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夢国  作者: トモユキ
2/14

行き先

暑い夏が今年もやってくる。

セミの声はまだ微かにしか聞こえないが、あと一週間もすれば賑やかになるのだろう。


「あれから二年以上経つね…円香」


お墓の前にしゃがみこんで、手を合わせる。

生きていたら今日で二十歳になっていた円香の為にビールを持ってきた。墓石の上に半紙をひき、ビールを置く。

暑さで缶が汗を流しているかのように水滴がたくさんついていた。


「私はまだ誕生日きていないから飲めないけど…円香、お誕生日おめでとう。乾杯」


持ってきたカルピスで乾杯をした。


芙美(ふみ)】と呼ぶ懐かしい声が頭の中で木霊する。風が心地よくて汗ばんだ身体を少し冷やしてくれた。

芙美はカルピスを飲み干して、立ち上がると腕時計を見て、服を整えた。


「色々話したい事あるから、一緒ついて来てよね」


芙美は駐車場に停めてあった青色のラパンに乗り込むと、すぐにエンジンをかける。

エアコンから生ぬるい風が顔に当たる。

窓を全開にして、車内のこもった熱をそとへ出す。

目指すは千葉の銚子。

東京都内からは3時間あれば着くか。

カーナビに目的地をいれて、走り出した



「円香。貴方が見たかった景色。見に行こう」



二年前果たせなかった、卒業旅行。

横をみると、助手席でお菓子を食べながら笑って長い髪をかきあげる円香の姿があるような気がした。


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