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第28話『Q.これまでにした最大の勘違いは?』

 現在時刻、午後八時半。ようやく仕事も終わり、夕飯の時間だ。お昼ご飯のシーンから一気にここまで飛んだ訳だが、まぁ前も頭の中から伝えた通り、授業の話は別口でおいおいしていく予定なので、特別面白いイベントじゃない限りはすっ飛ばしていくので悪しからず。というメタる発言を初っ端からかましてイクゥ! ……最近紛らわしいところで『る』を付けることにハマってる。どうもとおるです。


 今日のメニューはオムライスる。ダグラスさんが本日のクエストで薬草を取りに行った際に、なんちゃらバードに襲われて退治したところ、近くに巣を見つけて卵が手に入ったんだとかる。新鮮な鳥モンスターの肉ると、卵るが絡み、それを噛めば噛むほど甘味の出てくるふかふかのお米が根底から支えるる。――ごめん。もう『る』で遊ぶのやめまする。

 味付けは異世界ケチャップ。赤いナスのような細長い果実があり、これがトマトの味とそっくり! あとあと、玉ねぎと似た野菜もあったな。この二つに砂糖と塩、酢はなかったのでお酒で代用し、調合。俺特性異世界ケチャップの完成だ。やはりオムライスにはケチャップが無くては。

 つまり何が言いたいのかというと、今日は食材を聞いてオムライスが食べたくなったから、賄いは俺が作ったんですよって話です。


 さてさて、グルメ物語でも無いのに熱烈に語ってしまった。許せサスケ。

 元の世界の味を思い出しながら、俺はバクバクとオムライスを口へと運んでいた。ダグラスさんとエリシアさんも満足してくれているみたいだ。料理できる系男子でよかったー。やっぱ俺スペック高いわー。

 と、脳内自画自賛をしていると、ダグラスさんが今日のクエストの話をし始めた。


「今日のクエストなんだがな、おばあちゃんからの依頼だったんだよ」


 ほう? おばあちゃん金払えるんかい。


「なにやら……死んじゃう病?だったかな。結構危ないらしくてな」


 そりゃあ名前からして大丈夫ではなさそうだな。結構どころじゃ無いと思うぞ?


「上位回復ポーション作るために必要な薬草を取りに行くってクエストだったんだよ」


 薬草ですか、それは駆け出し冒険者がやる依頼なのでは?


「まぁ薬草くらいは他の担当の冒険者と比べればなんて事なくてな、もっと上のランクの冒険者は上級モンスターの鱗だったり、危険区域の神の加護を受けた伸水を取りに行ったりと大変だったらしい」


 やはり簡単なクエストだったのか。薬草くらいなら俺だって取りに行けるぜ! ……たぶん。道さえ間違えなければ。


「つっても薬草採取も大変なんだぞ? 採取に集中しすぎるとモンスターの気配に気付けないし、かと言って適当に探していても上位ポーションに使う薬草なだけあって希少だからなかなか見つからないし……」


 へぇー。薬草採取って言っても結構大変なんだな。まぁ確かに、草むしりしてる時に後ろから今食べてる鳥に襲われたら俺なら死んでるかも知れん。


「まぁ俺にかかれば余裕なんだがな! ハッハッハー」


「もーダグラスったら。そんなの自慢になりませんよ?」


 全くだ。分かったからもっと難しいクエストに行きやがれ。にしても、死んじゃう病ってどんな病気なんだろ?死の宣告的なのでタイムリミットとかあって結構やばいんだろうか……それとも……。

 俺が呆れた顔で黙って聞いている(脳内では無茶苦茶ツッコミ入れている)と、ここからが本番よ! と言わんばかりにダグラスさんら後のエピソードを語り出す。


「俺が帰って来て数時間経った頃に他の担当の冒険者も討伐やらを終えて戻って来てな、薬師に調合してもらって」


 ほうほう。ポーションを作るにもスキル的なのが必要なのか。魔法優先だが、余裕ができたらそっちの方も勉強していきたいな。それでそれで?


「一番簡単な仕事だった俺がお場合ちゃんの家まで届けたんだよ。そしたら――」


 なんだよ勿体ぶりよって……もしかして死ん――。


「心臓抑えて倒れてたんだよ。あとな、みぞうちも痛むって唸ってて……急いでポーション飲ませて、ギリギリセーフって感じだったな」


 …………。


「ダグラスさん? 病気の名前なんだっけ?」


「ああ、死んじゃう病だ。どうだ? この話するのは三回目でな、うまく話せてたと思うんだが……どうだ?」


 あぁ。それはとても大変な事だ。面白すぎて途中から笑いを堪えるので必死だったよ。


「ダグラスさん。落ち着いて聞いてください」


「ん?」


「それ、死んじゃう病じゃなくて、心臓病です」


「……」


「あら」


「それと、みぞうちじゃなくて、みぞおちです」


「……」


「ご飯……ふっ。食べましょうか」


「そ、そうですね」


「こらエリシア。笑うな! ぉむぉむ……それにトールも! うん。これは美味いな。オムオム……気付いたならすぐに言ってくれよ!」


 いや言ったってば。病気の情報すごく後に話しただろ。ていうか、喋るか食べるかどっちかにしなさい。

 たまに思い出して、ぷっと笑いながらご飯を食べるエリシアさん。俺はどうしようもない子を見るような哀れみの目でダグラスさんを見ながら食事を続ける。


 この宿での生活は本当に飽きない。素でボケてくるところ、ダグラスさんにはセンスを感じる。テューと一緒に来られたらツッコミが間に合わなさそうだ。怖い怖い。




 ■■■


 食事を終え、いつものように掃除を済ませた(今日は作ったのも俺だったので夕食の片付けもやらせて貰った)俺は本日の授業で仕入れた魔法の情報を早く試したいという衝動を抑え込み、明日に向けて早めに休みを取るのだった。


「明日は一日中魔法の研究だ!」


 それでは、おやすみマンモス――。

とおるA「低脂肪乳って牛乳じゃないんだね」

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