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25 終わりの少年6

「もう人間の登場の仕方じゃないな。」


「久しぶりだね、遠藤君。君には感謝してい

る。彼女を捜しあてて、尚且つここまでは無

事でいさせてくれて。」


「なんか、どうも彼女に危害を加えようとす

る輩はいないようだぜ。みんな拐かす気満々

だがな。」


「まあ、結果として彼女が無事であればそれ

でいいよ。あれ、桜井亮太君がいないようだ

が。」


「なんだ、あんた亮太も知っているのか?」


「彼の身柄は君の仲間なんだから問題ないと

思って安心していたんだが。」


「それが、彼女の部屋を張らせていた時に、

同じよう張っていた反社の方に角材で殴られ

て意識不明の状態だったんだ。ところが意識

が戻ったとたん病院から消えたんだよ。」


「そいつは悪かったな、ここにいる神林の手

下の仕業らしい。」


 遠藤と火野の会話に榊原が割って入って来

た。


「ところで炎のあんちゃんは、どこの誰なん

だい?」


「僕は火野将兵といいます。ただの一般人で

すよ。」


「ただま一般人は炎をまとって現れたりしな

いと思うがね。西園寺さん、あんた知り合い

か?」


「いや、面識はない。ただ、今の現れ方から

すると最近各地で火の民の街を襲って鏖にし

ている犯人、ってとこかな。」


「それは穏やかじゃないね、あんた、そんな

人なのかい?」


 遠藤もその辺りは知らなかったようで、驚

いている。


「まあ、一つの見方ではありますが、僕には

僕の言い分もありますよ。でも、今はそんな

ことより、彼女なんじゃないですか?」


「そりゃそうだ、このお方も俺に彼女を捜す

ように依頼しておきながら、その理由を一切

言わない、ってんだから、俺も舐められたも

んだよな。」


「榊原、それはお前が納得したんじゃないか。」


「おいおい、口調が学生時代に戻ってるぞ、

いいのかお役所仕事のお前と俺がダチみたい

な関係に見えて。」


「あっ、それは、まあ、あれだ、いいから話

を進めてくれ。私より火野君の方が詳しそう

だから、いいですよね、早瀬さん!」


 公安五課の西園寺は隠れている内閣情報室

早瀬課長に聞こえるように言った。


「なんだ、だれか隠れてるのか。」


「バレてるんですから、出てきてください、

早瀬課長と本山君かな。」


 倉庫の奥の大きな棚の影から二人、早瀬と

本山が仕方なしに出てきた。


「久しぶりだな、西園寺。まあ、バレてると

は思っていたが、出てこいと言われるとは想

定外だ。」


「あなたがここに皆を集めたんですよね、早

瀬課長。そして場を混乱させて彼女を連れ去

る、とか、あなたの考えそうなことです。」


「おっ、傾向の予習はばっちりだな、成長し

たな、西園寺。」


「あなたの部下だったのはもう5年も前の話

です。あれから私も色々と経験を積みました

から。」


「それで、いったい誰がこの場を仕切るんだ

い?たくさん居すぎて収拾が付かないだろう

に。どうだ、ここは一旦私に任せてお開きっ

てことに、」


「するわけないでしょ。」


「だよな。」


 肝心の彩木瞳は忘れられているのか、誰も

気にされていなかったので、自由に動けそう

だった。瞳がそのことに気が付いてひそかに

闇に紛れようとしたときだった。


「僕たちもまぜてもらわないと。関係者、で

はあると思うんだ。」


 遠藤たちとは別で向かっていた七野修太郎

たち4人と1匹(?)だった。少し遅れて着

いたのだ。


(おいらもいるよ)


「もう、ヴルは黙ってて、ややこしくなるん

だから。」


「今のは、まさか、ヴルトゥームなのか?」


 一人、火野将兵が反応した。火野の知識は

セラエノ大図書館で飛躍的に上がっている。


「そうだよ、ヴルは私たちのペットなの。」


(ペットはこの子たちさ、おいらはご主人様

って訳。)


「いいの?、修太郎がアザトースに言いつけ

るわよ。」


(それは、、、、マズいよ。)


「だったら、黙ってて、ほんとややこしくな

るんだから。」


「理恵、あまりヴルをいじめるな。僕はアザ

トースにいい付けたいしない。あいつは僕の

目を使ってみているだけだ。」


「そうよ、理恵。ヴルもいい子にしていてね。」


 ヴルトゥームは大人しくすることにした。

どうもちゃかせる雰囲気ではないからだ。


「ヴルトゥームをペットにしている、なんて

おかしな人達ですね、君たちも彼女を?」


「そうよ、私たちも彼女を捜しだして保護す

るように言われて、そのときそこの子たちと

も知り合ったわ。」


 斎藤理恵は遠藤修平を指さして言った。


「それと、そこに転がっている人達にも会っ

たわ。なんだか、みんな集まってるのね。」


「わかった、わかった。そもそも君たちをこ

こに集めたのは私だ。」


「あっ、あなたにも会った。」


「そうだ。だからここに呼んだんだ。で、誰

が仕切るんだ?とりあえず、火野君の話でも

聞くか?」


 場は混沌としてきた。瞳は逃げるタイミン

グを失っていた。















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