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第63話『Q.生物の弱点といえば?』

 さてさて、これで二度目のシャドウウルフちゃんとのジャレ合いだがここでしっかりシャドウウルフの特性についておさらいしておこう。まず気をつける最大の武器は影に潜むという基本能力だ。こちらからは影の中のシャドウウルフに攻撃はできない。他の例えばガイとかだったらできるのかもしれないが、少なくとも俺にはそんなことはできない。そして鋭い爪。あれに攻撃されたらあのテューですらタダでは済まなかった。

 そんな危険な刃物を持ち合わせながらも俺はもっと気をつけなければならないことがある。それは影の収縮を利用した突進攻撃だ。影を二次元に伸ばす方法と地面に向かって三次元に伸ばす二種類があり、おそらく容量的に三次元の方は連発はできないだろうがそれにしても厄介だ。常に影の収縮を気にしながら間合いをとらなければならない。

 もちろん鋭い牙にも注意が必要だ。そんな危険しか無い相手にどうやって立ち向かって行くか……。


「そう言えばこいつら匂いって大丈夫なのかな?」


 俺はふと疑問を口にする。狼……つまり犬だ。鼻は良いはず。ならば煙などの匂いとかは嫌いなんじゃ無いだろうか。雷で燃える森とか結構怖そうだし匂いもきつそうだ。試しにやってみようか。

 森の中を駆け抜ける俺とそれを追うシャドウウルフ。俺は両サイドにライトニングボルトを放ち魔森の木を焼く。木は煙を上げながらについ匂いを放っている。正直俺も鼻を塞ぎたい。イヌ科のシャドウウルフなんてたまったものじゃ無いんじゃなかろうか?

 そう思い俺は背後を見る。シャドウウルフは見事に同様の色を見せていた。唸るように小さくグルルルと泣いている。燃え上がる木には大げさなまでに嫌がる様子を見せていた。


「これで動きが鈍くなってくれれば良いんだけどなぁ」


 走り疲れた俺は少し休もうと速度を落とす。シャドウウルフは炎に怯えているのか俺を追ってくる様子はない。動きは鈍くなってくれたようだ。


「グルァラララ!!」


 安心して足を止めた俺だったが、怒り混じりのその声を聞いた途端鳥肌を立てながら警戒心を高める。シャドウウルフは綺麗に順番に一列に並ぶとぐるぐると俺の周りを牽制するように回り始めた。確実に逆鱗に触れてしまったことがわかる動きだ。

 動きは鈍くなるどころか増すばかりだ。ああ墓穴を掘った。これは困った。この状況を打開するためには大魔法を放つしか無い。しかしそれは確実に俺のMPがまたマイナス値に達してしまう。どうする。またあのなんのやる気も起きない憂鬱な日々を迎えるのはできることならば避けたい。しかしそんなことを言っていては死んでしまう。もうやるしか無いのか……。

 グルッと一体のシャドウウルフが合図のように鳴いたと思えば、八体のシャドウウルフは一斉に俺へと飛びかかってきた。幸いにも影の収縮を使っていなかったおかげで俺はギリギリそれをかわすことができたが、俺が心の中で影を使ってこなくてよかったと言っているのがわかっているかのように今度は影の中に入り込みまた俺を牽制し始める。

 腰を低く構える俺。数秒後、一体のシャドウウルフが影から飛び出してきた。俺は剣でそれを弾いたが、その際にできた視角からもう一体のシャドウウルフが猛スピードで突っ込んできていることに気付く。

 まずい。この速度は避けられない。俺は静かに目をつぶった。しかしシャドウウルフの攻撃は俺には届かず、代わりに金属とぶつかり合う音だけが聞こえてきた。目を開くとそこにはHPがイエローゾーンに入って焦っていたロンの姿があった。


「ロン、どうして」


「後輩冒険者にいいとこばかり取られてたまるか。僕だって冒険者なんだ」


 ロンは必死に剣を振っている。ガイのように任せられるような頼もしさはなかったが、一人で全てのシャドウウルフを相手にしなくて良くなったというのはとても大きな影響だ。俺は肩の力がスッと抜けたような気がした。ここに居るのは俺だけじゃ無いんだ。迷っている場合じゃなかったな。そもそもできるかどうかもわからないんだし、実験も兼ねてぶち込んでやるとしますか。


「ロン! 頼む十秒間持ちこたえてくれ。その後は俺の後ろへ! 特大魔法を放つ!」


「特大魔法? そんなのできるわけ――」


「頼む」


「――ったく。お前らといると僕の常識感が崩れちまうよ。ほんと任せたぜ」


 ああ。任せな。

 俺は八体のシャドウウルフを一旦ロンに任せ、後ろで詠唱を始めた。放つ魔法は特大魔法の中でも特に有名なあの魔法。爆裂バカが愛したあの技をアレンジして俺が放つ。まぁアレンジするのは詠唱の部分で魔法自体は同じなんだけどね。


「燃えろ燃えろ。その炎は我の魂なり。みなぎる闘志は炎となり、我が魂に火をつける。高ぶる感情は火を燃やし、その炎は爆炎へと進化する。熱き戦いに答え、我が魂よ顕現せよ!」


 俺の詠唱、もといかっこつけのセリフは地面に巨大な魔法陣を作り出していく。作り出された魔法陣はシャドウウルフ八体全てを収めるほどに大きい。

 俺は合図の代わりに「喰らえぇ!」と叫ぶと、ロンは俺の背後へと避難する。そして俺は右手を魔法陣に向けて自身の熱く燃え上がる感情を乗せ、強く叫んだ。


「エクスプロージョンッ!!」


 巨大な魔法陣から放たれる爆裂魔法は、地面を吹き飛ばし同時にその真上へと燃え盛る火柱を登らせた。それが消え去った時、そこにシャドウウルフの姿はなく、もう見慣れた半透明な紫色の魔石が八つ落ちているのだった。

とおるA「地震雷火事親父、ついでに陽キャ」――最後のは陰キャの宿敵です。

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