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第59話『Q.報酬はどうやって分けますか?』

「トール、そっちに落ちてる魔石集めといてくれ」


「はいよー」


 今俺たちはそこら中に転がっている魔石とゴブリンが集めていた財宝の山を回収している。ガイが言っていたたんまり稼ぐって言うのはこの事だったのだ。


「これ、いくらくらいになるかな?」


「んー百万ゼントくらいにはなるんじゃね?」


 百万?! そんなに稼げるのか。ゴブリンさまさまだな。

 全ての財宝と魔石を回収しきった俺たちは行きに乗せてもらった馬車へとその山を積み込まなくてはならない。こんな大量の荷物を乗せてもらうのだ。お礼に運転手にもいくらか渡すつもりである。二人掛かりでようやく村まで運び終えると、ちょうど馬車の運転手が荷物の整理をしているところだった。


「すみません。荷物が増えてしまったんですけど乗せられますか?」


「ん? 多分大丈夫ぅうぇ? もしかしてそれ全部か?」


「はい。今回のクエストの報酬なのですが、少し旦那にも分けるんでどうか宜しくお願いします」


 俺は餌を与えながら荷物の件の相談をしている。こう言った交渉はガイより俺の方が向いている気がしたから。ガイは「頼む!」って言って終わりそうだからな。


「ちなみにいくらくらい分けて貰えますかね?」


「このくらい……」


 俺はそう言って村の住民には聞こえないように手に十と書いた。十万ゼントつまり一割分けると言うことだ。そして運転手は俺の提案に乗っかってくれた。まぁ百万が九十万になったくらいでガイは文句は言わないだろう。

 こうして俺たちは無事に報酬を持ち帰ることに成功した。





 ■■■





 ギルドに戻ってきた俺はまず始めにクエストの報告をしにカウンターへと向かった。


「はい。ゴブリンの討伐クエストですね」


 俺は帰りに村長に貰った依頼達成の証明書をカウンターのお姉さんに渡す。その証明書に不備がないことを確認したお姉さんは、後ろの棚から報酬の五千ゼントを布袋に詰めて俺たちへと渡した。


「こちらが報酬になります。討伐したゴブリンの魔石なども現金に変換できますが如何なさいますか?」


「じゃあこれ全部頼む」


 そう言ってガイは俺たちが集めた魔石と、財宝の山をギルド内へと持ち運ぶ。俺がクエストの報告をしている間に荷物を降ろしてもらっていたのだ。


「こ、こんなに?!」


 当然のごとくギルドのお姉さんは豆鉄砲を食らったような表情で驚きをあらわにしている。そしてハッと我に返ったと思えば奥の部屋へと入って行き、他二名のギルドの役員と共に鑑定を行い始めた。

 数分後。ようやく鑑定が済んだのか椅子に腰掛けそれが終わるのを待っていた俺とガイがカウンターへと呼び出された。


「こ、今回の報酬は、三百万ゼントとなりました。どうぞお受け取りください」


 うお! まじか。予想をはるかに上回る額。これなら俺の当分の生活費も、いや学費だって払えるかもしれない。活躍頻度を考えてニ対三で分けたとしても百二十万は俺のものだ。まじでぼろ儲けじゃねえか。

 俺たちは追加で受け取った報酬を手に二階の丸テーブルに二つの椅子がついた席へと腰掛けた。


「さて、報酬はどうやって分ける?」


 俺は期待まじりに聞いてみる。願わくば半々になれば良いが、流石にAランクとHランクが同じ報酬になるとは考えづらいし。


「あぁ、今回はトールに助けられっぱなしだったからな、二百万持ってって良いぞ?」


「え?」


 一瞬俺の頰が緩んだのを責められるものはいないだろう。だがそんなことを認めるわけにもいかず、俺はガイへと反論の意を唱える。


「何言ってんだよ。活躍してたのはほとんどガイだし、何よりHランクの俺がAランクのガイより多く報酬もらえるわけないだろ」


「いやでも俺は……じゃあ半々ってのはどうだ?」


「まぁ、半々なら」


「よし決まりだ! 俺たちに優劣はない。AとかBとか、そんなのは飾りだ。対等に行こうぜ」


 俺はBの六個下のH何ですがね。まあガイはこう言うやつだしな。俺も半々なら悪い気もしないし、むしろ願ったり叶ったりだし、ここは折れるとしましょう。


「じゃあ半々だ。また楽しい冒険しような!」


「おうよ!」


 俺たちは熱く手を握り合った。そんな俺たちの様子を見ている外野は何故だかびっくりした様子をしているが、やはり半々はまずかっただろうか。まあガイがいいって言ってるんだしいいよね?


「ガイ。俺らなんか見られてる気がするんだけど気のせいか?」


「トール今更何言ってるんだよ。行く前から見られてたっての」


「まじか」


「……その件で、ちょっと話があるんだ」


 ガイはそう言って俺に全ての事情を話してくれた。正直「な〜んだそんなことか」と思った。俺だってサッカーしてる時パスしないし、野球やってたらたくさん打ちたいし、ドッチボールしてたらたくさんボールに触りたいからな。普通だよ。その方が楽しいんだからいいんだよ。自己中だって? けっこう。そう言うこと言って文句ばっかの奴に限って別の場所でなまら自己中だったりするんだよ。そんな奴らほっといてやりたいようにやればいいのさ。気が合わなかった。ただそれだけのことよ。

 俺が笑顔でぐっと親指を立てながらそう言ってやると、ガイは顔に手を当てながら笑い出してしまった。


「トールってさ、本当に面白い奴だよな。マジでお前と出会えてよかったよ。また次もよろしくな!」


「Hランクでよければいつでも呼んでくれ!」


「ところで今回のクエストで昇格クエスト受けれるようになってると思うけどトールは受け方知ってるか?」


「なんじゃそりゃ」


 こうして俺の夏休み第二のクエスト、Gランクへの昇格クエストは迫ってきていた。

とおるA「LINE Payで割り勘でショー」――支払いじゃなくて報酬なんですが……

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