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第6話『Q.ギルドといえば?』

 ギルドは宿を出て三十分のところにあった。流石にこの大きさなら方向を間違えることもない。故に迷わない! お昼ならね。

 ちなみに地図の道案内に所要時間を書くなら徒歩四十五分と言ったところか……。三十分じゃないのって? やってたスポーツの影響で長距離に慣れてるもんでね。移動時間は人の三分のニから半分で済むのですよ。便利でしょ?


「ここがギルド…………ごめんくださーい」


 中に居た冒険者の人たちがチラチラとこちらを見てくる。なんだ、俺なんか変なことしたか? そー言えばこの世界でごめんくださいは変だったかもしれない。

 みんなに見られて恥ずかしいので小さくなりながら受付カウンターまで歩いた。


「ギルドへようこそ! 学生の方ですか?」


「は……いえ、違います。冒険者登録をしたいのですが」


 元いた世界では学生だったからな。間違えてはいって答えそうになった。どこの学生かとか聞かれたら怪しまれるからな。あ、もしかしてみんながこっち見てるのって学ラン着てるから?


「冒険者登録ですね。ではこちらの書類に必要事項を記入の上、サインをお願いします」


 渡されたのは登録用紙であろう。しかしだ。読めん。こっちに来て気になっていたが、言葉は通じるが文字はそうは行かないようだ。さてどうするかーーよし。聞こう!


「あーの、すみません」


「どーしたにいちゃん学生さんかい?」


「いえ、僕は学生ではないですよ。実は文字が読めないのですが、教えて貰えませんか?」


 俺が声をかけた人はとてもいい人だった。用紙の内容を丁寧に教えてくれると共に、簡単な文字も教えてもらった。

 どうやら日本語のひらがなに近い感じのようだ。原理はよくわからないが、魔力の色? が漢字のような役目を果たしているらしい。『言った』と『行った』では書くときに込める魔力の色が違うそうだ。


「……よし! 書けたぞ!」


 まるで難問を解いたかのように高らかに登録用紙を掲げる。手伝ってくれたお兄さんもにこやかにこちらを見ている。


「ありがとうございました。この歳で文字の読み書きができないないなんて変ですよね」


「そんなことないぞ。村から来た奴は大体読み書きは出来ないな。にいちゃんも村から出て来たんだろ?」


 どうやらこの国では読み書きできない人も当たり前のようにいるらしい。

 良かった。できないのが俺だけじゃなくて。


「はい。ちょっと遠くから来たもので」


「いい結果が出るといいな! 俺はガイ。ガイ・トロックだ」


「天草とおるです」


 お互い自己紹介をして握手を交わす、最後に冒険者同士では、と言うよりこの世界では基本敬語はあまり使わないことを教えてもらった。使う人もいるが、結構珍しいそうだ。

 確かに上品だもんね。元いた世界でも日本語みたいにきっちりしてる国は珍しかったし。次に会った時は冒険者同士! ラフに行こうぜ! って言ってたな。スポーツやってると敬語使うのに慣れちゃうんだよね。直すのに時間かかりそうだなこれは。



 ■■■


「…………はい。確認終わりました。天草とおるさん。十七歳ですね。では魔力検査を致しますので、どうぞこちらまでいらして下さい」


 提出した用紙に不備はなかったようだ。取り敢えず第一難関突破! さてさて、次は魔力検査? そもそも魔力ってどう言ったものなんだろうか。よく『魔素』とか聞くけど、この世界にもそう言ったものがあるのかなーー。

 俺は隣のカウンターへと移動しながらそんなことを考えていた。


「それではまず魔力について基本的なことをお教えいたします」


 おぉ! これは助かる。なんせ無知なもんで。俺オタクなんだけどそっち側の設定疎くて……っていうか、これが知りたくてここに来たんだっけね。俺は集中してその話を聞いた。



 どうやら魔力には超自然的魔力、人為的魔力の二つがあるらしく、つまり自然や空気に溶け込んでいるのがマナ、人の中にあるのがオドと言うことだ。今回検査するのは後者のオドの方。俺の体内にどれだけ魔力があるかと言う試験らしい。そしてこれは俺の予想だが、スマホを充電するためにはマナの雷属性が必要なんだと思う。まぁそれはおいおい分かってくるだろう。取り敢えずは検査に集中せねば。

 俺はギルドの係員が持って来た魔法陣が描かれた大きな魔石に両手を当てた。


「ーーはい。もーいいですよ」


 これで終わりか。案外あっさり終わったな。俺は登録代金を払い、カードを受け取る。


「ではこちらが冒険者カードとなります。裏側にステータスの読み込み口がありますので、そこへご本人の魔力を注ぐことでステータスが表示されます。それでは良い冒険を」


 ヤバイな。ニヤケが止まらないぜ。ついに夢にまで見た冒険者に俺はなったんだ! そして俺の胸は高鳴りをやめない。なぜって?もちろんステータスだ。ステータスが気になって仕方ない。


「裏って言ってたな……これかな?」


 カードの裏には黒い横線が引かれていた。これをなぞって魔力を注げばいいんだな。どれどれ……。

 魔力を注ぐ。つまりオドを流し込めばいいわけだ。さっきの魔石に触れて以降、文字の色の見分けがつくようになったし、魔力の操作もできるようになった。きっと自分の中の魔力に関する何かが目覚めたのだろう。

 カードがひかり、ステータスが浮き上がる。


「ーーこっこれは!!」


 俺はそれを見て驚愕した。驚愕したのだ。


 次回、驚愕しちゃった!

とおるA.「無いよ!剣、無いよ!」ーーそれはキ○トです。

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