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第20話『Q.貴方はインドア派? アウトドア派?』

 翌日の朝は爽やかさに、バキバキさも加わり、より一層元いた世界を思わせる空間と化していた俺の住まう宿『ピース』。バキバキさって何だって?…………筋肉痛です。元いた世界ではよくトレーニングのし過ぎて筋肉痛になったものだよ。

 階段を降りるのも辛いくらいです。なんせ昨日は二試合もやったからね。でもそのおかげでようやくテューと勝負することができる。俺のスゴさを奴に教えてやらねば。ティナと話している様子を見るに、相当やるって事は何と無く分かっている。簡単に負けるつもりはないが、果たしてどこまでやれるか……。


「ん。今日もパンが美味い」





 ■■■


「おはよー。今日まじで身体ヤバくね?バキバキなんだけど」


「おはよぅ! あまとう。おじいちゃんみたいな歩き方ですねぇ。そんなんで今日の試合大丈夫なん?」


「んぬああ。試合の時は……アドレナリン出るから大丈夫だ」


 腰に手を当ててのっそのっそと歩く俺を見て煽りを入れてくるテュー。階段をさらに苦しそうに上がりながら応答する俺は、まさにおじいちゃんだ。




 ■■■


「ねぇねぇ。みんなって休みの日は何してるの?」


 時刻は午前十二時十五分。俺たちはいつもの様に四人で昼食を取っている。

 本日の話題提供者はテュー。ハムスターみたいな顔で聞いてきたが、何か企んでるんじゃないだろうな……。


「ウチは散歩に出かけたりショッピングに出かけたり……家の外にいることが多いわ」


 なるほどなるほど。ティナはアウトドアガールですか。いいですねぇ。さって、俺もここは気張って答えて行かねば。


「俺は今泊まらせてもらってる宿のお手伝いかな。掃除とか買い出しとか」


「へぇー意外。とおるってもっとこう……宿の物壊してそうなイメージ」


 待て待てどんなイメージだそれ。いや、原因は明白。どう考えてもテューとのボケ合いのせいだろ。くそぉテューの奴ハメやがったな。ティナも思ってることガツガツ言い過ぎた。


「僕はねぇ……川に遊びに行ったり、泥で遊んだり、腕自慢と力比べしたりしてるらしいよ?」


「らしいよ? って何だよ。お前の事だろ」


 あーしまった。まぁぁたツッコミ入れてしまった。こう言うののせいで「物壊しそぉ草」とか言われるんだよ。全く勘弁してくれ。

 それでもツッコミを入れてしまうのは、やっぱりユナとティナが笑ってくれるからなのかもしれない。今だってユナは手で口抑えながらクスクス笑ってるし、ティナなんて机に頭擦り付けながら、お腹抑えて笑ってるし。そんなに面白い事は言ってないんだけどな。居るよね。以上にツボが浅い奴。


 笑い終えたところで、ユナが話し出す。


「私は……家で勉強と稽古と庭の散歩かな」


「庭の散歩??」


 反射で聞き返してしまった。ユナは何やら困ったような顔をしているが、何かまずいことでも聞いてしまったのだろうか。


「お、王都内を散歩するって意味よ! ウチらにとっては庭みたいなものだから。そうよね?」


「そ、そう。親が厳しくてあんまり外に出歩けないんだけど、たまに抜け出して外を散歩するの……」


 インドア派か! 俺と同じ属性だな。でもなんだろう。すごく誤魔化された気がする……。女子だけの秘密とは、怪しからん。

 ーーそれにしても、今日はなんだか視線を感じるなぁ。


「みんなこっち見てるねぇ〜」


「そりゃそうでしょ? 準決勝進出者が全員揃って仲良くお弁当食べてるんだから」


「なんだかちょっと恥ずかしいね」


 猫みたいな顔で、俺の脳内を覗いたかのようにベストタイミングで問いかけるテュー。それに頬杖しながら適当に返すティナと、恥ずかしそうに食事を続けるユナ。

 そうか。今日の試合メンバー全員揃って弁当食べてるんだもんな。そりゃあ注目もされますわ。


「今日はあまとうと、どっちとやるかな〜楽しみだ」


「おいおい何もぅ勝った気でいるんだぁ?油断してると足元掬われるぞー」


 周りに見せつけるように火花を散らす俺たち二人。ユナとティナも、何も言わないがお互いに頑張ろうと言う目つきをしていた。




 ■■■


 そうしてやってきた四限目。模擬試合トーナメント三日目だ。

 今日は闘技場全面を使って、一組ずつ試合を行なっていく。なんせ三位決定戦合わせても四試合しかないからね。

 あ、そうそう。クラスの二十六名はただただ観戦しているのも面白くないと言う事で、試合のある俺たちには三十分のウォーミングアップ時間を設け、その時間に先生vs暇な生徒という鬼のような試合、もといミンチが行われていた。ウォーミングアップしながらチラチラ見ていたが、人数をもろともしない動きでただただ先生が生徒を圧倒している絵がそこにはあった。元副団長マジ半端ないっす。


 そして三十分はあっという間に過ぎ、いよいよ俺とテューの試合が始まろうとしていた――。

とあるA.「VRゲームではダンジョンによく潜りますよ!」――結局インドア

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