未来か過去か
誰もが一度はこの質問をされたことないだろうか。
「もし行くなら未来か。それとも、過去か」
あの時の私は考えたけれども答えは出ないままだった。
その質問をした彼女は未来と答えた。
「だって未来はきっと明るいから」
私を含め周りにいた友達は一瞬黙りこんで、すぐに笑った。
今だって充分明るいよ!と言われながら。
太陽のように明るくて可愛い、私の自慢の親友、円香
その時は気付きもしなかった。
誰より一番、私が彼女の事分かってると思ってた。
産まれた時からずっと一緒で高校になった今も一緒にいた。
なんで、気づかなかったの。
彼女の言葉に隠された本当の意味を。
それからすぐだった。
休みの日に寛いでいた昼下がりに、めずらしく鳴り響いた家の電話。
誰も居なかったので私が出ると、受話器の向こうからすすり泣く声が聞こえた。
あの時の衝撃は忘れられない。
声がでなくなるって本当だったんだ。
思考回路がうまく動かない。
情報を処理できない。
「円香が…飛び降りて…亡くなったの…」
彼女のおかあさんからだった。
嘘だ。今朝、円香とメールしてた。
卒業旅行の行き先を決めていた途中だった。
すぐに携帯を開くと、私が送ったメールで途切れていた。
でも既読がついている。時間は今から三時間前。
「月の階段?そんな所あるんだ!行ってみたい」
そう送ったのが最後だった。
ねぇ、もし本当に願いが叶うなら
彼女を返して
そんなの無理だってわかってるよ
それでも願わずにはいられない
円香、あの時の質問に今なら迷いもなく答えるよ
私は過去にいく
そして貴方を救う
未来を変えてみせる