移動できていたのか。


 俺の扱いって本当に不遇すぎないか? 

 デブは生き残る価値すら無いのか?


「今更、あの教師を殺した所で意味はないか。今はレフリアが持っている地図があるんだし。しかし、これは一階層だけなのか? 他のダンジョンでも使えるのか?」


「さらっと物騒なことを口走ったわね。残念なことに、これはここダンジョン専用よ。あと、二階層に行ったら地図も変化するらしいわよ」


「へー、便利なんだね」


「他で使えないのならゴミだな……」


「は?」


 だったら、他のダンジョンも同じようにあるのか?

 マッピング機能から考えて、あると思ったほうがいいだろう。どう見ても俺には必要性を感じない。

 学生たちには必要なもの、だけど一体いくらの値がするのだろうか?

 というよりも、こんなのがあるのなら帰還アイテムが何で無いんだよ。


 ゲームの知識があっても、所々に差異が出始めている。

 オートマッピングがあるから地図なんて無かったし、帰ろうと思えばアイテムですぐに戻れる。

 しかし、地図はあっても歩いて帰らないといけない。この世界は過酷すぎるだろう……こんな所を鬼畜仕様にするなよ。


「言い忘れていたけど、今後ダンジョン内での喧嘩はダメよ。さっきはあの程度だったけど、二人共覚えているわよね? ここでどんな体験をしたかを」


「はい、申し訳ございません」


「すみませんでした。以後気をつけます」


 レフリアの言葉に二人は素直に謝罪をしていた。

 なんだかんだでリーダーとして上手くやれるんじゃないのか?


「レフリアが言うのも尤もだ。少しは反省しろ」


「アンタが一番の元凶なんだからね? 次やったらグーで殴るからね」


 せっかく褒めていたのに、何でもかんでも俺が悪いということにしていないか?

 俺は全然騒いでもないし、それにさっきのビンタだって意味がわからん。

 どう考えても悪いのはこの二人だ。


「と、とりあえず、拳を下ろしてくれるとありがたいと思うところ……です」


「はあ。アンタは二人のことを頼んだわよ」


 レフリアには入学当初から随分と嫌われたものだ。

 ハルトも何でこんなお嬢様がいいんだか……「どう見てもただの暴力女だろ」


「あ、アレス……まってまって、リア。きっと口が滑っただけだから」

「なおのこと悪いでしょうが!」


 よく分からないが、またしても左頬が痛い。お前がさっき言っていたよな、ダンジョンで喧嘩をするなって。俺は何もしていないのに、何故殴られた?

 ミーア達にも注意され、慰めてくれる様子もなかった。一体、俺が何をしたと言うんだよ!


「とりあえず、二階層の手前で一度休憩でもするか」


「ええ、私もそう思っていたわ」


「そうだね。疲れたまま向かうよりもそれがいいね」


「ほら、二人共行くぞ」


 二階層へ続く入口の前に、何人もの生徒が俺達と同じ目的なのか休憩をしていた。

 かなりの人数がいるにも関わらず、休憩はしているものの数人は怪我をしたままのようだ。

 休憩をしているのに、ポーションなどを使って回復をしないまま休んでどうするつもりなんだ?


 一人だけ、綺麗な格好をしているご令嬢がいる。座ることで汚れるのを気にしているのか、一人だけ立っていた。

 俺たちが到着すると、そのご令嬢が俺達の所へやってきた。


「これはこれは、レフリア様じゃないですか。どう順調かしら?」


「ロンダリア様もいらしたのですね。順調かどうか分かりません」


 ご令嬢は俺を見ると、右手で口元を隠していた。

 レフリアは頭を下げたまま、顔を上げることもなく低姿勢をしている。

 知り合いのようだが……良い関係という訳でもなさそうだな。


「それもそうですわね。それにしても、あのような豚もご一緒なんですか?」


 こういう煽りも久しぶりだな……はい、落ち着けお前ら。

 二人の腕を掴むも、振りほどこうとするので、ガッチリと指を絡めるとようやく二人は思い留まってくれたようだ。


 あの様子からして、ロンダリアも特待生だったか? もしかして、あんな奴がリーダーなのか?

 あれだとレフリアのほうがまだましだよな。仲が悪そうだし、いかにも悪役令嬢の雰囲気だな。

 休憩をしている大半の生徒は見覚えがない。教室が違うのなら、殆どがAクラスということなんだろう。特待生であることを理由にこき使っているのか? もしそうならラティファといい勝負をしているのかもしれないなこいつは。


「ああ見えて、彼はなかなか優秀ですよ」


「あっははは。優秀ですって? ふふふっ、レフリア様のことをわたくしはとんだ思い違いをしておりましたわ。ハルト様。もしそちらのパーティーがご不満でしたら、いつでもお待ちしておりますわ」


「僕はそんなこと思っていないよ。皆頼もしいからね」


「そうですか……わたくしはいつでもよろしいですわよ」


 レフリアはあまり関わりたくないみたいだな。

 ハルトのあの誘い方からして、そういうことなんだろうけど……俺がとやかく言える問題でもないな。


「それに僕の仲間たちのことを悪く言わないで欲しいな」


「残念ですこと」


「くっ……」


 ハルトの肩にそっと触れてから、残っていた学生も含めて二階層へと降りて行った。

 あのレフリアが耐えているのに、俺がどうこう言った所であの手の類は、話なんて聞くはずもない。

 とりあえず手を離して……二人共何をぼーっとしているんだ?

 まあいいや、離れないように二人の手を繋げてっと。何なんだこの二人は?


「悪かったな。俺が居たばかりに」


「気にしていないわ。私なんかより……アンタの指示は的確だし。私が弱いのも間違ってもいないわ」


 ハルトも困った顔をしているが……お前の婚約者が、今はまだ違うか……いい加減鬱陶しいから、もう少しかまってやれよ。

 今の会話がお前たちのイベントは知らないが、さっさと付き合えばいいだろう。

 こんな物を見ているこっちの身にもなれよ。


「ハルト。レフリアを頼んだぞ。少し落ち着かせろ、このまんまじゃ危険だぞ?」


「だけど僕は……」


「お前、レフリアをどう思っているんだ? 幼馴染とは聞いたけどそれだけなのか?」


「君がそれを言う? でも、そうだね。少し話をしてくるよ」


 あの女は、レフリアのライバルキャラなのか?

 見たことも、名前すら覚えがない。もしかすると、ゲームにいない人間か……俺はミーアだけしかクリアをしていないし、バッドエンドだったがダンジョン攻略以外の内容はあまり覚えていないんだよな。

 レフリアも一応はヒロインなのに……不遇な扱いをされていたんだな。

 今は、ハルトに任せるしか無いよな。


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