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01 プロローグ

「あっちか。」


「探せっ!、絶対に逃がすな!!」


 言葉だけ聞くと闇の組織かのようだが、声

が若い。まるで少年だ。


「ちくしょう、どこに行きやがった。」


「お前たち、逃がしたらどうなるか、覚悟は

できているんだろうな。」


 リーダー格の少年が威嚇するように叫ぶ。


 誰かを探しているようだが、夜の雨の中、

一度見失ってしまったら、もう探し出すこと

は困難たっだ。日本一の繁華街からは少し外

れているとはいえ、この時間でも開いている

店はある。それでも路地に入り込むと暗くて

隠れる気でいる者を見つけるのは至難の業だ。


「闇雲に探していても埒が明かない。一度戻

るぞ。」


 リーダー格の少年の指示で一度拠点に戻る

ことにした。


 拠点はリーダー格の少年の家だった。少年

の家の駐車場の2階に少年たちが騒ぐためだ

けの部屋があった。親は少年を管理すること

を放棄している。酒もたばこも好き放題だっ

た。ただ、ドラックだけは少年が許さなかっ

た。


「薬に手を出す奴は人間の屑だ。」


 リーダー各の少年の口癖だった。


「遠藤さん、どうします?」


「そうだな。とりあえず家は判っているんだ、

気長に張り込むしかないか。」


「それはいいんですが、そもそもあの女は何

なんです?」


「いや、俺もよくは知らない。ある人からの

依頼で探しているだけだからな。」


「そうなんですか、俺はまた遠藤さんが気が

あるのかと。」


「馬鹿野郎、そんな訳ないだろ。確かにいい

女だったがな。女と言うより美少女か。いず

れにしても俺たちのような半端者からは高根

の花ってやつだ。」


「そうですね、遠藤さんにはもったいない。」


「亮太、何が言いたい?」


「いえいえ、何も。」


「だったら、すぐに張り込みに行け!」


「わかりましたっ。」


 亮太と呼ばれた少年が他に二人ほどを連れ

て出て行った。


「漫才は終わりましたか。」


 少年たちのグループでリーダー格が遠藤と

いう、この部屋の主だったがナンバー2でグ

ループの頭脳がこの結城という少年だった。


「お前も黙ってないで亮太を何とかしろ。」


「私はトリオ漫才をする気はありませんよ。」


「まあいい、ところで結城、お前の叔父さん

は確か新聞記者だったな。」


「そうですが、元、ですよ。今は何だか世界

中を飛び回っているみたいです。変な宗教か

何かに嵌ってしまったと母親がぼやいてまし

た。」


「連絡はとれないか?」


「どうでしょうか。母親ならLINEとかで

繋がっているかも知れませんが。聞いてみた

方がいいですか?}


「頼む。できれば連絡先を教えてもらってく

れ。」


「判りました。重要なことですね。」


「そうだ。」


 遠藤と結城の間では多くの言葉は不要たっ

た。


 遠藤修平は17歳、高校2年生。結城高弥

も同じ高校の同級生だ。桜井亮太は、こちら

も同じ高校だが1年生で二人の後輩だった。


 遠藤の父親は肩書は不動産屋だが、別に職

についているわけではなく、古くからの土地

持ちで様々な貸方で賃貸収入を得て生活して

いる。都内にいくつも貸ビルを持っているの

で会社にして税金対策をしているだけだ。


 父親は自らがアクセクと働く生活をしてい

ないので息子である修平には甘かった。母親

は一年のうち八割を知人と海外で過ごし、修

平の世話は家政婦に任せっきりの女だった。


 但し、修平は親のすねを齧っているだけで

満足している性格ではなかった。どっぷりと

ネットにはまっていた中学時代を過ぎると、

元々体を動かすことも好きだったこともあり

頻繁に学校に通い出し、そこで結城と知り合

ったのだった。


 この物語の序盤は、この二人の青年を追っ

ていくことになる。



 



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