第60話『Q.昇格クエストは楽しいですか?』
「昇格クエストって何するんだ?」
俺は今ガイと二人でギルドにあるカフェ擬きの飲料を片手に次のクエストの話をしている。あの後馬車の運転手に分け前を渡した俺たちは、今回のクエストで解放された俺の昇格クエストをどうするかと言う話をしていた。もちろん受けるつもりなのだが、昇格クエストなるものが普通のクエストと何が違うのかは俺にはこれっぽっちもわからないのだ。だから今ガイにそれはいったいどのようなものなのかを聞いているところである。
「昇格クエストって言うのはな、ギルドが預かった依頼とは別に、昇格のためにギルドが用意したクエストの事だよ」
ギルドの用意したクエストには依頼されたクエスト同様様々な内容があり、昇格クエストを受注する冒険者が最も苦手とする分野の依頼をされると言う。つまり俺ならば、行ったことのあるクエストが討伐クエストの皆ため、採取クエストや、防衛クエストなど、違うジャンルのクエストが依頼されると言うことだろう。
「ま、要は採取クエストしかしたこと無い奴がそれだけでAまで上り詰めて、Aランク用の討伐クエストができないって事態を防ぎたいってことよ」
なるほど、確かに一つのジャンルしか出来ない冒険者を昇格させて、難易度の高い他のジャンルのクエストを受けられると困るもんな。最悪死者が続出しかねない。
「じゃあ取り敢えず受けるって言ってみないと何が来るかわからないってわけか」
「そういうことだ」
という事で俺は昇格クエストを受注すべくカウンターへと向かった。
「はい。昇格クエストですね。内容ですが、そうですね……では採取クエストを行ってもらいます」
お! ガイの言っていた通りだな。採取クエストなら討伐クエストより簡単だろう。楽勝だな。
「なお、こちらから審査員をつけさせていただきますのでクエストに出発する際にはこちらへお声掛けください」
審査員? そうか。討伐クエストなら俺が倒したのかパーティメンバーのガイが倒したのかの判別がつかないんだ。かと言って冒険にソロで挑む奴なんてガイ見たいな変わり者しかいないんだろう。っていうか普通に危ないしな。それで審査員。多分相当腕の立つ冒険者なんだろうな。
「あぁ、二つ上のランクのやつがつくんだ」
「え?」
採取クエストを受けることとなった俺はさっきの場所で待っているガイに報告をしていた。俺はてっきりガイみたいな高ランク冒険者がつくのかと思っていたが、そうでは無いらしい。
「Fランクから審査っていう項目が出てきてな、それをクリアしないと昇格クエストを受けられないんだ」
なるほど。そこでしっかりとした見極めの能力を示すってわけか。パーティメンバーの見極めは大切だからな。
そんなこんなで俺はまず採取する植物の情報を集めることになった。今回採取しなければならないのは回復薬の原料となるクスリ草である。名前がそのまんま過ぎて笑った。それはそうと、クスリ草の特徴は見た目ではなく効力にある。食べることでHPが回復するのだ。しかし危険な植物を食べるわけにもいかない。まぁ俺は食べれる植物かどうかを見極める方法を知っているんだけどね。という事で見た目も市場で見て覚えたし、クエストに出発することにしよう。
まずはギルドのカウンターに出発することを伝えにいかなければ。出発の報告をした俺とガイ。審査員としてついたのは両手剣を一本持ったFランクの冒険者の男だった。
「それじゃあ審査を始める」
なんだか少し偉そうな気がするが、まあいいか。向かう先はギルドの近くにある魔森。ちょうどこの前合宿をしたダンジョンが近くにある場所で、なんの偶然かそこに住んでいるのが以前戦ったシャドウウルフらしい。今回は出会いたく無いものである。まぁ俺より二つもランク上の冒険者が付いているし、っていうかガイがいるから問題ないな。
俺は気楽に魔森へと向かった。しかし物語というものは簡単に終わることを知らないようで、またしても俺にはピンチが待ち受けているのだった。
■■■
採取する量はギルドから渡されたバックが一杯になるまで。クエストは順調に進んでいる。もう少し集めればクエストは終了だ。
ちなみに食べれるかどうかを判別する方法だが、腕とかの皮膚に擦り付けて痛みとかが出たら食べちゃダメ。なんもなければ取り敢えずは大丈夫だろうという簡単なものだ。
お、またみーつけた! これで終了っと……。
「なんか楽勝だったな」
「まぁトールは討伐クエストの時も知識を使って戦うタイプみたいだったしな。こういうの得意なんだろ」
「審査員さんは何が得意なの?」
「僕は今審査中だ。余計な会話はできない」
「ふーん」
そんなものなのか。
「さて、そろそろ帰ろうぜ?」
俺はそう言って二人の前を自信満々に歩きはじめた。なんだか採取クエストって思っていたより簡単だったし、これはこのまま高ランクまで一気に上り詰められるんじゃないか?
しかし、そんな俺の浮かれた気持ちを叩き落とすようにそれは姿を現した。
グルルルという鳴き声が周囲からいくつも聞こえてくる。
「これは、シャドウウルフ? しかもこんなに」
その声をあげたのは審査員の男だった。そう言えばシャドウウルフって結構やばい魔物なんじゃなかったっけ? こんなにたくさんいて大丈夫? っていうかなんでこんなにいるの?
その答えはすぐに姿を現した。
「トール。あれはダークウルフだ」
群の最後尾にはシャドウウルフの三倍の大きさはある全身黒の狼がそこにはいた。
とおるA「楽勝過ぎてつまらないはずでした」





