22 終わりの少年3
今回は少し暴力的な場面がでてきます。飛
ばしても話は繋がるようになっていますので
苦手な方は飛ばしてお読みください。
「おい、卓司、やれ。」
「へい兄貴。」
「何だ、何をしようと言うんだ。」
チンピラの一人が何かを持って櫻井翔太に
近づいた。
「やめて、何も酷いことはしないで。」
卓司と呼ばれたチンピラはペンチを持って
いた。徐に翔太の小指をペンチでつかむ。
「ぎゃぁ~~」
「まずは1本だ。」
卓司は翔太の小指を本来はあり得ない方向
に曲げた。
「切り落とすと、もう取り返しがつかなくな
るぞ。1本1本折ってやる。全部折ったら、
後は切り落とすだけだな。最近は俺たちの間
でも指なんて詰めないから、こいつらも実物
は見たことないんだ、見本を見せてやってく
れよ、それとも話してくれるか?」
「だっ、だから何も知らないって言ってるだ
ろう。」
彩木瞳は、もう青ざめるだけで悲鳴もあげ
なくなっている。
「だったらどうだ、俺に情報をくれそうな者
を紹介してくれよ。それならできるんじゃな
いのか?」
「俺が頼まれた人も誰かに頼まれただけで理
由は聞いてない。その人も知らないんじゃな
いかな。」
「呼べ。」
「えっ?」
「そいつを呼べって言ってんだよ。」
「でも。」
「でももくそもねぇ。直ぐにここに呼べって
言ってるんだ。呼ばないと次だやれ。」
卓司がまた次を折る。
「ぎゃぁ~。」
「ほんと止めて!」
神林は3本目を折るように命じる。
「君も、早くその人を呼んだら?その人のせ
いでこんなことになっているんだから、責任
を取らせなさいよ。」
「うっううっ。」
翔太は痛みで話が出来ないようだ。
「早瀬課長、このまま見ているだけでいいん
ですか?」
「いいんだ。そろそろ公安を連れて関東弘心
会の榊原が来ることだ。」
「ああ、さっき連絡していたのは。」
「そうだ。匿名で情報をながしてやった。あ
と、あの大学生たちにも同じ情報を流してや
ったから、ちょうどここで出くわすだろう。
やつらがきたら、混乱に乗じて彼女を連れだ
すぞ、いいな。」
「わかりました。」
様々な思惑、人間が交差する。