29 大団円4
「では、続けて私からお話しさせていただき
ますが、今からお話しする内容はあまりにも
重要ではありますが、その分現実味のないお
話になります。
先ほど、解読した本のお話をしましたが、
持ち帰ることはできませんでしたので、当然
お見せすることもできません。但し、神父も
お越しになったことを傍証とすることはでき
るでしょう。」
「我を話のダシにするのではないわ。」
「申し訳ありません、ただ、この話に信ぴょ
う性を持たすにはお力をお借りするしかあり
ませんのでご容赦ください。」
「判っておる。続けろ。」
「はい。その解読した名前すら付けられてい
ない本には、先ほども言いましたが宇宙の始
まりから終わりまでが記載されていました。
というか、記載されていると思われる、とい
う程度でしょうか。正直なところ、僕にもよ
く判らない、という感じです。
ただ、その中に気になる記述を見つけたの
でした。それはこんな感じでかかれていまし
た。」
『智慧を持った生物が蔓延る星に、あるとき
生を受ける者あり。その者、すべての理を無
に帰すこと出来うる者なり。』
「それはどういう意味なんだろうか?」
「僕とマークさんで色々と前後の文章も含め
て検証してみたのですが、結局結論付けたの
はこういうことです。」
『地球の人間の一人が宇宙全体を滅ぼすこと
が出来る。』
「そんな。」
「これは途中まで手伝ってくれたアルケタイ
プのロングウットさんも同じ意見でした。そ
して彼(彼女)は自分たちの種族は別次元に
非難する、と言い残して去って行かれました。
別次元だからと言って安全だとは到底言えな
いだろうが、とも仰っていました。
その部分を解読していた時に、僕やマーク
さんのイメージの中にある少女のプロフィー
ルが浮かんできたのです。二人で照らし合わ
せると全く同じ少女のようでした。その少女
を特定する作業を彼らに手伝ってもらった、
という話の流れになります。内情や公安には
マークさんからリークしていただきました。
そうして皆さんは彼女を見つけ出し保護し
ていただけた、ということです。」
「それぞれが独自の方法で彼女を特定し確保
しようとして今に至る、ってことか。彼女の
名前は彩木瞳。私立光翔高校の1年生、そん
なに重要な少女とは到底思えない普通の子だ
ぜ?」
「そうですね、彼女は超能力者でも何でもあ
りません。ただ、彼女は『始まりの少女』な
のです。」