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第62話『Q.見えない敵とはどう戦いますか?』

 ダークウルフと戦うのは初めてだ。今回は前回の冒険のようにトールが俺のサポートをしてくれるわけではない。とは言ってもシャドウウルフ八体任せてしまったんだけどな。ぶっちゃけ言うとダークウルフ一体もシャドウウルフ八体も大して変わんないくらい絶体絶命だ。俺がどっちかと言うと一対一が得意っていうだけの理由で八体任せちまった。早くけりをつけてトールたちの方に行かなきゃ。もしかしたら俺がこいつを倒す前にトールがシャドウウルフ全員倒しちまってるかもな。

 俺がそんなことを考え軽く笑みを浮かべていると、ダークウルフはその大きな口を開き俺を一層強く威嚇し始めた。


「さて、やりますか」


 俺は大剣を右下段に構えると強く地面を蹴り飛び出した。左に大きく振った大剣。ダークウルフはその大きな前足で軽々しく受け止めると逆前足で反撃を仕掛けてくる。もちろん俺もそんなことは予想をしていたため素早くバックステップを踏み回避を図る。しかしダークウルフもそこまで読んでいるのか、はたまた反射神経なのかは分からないがそのままの勢いで俺に追撃を仕掛けてきた。俺は大剣で全ての攻撃を受け止めると刃をダークウルフに向けた状態で地面に突き刺し、それを支えとして上にジャンプをして背後を取った。ダークウルフは剣にぶつからないように急ブレーキを掛けると左に転がるようにして避けている。俺は背後を取ったことを利用するために隙の少なく攻撃の出が速い突き攻撃でダークウルフを背後から追い詰める。しかしダークウルフは硬化した四本の尻尾でその攻撃を後ろ向きのまま全て受け止めてしまった。


「ち、やるじゃねぇか」


 俺が捨て台詞を吐いた直後、ダークルウフは自身の身体から黒い霧を出し始めた。グルルルという鳴き声とともに辺りが霧に包まれる。そしてダークウルフは俺の目の前から姿を消してしまった。しかし気配は感じる。

 なるほど。霧などの光の届かない場所では姿を消せるのか。シャドウウルフのような自身の影に溶け込むのとは違い実態はそこにあるが見えない。確かに厄介な能力だ。


「だがな、生憎俺は敵がどこにいようが関係ないのさ」


 そう言い放った言葉はダークルウフにも届いているようで、なら当ててみろと言っているようにグルルルと鳴き声が返ってくる。俺は心の中で上等! と言い返し、とっておきを見せつけるのだった。


「俺がAランク冒険者になるために磨き続けた剣技を見せてやるよ。喰らえ! エアストロバーン!!」


 俺は態勢を低く構えると地面と大剣を擦り合わせるように振った。剣を振るスピードは音速を超える。それにより生み出された摩擦熱、火花そして衝撃波。全てが合わさった火を噴く高熱の衝撃波が俺から四方八方に飛ばされる。

 そして、左の背後からその攻撃を受けたダークウルフが悲鳴をあげた。


「そこだぁぁぁぁああ!」


 俺は連発したエアストロバーンを最後にもう一発一を捉えたダークウルフに向けぶっ放す。どうやらそれは見事命中したようで、徐々に黒い霧は晴れて行き血を流すダークウルフが姿を現した。


「さぁて、仕上げと行きますか」


 俺は大剣を上段に構え大き被さるようにダークルウフに向かっていく。しかし俺が選んだ敵はこんなもので倒せるほど甘い相手ではなかった。消えたはずの黒い霧はいつも何か俺の足元に充満していた。飛びかかったはずの俺の体は動きを止め、徐々に足の動きが悪くなって行く。


「これは、まさか霧の硬化!?」


 先程自身の姿を溶け込ませていた黒い霧。それを尻尾の硬化のように固めたのだ。俺の足は石化したようにピクリとも動かなくなってしまう。


「くそ、動けねぇ」


 このパターンはダークルウフの十八番なのだろうか、それとも追い込まなければ見せない奥の手なのだろうか。それはわからないが、ここぞと言わんばかりに猛追をしてくるダークルウフ。俺は大剣を盾のようにしてその攻撃を防ごうとしているが、胃観戦足が動かないせいで背後からの攻撃に反応できない。無理して背後に振り向こうとすれば体勢を崩して転んでしまうからだ。

 徐々に俺の体には傷が増えていき、立っているのもままならなくなってきた。今は防御に使っていた大剣を杖のようにしていないとまともに立ってすらいられない。

 それでも休むことなくダークウルフは攻撃をし続けてくる。

 辺りには小さな血の水たまりが出来ている。このままでは死んでしまう。でも今の俺にできることは絶えることしかない。

 今は硬化がとけるまで待つしかないか……。いや、まだ手はあるはずだ。考えろ。こんな時トールならどうする?

 俺は考えた。必死に頭を使った。しかし、答えは出てこなかった。俺はトールじゃない。頭を使う戦いは無理みたいだ。ならばできることは一つ。


「硬化がなんだ! ぶっ壊してやりゃいいだけなんだよ!」


 力一杯振り下ろした大剣は硬化した霧にヒビを入れる。

 よし。いける。

 俺はもう一度権を振り下ろした。霧は砕け散り、俺が動けないと油断して無防備に飛び込んでくるダークウルフ向かい俺は渾身の一撃を振った。


「砕け散れぇぇぇええ!!」


 ダークウルフは大剣と地面に潰され、その後爆発するように黒い砂となって消えていった。


「急いでトールの所に行かなきゃ……」


 俺は防具が砕かれ血が流れる体を引きずりながら、それでも一秒でも早くトールの元へとたどり着くように急いだ。

とおるA「通常攻撃を全体攻撃で二億回攻撃にします」

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