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天間明の一日目 その1

奇妙な目覚めだった。八時間ほど寝ていたはずなのに、寝起きのぼうっとした感覚はなく、頭は冴えている。冴えているにも関わらず、さっきまで自分が何をしていたのか思い出せないのだ。今自分が布団の中にいて、天井を見上げているので寝ていたのだなと気がついた。

時計を見ると朝の八時十二分でおおむねいつもの起きる時間だ。

明は起き上がると頭を振ってみた。まるで忘れていたが、久しぶりに体験して思い出した。これが予知夢を見たときの感覚だ。

頭の中に残っていた予知夢の内容を思い出す。思い出さずとも、胸にかすかな痛みがあった。

断片的なシーンが頭に浮かぶ。

ヨガライク吉祥寺店に張られた臨時休業の紙。

競艇のレース結果が載っている新聞。

見覚えのないカレンダー。

吉祥寺で起きた殺人事件のニュース映像。

そして映し出された被害者の名前、津谷景子。

思い出していくうちに、どんどんと脈が速くなっていく。

このままではケイさんは殺されてしまう。

その事実に明はとても強いショックを覚えた。それとともに自分の中で曖昧だった気持ちが固まっていく。

ああ、俺はケイさんのことが好きなんだな。

明はケイへの自分の思いを誤魔化すことが出来なくなっていた。生きていくのが辛くなるほどの喪失感がそれを物語っている。

ともかく、まだ未来のことでケイは死んでいないのだ。明は気合を入れ、これからどうするべきか考えた。

予知で見たニュースの内容では、ケイは今日の午後九時ごろに自宅マンションの前で刺されるというものだった。予知と言っても実際にケイが襲われているシーンなどが見えるわけではないのだなと、明は思った。犯人などの検討がまるでつかないのでけっこう不便である。

でも犯行現場とおおよその犯行時刻がわかっているのは大きい。これだけの情報があれば十分助けることが出来るはずだ。

ただ犯人の目的がわからないのが不安だった。物取りではないらしいので、一度助かってもまた狙われる可能性がある。

予知が何度も見られるのかわからない。どうすれば予知が見られるのかわかっていないのだ。今回しか予知できないとしたら、今日の午後九時に犯人を捕まえるのが一番良い。

予知と言うことを隠して、警察に不審者がいると言っても、せいぜいパトロールをしてくれるくらいだろう。確実にケイさんを守ろうと思ったら、自分が付いて守るのが一番だ。


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