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第22話『Q.応急処置といえば?』

「……い……おいあまとう? 大丈夫かぁ?」


 ほんのりと温かな何かに包まれる感覚とともに、俺の意識は徐々に回復して来ていた。さっきから俺を呼びかけているのは、今まさに対戦を終えた相手。テューだ。

全くうるさいなぁ。疲れてんだから少し寝させろよ。


「意識が戻らないときは確か……」


 そう言ってテューが始めたのは心臓マッサージ。まぁ本気ではやってないけどね。肺を押されたせいで、俺はふっふっと音を立てて呼吸をする。呼吸しづらいのでやめろと言いかけたそのときーー。


「お? 意識が戻ったか?」


「頼む。もーちょい寝させろろろろろろろろうぉうぉうぉうぉおぉえぇ……」


 突然心臓マッサージが高速化する。


「どうだ! 超高速心臓マッサージ」


「どうだじゃねぇよ! 殺す気か!!」


 慌てて起き上がり、テューの頭に平手打ち一発。


「あ、おはよあまとう」


「おうおはよ……ってコラー!」


 相変わらずのアホアホトークをしていると、アザルド先生が今回の試合に満足げな表情でアドバイスをくれた。


「テュー君は少し敵を見くびり過ぎていたね。相手との実力差を正確に測ることも、騎士ときてとても重要になる。常に謙虚な姿勢で臨みなさい」


「はーい」


「とおる君はよく頑張った。最後まで諦めないその心を大事にしなさい。技術の方は、言わなくても分かっていると思うがまだまだだ。そこはこれからの授業でいくらでも磨くことができるので安心してくれ」


「はい」


「二人とも次がある。あまり時間もない。しっかり調整するように」


「「はい!」」


 テューは強かった。正直最後の一撃はまぐれだと思う。それでも、元いた世界で培ってきた諦めの悪さがこんなところで生かされた。人生何がどこで活かされるかわかんないものだな。

 俺は、日々の何気ないことも大切にしていこう。なんて考えながら観客席に戻るのだった。




■■■


「次はユナレアとティティの試合だねぇ」


「どんな戦いするんだろうな……」


 観客席に戻った俺たちは、試合開始の合図を待つユナとティナを見ながら体力回復に努めていた。


「そう言やさ、アレどーやってやったんだよ」


 俺は先ほどの模擬試合でテューが最初に見せた、防いだはずの剣が逆から飛んできたあの技について聞いてみた。


「あぁアレは反動を利用するんだよ」


 得意げに、しかし丁寧にわかりやすく教えてくれるテュー。どうやらそれは、バスケのターンアラウンドの動きに似ていることが分かった。

 まず剣が障害物に当たる。その時剣が反動で逆に飛ぶ勢いを回転する力に変える。一歩で体を半回転させる。その後は、まんまターンアラウンドの動きだ。最後のジャンプの代わりに剣を思いっきり斜め上に切り上げるだけ。しかしーー。


「よくそんな動きできるな。あの剣そうとう重いだろ?」


「お前のステータスが低いだけだと思うぞ?」


「……ごもっともです」


 痛いところを疲れてしまった。返す言葉もありません。

 肩を落としてガッカリする俺に、テューは励ましの肩ポンポンをしてくれた。ーー泣きたい。

 そんなこんなで、そろそろユナとティナの準決勝が始まろうとしていたーー。

とおる『A.女子との人工呼吸!!』

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