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12 始まりの少女

「なんで私がこんな目に合わなくちゃいけな

いのよ。」


 彩木瞳はあまりにも急に起こった理不尽な

多くの出来事に苛立っていた。ただの普通の

女子高生のはずだ。大の大人に追い掛け回さ

れる筋合いはない。反社らしき男たちやチャ

ラい大学生風の男女。自分と同年代の高校生

らしき数人も居た。皆知らない顔だった。


 つい数日前のことだ。駅から自宅に戻るた

めに夕方の公園を横切ろうと歩いていると後

ろから声をかけられた。


「あの、ちょっといいですか?」


 大学生風の男女だった。男女だったのであ

まり警戒していなかったのは仕方ないと思う

が男の方が少し頼りなさそうに見えたので危

険は感じなかった。


「はい、なんでしょうか?」


「私は君塚理恵、こっちは紀藤健、どちらも

帝都大学の2年生よ。」


「そうですか。そのお二人が何か私に用です

か?」


「それがよく判んないのよ。」


「どういうことですか?そちらから声をかけ

られたのに、そちらがよく判らないなんて、

揶揄っているんですか?」


「そうじゃないんだけど、ほんと、よく判ん

ないんだよね。」


「あのですね、実はあなたを探してほしい、

と依頼を受けて来たんです。」


 横で聞いていた男の方が急に話し出した。


「何よ、私が話すって言ったでしょ、男の

あんたが話すと怖がられても困るから、っ

て。」


「だったら加奈子さんでも一緒に連れてく

ればよかったじゃないですか。僕は最初か

ら反対なんですから。」


「そうは行かないわよ、加奈子と修太郎は

今はそれどころじゃないの、知ってるでし

ょ。」


 二人は喧嘩を始めた。痴話喧嘩にしか見

えない。


「用がなければ帰りますけど。」


「待って、待って。違うの。あ、違わない

の。あなたを探して欲しい、って頼まれて

きたのは本当のことなの。ただ、それをち

ゃんと話そうとするとなかなか難しいこと

になってしまうの。」


「全然分かりません。ちゃんと説明できる

ようになってから来てください。いいえ、

出来ればもう来ないでください。」


 そう言うと瞳は走り去ってしまった。


「だからあんたが口を挟むんじゃない、っ

て言ったでしょ。」


「僕のせいですか?」


「そうよ、当たり前じゃない。仕方ない、

次は加奈子たちも連れて来よう。私たちだ

けじゃ無理だわ。」


 二人はいったん仕切りなおすことにして

その日は戻るのだった。


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