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第17話『Q.友達はどんな人ですか?』

 試合開始とともに動いたのはティナだった。あんな重たい剣をガンガン振り回している。騎士団の入団試験の時も思ったけどさ、剣重すぎ。ステータス上がったら軽く感じるのかなぁ?

 入団試験の時の俺は剣を振っては大きな隙を作っていたが、ティナにはそれが無い。今の俺にはなぜ隙が生まれないのかが分からないが、凄いってことだけはよく分かった。

 上から下に真っ直ぐ斬りつけたと思えば、すぐ後に左から右への大振り、そのまま回転して正面を向いた瞬間付き攻撃からの切り上げ。剣撃が休む事なく降り注ぐ。相手も冒険一方だ。


「――凄い猛攻だな」


「まあテンペストの名は伊達じゃ無いよね」


 頬杖をしながらボソッと呟くテュー。テンペスト。つまり大嵐という意味だ。確かにアレは剣の嵐かもしれないな。

 結局、試合はティナの一方的な攻めで終わった。テュー曰く、対戦相手はよく戦ってた方なんだそうだ。




 ■■■


「いやー今日はみんなすごかったねー」


「取り敢えず全員第二予選出場だねぇ」


 横並びで廊下を歩く。今話していたのは俺とテュー。二人とも頭の後ろで手を組んでのほほ〜んと歩きながらの会話だ。横にユナとティナもいる。二人も試合に勝つことができたおかげか上機嫌だ。


「ま、当然よ」


「ウチの相手はなかなか手強かったわ。決着まで時間かかっちゃった」


 得意げなユナに、謙虚なティナ。ユナは意外とちょろい性格してそうだよね。見た目真面目そうでおとなしい雰囲気だけど、褒めたら調子に乗るタイプだな。うん。逆にティナは今日のお昼といい、戦闘スタイルといい、グイグイくるタイプの割にストイックな部分もあって……人は見かけによらないというかなんというか。


 教室に戻ると、担任から連絡事項を伝えられ解散となる。俺たち四人は校門まで一緒に歩いたが、家の方向が違うため、俺とテューはそこで二人と別れた。

 相変わらずユナはバイバイキン♪と俺に言うので、俺も同じくバイバイキン♪と笑顔で返すのだが、バイバイキンってそんなにいい言葉か?

 前もツッコンだが、そろそろこのバイバイキンループにバイバイキンしようかなと思っているのだがどうだろうかバイキンキン諸君。


 帰り道、テューから聞いたのだが、この学校にはもう一人二つ名を持つ者がいると言う。あんな凄い奴が他にもいるなんて……ほんと何しにここに通ってんだよ。早く騎士になりなさい。




 ■■■


「ただいま戻りました」


「おう! お疲れ! 学校はどうだい?」


 珍しいな。ダグラスさんが出迎えてくれるなんて。

 いつもは掃除中のエリシアさんが優しい笑顔で俺を出迎えてくれるのだが、今日は力強い笑顔が出迎えてくれた。俺はカバンをテーブルの上に置き、椅子に座りながら今日の出来事をダグラスさんに語り聞かせた。


「ほぉ。もー友達が三人もできたのか。しかもそいつらみんな化け物みたいに強いと……」


「そーなんですよ。一体何で学校に通ってるんだって感じなんですよね」


 両手頬杖で顔をガクガクさせながら話す俺と、ほうきを杖に、両手と顎を乗せて顔をガクガクさせながら話すダグラスさん。


「もぅ二人とも何ガクガクさせながら話してるんですか。早く今日の仕事終わらせちゃいますよ!」


 台所から足をガクガクさせながら現れたのはエリスさん。どうやら正座のまま作業を一時間ほどしていたせいで、足が痺れたんだとか。

 俺は「はーい」と子供のような返事をして、部屋へ荷物を置きに戻り、着替えを済ませて掃除を開始するのだった。

 台所で正座する作業って……なんだ?



 ■■■


「とおるさんもだいぶ仕事覚えてきたんじゃ無いですか?」


「ありがとうございます。もっと頑張って役に立ちたいと思います」


「ふん。まだまだ半分ってとこだな」


「ダグラスさんだってやり直し食らってたじゃ無いですか!」


 俺たちが食事を取るのは、宿泊者が食事を終えて部屋に戻った後。大体午後八時半と言ったところか。元いた世界でも、部活で遅くなることがほとんどだったお陰で、遅めの晩飯にも慣れている。なのでそれほど苦では無い。むしろ先に一人で食べるより、こうして三人で食事を囲める方が俺は幸せだ。

 今日のメニューはダグラスさんが釣ってきた魚を使った料理だ。近隣に川などなかったがどこで釣った魚なのだろうか……上手いなコレ。


 食事を終えた後は俺には今使ったテーブルの掃除以外に仕事は残っていない。明日に向けてさっさとベットに入る。

 明日も良い一日になりますように。

とあるA.ばけもん

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