ウオーターソード販売開始
結局ママンとパパンは久しぶりに後輩達に会ったということで、そのまま多くのクラスで授業が自習になり、皆が王都に繰り出していった。教頭先生が懸念していたのはこういう状況だった様だ。
夜に鳥の使い魔の足に手紙が付けらて帰ってきた。ママンから、『今日は楽しかったわ。授業の邪魔をしてごめんね。明日には帰るわ。』という内容が書かれていた。因みに、『早く学校を締めて連絡をちょうだいね。』という内容もあった。これは無視することにした。シフォンさんとライバル宣言はしたが、もう少しスクールライフを楽しみたい。
翌日から普通に授業が行われた。的あては、的の強度を少しづつ上がっていったり、的が移動したりと中々に楽しい。一方、座学は思っていたより眠くなる事が多い。MPが多いのとイメージ魔法のおかげで大抵の魔法は使えることから座学が終わって実践で魔法を見るまでは中々に厳しい時間だった。
しかし一回魔法を見てしまえばイメージ魔法で再現可能なので、座学より実技が好きになるのもしょうがないことだよね。座学と実践で属性スキルが無い人でも地道に練習すれば、スキルの習得が可能になるとの事。
魔力が切れた時でも対応できる様、体術や剣術の練習もする。後は魔物の解体の方法など冒険者になっても困らないように勉強するみたいです。その他にも野営の練習もあったり、ダンジョン攻略の方法など多岐にわたり授業があります。
あと精霊使役の実技は、水が無く、魔力も無い時に精霊を使役して火や水などを貰う方法について、冒険者の生命線になるので必修授業です。
この前測って分かったのですが、魔力がかなり増えていて、でも使用するMPは少なくなっており。かなり使い勝手が良くなりました。やったね。
あとは体術でHPを増やせれば、冒険者として問題なくやって行けそうです。学校は15歳まで通う事が可能なので、あと10年あります。
一旦休学をして冒険者になり、また学校に戻ってくることも可能とのことなのでとっても夢が広がります。でも冒険者になる為には、やはり地道な訓練が必要です。暫くは学校で訓練です。
「あぁぁぁっっ!!鍛冶師ギルドに登録して、王都に来る時に話をした、二人組の旅商人に融通を利かせて貰うのをすっかり忘れてた!!!」
「あ~、そんな話もあったねぇ。下手したら鍛冶師ギルドでずっと待ってるかも・・・・」
「名前も聞いてなかった・・・まぁ、あれから何日もたってない、待っててくれるかな?待っててもらっても悪い気がするけど・・・」
「無限収納に何本か予備があるから、それを持って鍛冶師ギルドに行こう」
「ちょっと待って、フラウ先生に外出届出さないと、学園から出られないよ」
「じゃぁ、先生を探そう。職員室かな?」
職員室に行きフラウ先生を見つけ、外出届を貰おうとしましたが、「王都内でも危ないとの事で先生も一緒に行きましょう。」との事でした。まぁ、ギルドの場所も分からなかったのでとても助かりました。「お姉様の娘さんを王都で一人にするわけにはいきませんので、これからも王都に出かける時は私に声を掛けてくださいね」と、フラウ先生言われました。
鍛冶師ギルドは、学校からそんなに遠くないところにありました。
「こんにちは~。ギルドに登録したいんですが。」
「はい、受付はこちらです。」
「はい。」
受付まで行くとお姉さんが困った顔をしています。
「えっと、あなたが登録するの?」
「はい。そうです。王都でも私の武器は売れているそうなので。」
「お嬢ちゃんの武器って・・・自分で打ってるの?」
「はい、そうです。炎属性の剣とか売れてるって聞きました」
「確かに、最近その手の武器が出てきて需要もあるけど・・・お嬢ちゃんが打ってるの?」
「はい、そうです。今日も持ってきました」
「持って来たって・・・どこに?」
「カウンターの上に出しても良いですか?」
「ええ・・・良いけど」
お姉さんが良いというので無限収納から剣を出します。
「驚いた。。。お嬢ちゃん収納ボックス持ちなのね?」
「まぁ、そんな感じです。というか無限収納です。入れる物も生物・無生物関係無く、いくらでも入ります」
「また凄い能力ね!!それとこの武器は、確かに最近王都で出回ってる剣の様ね。その年でこれだけのものを打てるのも凄い才能ね!!」
「パパンの教えが良かったのです」
「お父さんも鍛冶師なの?」
「はい、ヘンデルって言います。」
「あのSランク冒険者の。ヘンデルさんの娘さん?」
「そうです。小さいい頃から工房に出入りして、技を覚えました。」
「それにしても凄いわね。期待の新星だわ!」
「それで登録の方は・・・」
「もちろん、登録してもらうわ。売れる装備はいくつあっても足りないからね」
「良かったです。あと二人連れの旅の商人さんをご存じですか?」
「ああ、そう言えば先日変な依頼を受けたわね。お嬢ちゃんの事だったのね。5歳くらいの子で剣に炎属性の付与がされてる剣を持ってき子が来たら、この手紙を渡して欲しいって、頼まれたわ」
「それ、私の事です。王都に来る途中で知り合った商人さんで装備を多少値引いて売る。って約束したんです。可能ですか?」
「基本的に値段はギルドとの交渉なんだけど、今回は直接職人さんとの交渉が成立しているので構いませんよ。そのかわり定期的に商品の納品をお願いしますね」
「学業に支障が出ない程度に、頑張ります」
「学業って事は、冒険者育成学校の生徒さんなのですか?」
「そうですよ。後ろのエルフさんは私達の先生です」
「こんにちは。Sクラスの担任のフラウです」
「Sクラスって、お嬢ちゃんその年でSクラスなの?」
「はい。隣のローナもSクラスですよ。あっ、私は、リーサと申します」
「あら、ごめんなさいね、ローナちゃんとリーサちゃんね。しっかり覚えたわ。私はラパンよ宜しくね」
「はい、宜しくお願いします」
それからギルドに登録し規約や決まり事を聞いて鍛冶師ギルドを後にしました。
「フラウ先生、今日はありがとうございました。あと冒険者ギルドにも登録したいのですが?」
「それはまだ駄目ね。定期的に依頼を受けないといけないし、学校の授業にも差支えが出るから今は、鍛冶師ギルドだけにしておいてね」
「はぁい。鍛冶師ギルドは登録しても良かったんですか?」
「リーサさんは鍛冶スキルがあるからね。使わないでいたら勿体ないわ」
「わかりました」
「今回は旅の商人さんと約束があったみたいだから、鍛冶師ギルドに登録したけど、学校の中にも素材の買い取りや装備品の買い取りをやっているところもあるからね」
「おぉ!便利ですね。わざわざ王都に出なくても学校の中で色々な事が出来ますね。」
「売店では、鍛冶の素材や魔法の触媒や魔力石なんかも売ってるわよ。それも外で買うより安く売っているわ。素材の買い取りは、その日の相場で買い取ってくれるから外に売りに行って安く買いたたかれる、って事も無いわ」
学校内では、課外授業で仕留めた素材やなんかを買い取っているらしい。
学校には様々な施設があり、申請さえ通れば自由に使うことが出来るらしい。鍛冶場や練成場や闘技場。魔法陣を描く部屋など、外に出て行く必要がないほどである。
しかも使用許可さえあれば使い放題とのことなので、使わない方がどうかしてる。学校の売店では素材も安価に売っているので 本当に外に出る必要が無いほどである。
というか学校の外で問題を起こされるより、学校内で問題が起きた方が、もみ消せるとかそんな理由な気がする。。。そんなわけで早速、鍛冶場の使用許可を貰いに行く。その帰りに売店で素材を買い、鍛冶場に向う。
鍜治場につくと、フラウ先生の他に何人か見た事のない先生がいた。私が何事かと尋ねたら、先生達は私がどうやって付与武器を練成しているのかを見に来たとこのと。
「先生、練成って言っても特別な事はしていませんよ」
「いいのよ。イメージ魔法ってのに興味があるだけだから」
「はぁ・・・そうですか」
「じゃぁまず、素材の鉄を打っていきます。鍛冶スキルで何本かの剣を打ち、これにイメージ魔法で炎の属性を付けます。最初からイメージ魔法と練成でも打つことが出来ますが、これだと良い素材が入った時に鍛冶スキル不足で素材を駄目にしてしまうので、鍛冶スキルを鍛えるためにも、このやり方で作ってます」
「そういうものなのね~」
「本当はイメージ魔法も炎だけじゃなく、爆発だとかウオーターブレードとか、色んな属性を付ける事も可能なんですが使い手が分かり易いのと、事故を防ぐために作ってないんですよねぇ。炎属性だと剣に火を纏わせるだけですが、ウオーターソードは超高水圧の水を循環させるだけで、威力はかなりありますが、使い手にいちいち使い方を説明するのが面倒で・・・・・試しに実践してみましょうか?」
無限収納からウオーターソードを取り出す。そして水属性の魔力を通す。さらに水を細く回転させ高速で出すイメージをして剣の周りを循環させる。
そして鉄でできた剣を先生に持ってもらい、ウオーターソードを剣に当てる。そうすると、鉄の剣は真っ二つになった。先生達からはどよめきが起こった。
「これは鉄だけが真っ二つになるのかね?」
「いえ、モンスターなんかも真っ二つですね。下手したらドラゴンの鱗とかもいけそうな気がします」
「これを学校の売店に置いてくれ。説明は売店でするから」
「かまいませんが、魔力操作がチョット難しいですよ。慣れるまでは実践で使わない事が条件です。あと人同士の戦いでも禁止です。ってか、人同士の場合は使えないように設定しますね。魔物と野生動物や無機物以外のものへ使用しようとした場合は、ウオーターソードのまとっている水が自動で解除されるように設定します」
それでも人相手に使おうとする人は居るんだろうなぁ。
「あと金額は高めに設定させてください。非常に危険な武器なので、それ相応の剣の心得がある人にしか買えないようにして下さい。できればSクラスの人にしか使って欲しくありませんん」
「それでもこの武器で命拾いする生徒も沢山いるはずだ。売店での説明は徹底するので宜しく頼む!!」
「鉄の剣での試し切りは徹底してくださいね。鉄が簡単に切れるぐらいじゃないと実践ではただの水が出る剣ですから」
そうして半ば先生達に押し切られる感じでウオーターソードの販売が始まった。