↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
68/74

世界を壊す足音 4

男はヨガライク吉祥寺店に来ていた。


そっと入り口から中の様子を窺う。


受付に誰も座っていなかった。


奥のスタジオでレッスンはやっているようだ。


ここの下見は一度来ている。


やたら爪の長い受付の女に施設の紹介をしてもらった。

 

音を立てないようにドアを開ける。


靴のまま入ると足跡が残りそうなので靴を持って、静かにプライベートレッスン用らしい個室に入った。


部屋の奥には部屋を区切るためのカーテンがあった。


そのカーテンの奥に隠れる。


そこで男は目出し帽を被り、靴を履いた。


リュックからさっき研いだばかりのナイフとスタンガンと痴漢撃退スプレーを取り出す。


このビルの耳鼻科と歯科医院は土曜日だともう営業していない。


多少の悲鳴がビルから漏れようと誰も気にしないだろう。


道で襲うより、このビルの中でやってしまう方が簡単だと気がついた。

 

顔の良い女なんてクソだ。


ちやほやされて調子に乗ってやがる。


人生を楽勝で生きやがって。


俺はこんなに苦労してるって言うのによ。

 

こんな面倒なことになったのもあの女の性格がクソだったからだ。


うちのクリーニング屋に来たとき、顔がもろに好みだったからきっと性格もいいと思ったのが間違いだった。


配達用に書かせていたから電話番号と住所はすぐにわかった。


初めは見ているだけで良かったんだがだんだんとそれじゃあ我慢できなくなった。


だから俺は思い切って家を訪ねた。


あの女はドアを開け切らずにチェーンを掛けて隙間から返事しやがった。


こっちは真剣に愛の告白をしてやってるのによ。


汚いものを見るような目で俺を見やがって。


「やめてください」って俺のラブレターを押し返しやがった。


五時間も掛けて、書いたのに見もしねえ。

 

頭にきたから、ドアの隙間からナイフで一回刺しただけなのに死んだらしい。

 

簡単に死にやがって、そんなに俺を人殺しにしてえのかよ、あの顔だけのクソ女はよ!

 

一週間ぐらい警察がいつ来るか、ビビッてたけど全然平気だった。

 

でも思い出したんだ。


逃げるときにぶつかったんだよ。あの景子って女と。


あいつもうちの店に来る顔の良い女だから住所も知っていた。


あの景子って女は今日あてつけの様に血の付いたワンピースをうちの店に持って来やがった。


俺の顔を確認しに来たんだ。


仕事終わりにでも警察に駆け込むつもりだろう。


そうはさせるかよ、クソが。


それにしても景子に引っ付いているあの男がムカついてしょうがねえ。


あいつに邪魔されなかったら三日前にすべてすんだのによ!


しかも毎日のように一緒に行動してやがる。


あの男が今日もいるならついでに殺してやる。


どうせ一人殺してるんだ。


二人も三人も変わらねえ。


顔の良い女と付き合えるような男も死ねばいいんだ。


外で人が大勢歩いて行く気配がする。


あとは客が帰るのを待てば良い。


客が帰るたびに景子って女が声を掛けているので、外の様子は大体わかる。


とろとろと着替えているやつもいるだろうから、静かになってから五分ほど待った。


左手に痴漢撃退スプレーを持ち、ナイフを持ち替えた。


気配から男は部屋の横のソファーにいるはずだ。


男がいたらスプレーで目を潰してからぶっ殺してやる!


男は考えをまとめると立ち上がった。


やれる。やってやる!


その時、ドアが開いた。


「そこの君。大人しくしなさい」

 

ドアの外には制服の男たちがいた。警察の制服だ。

 

男はあまりのことに口を開けて、警察官を見た。

 


何でここに警察がいるんだ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。