魔剣の検閲
何とか魔法騎士団から二人の応援を呼べた、1人は魔法騎士団長のフューズ、もう一人は魔法の開発にしか興味のないアンドリュー、今回ヘリに乗せるからと言って無理やり連れだした。
2人は初めてのヘリに興奮しながらも、魔剣の製作者を探す仕事も忘れていない。2人には魔剣を渡して魔力の逆探知をしてくれと頼んだ、ヘリを街道沿い町や村などに近づけるから探してくれと。私はサーチの魔法を展開しもう探索を開始していると伝え、皆で探して、捕まえるのも皆でと話をした。
さすがに魔剣の製作者だまともな人間なわけがない。私1人でどうにかできるとは思えない・・・正直なところ魔法騎士団長が頼りだ。アンドリューは研究畑一筋という感じで、戦いでは役に立たなさそうだ。
そうこうしていると皆が魔力を感知した。私のサーチにも引っかかったし、2人の逆探知にも魔剣の魔力が感知されたと言う。持ち歩いているのであれば、当りだしわざと追っ手を撒くために魔剣だけ放置している可能性もある。
魔剣を見付けた者は魔剣とは知らずに確実に魔剣に触れるからだ。剣が落ちていれば金になると思い売りに出す、その売りに出すまでの間に確実に魔剣に蝕まれ、魔剣で人も獣もモンスターさえ襲うようになるそれが魔剣だ。
だから、追っ手を撒く以外にも王都を混乱させるという意味ではどちらにも使えるのだ。魔剣が戦うから拾った人間の能力は関係ない。だから魔剣の性能が良ければ良いほどこちらには不利になるのだ、だが幸いな事にこちらは魔法使いだ。遠距離からの攻撃がメインだ魔剣さえ手から落としてしまえば、あとはこちらの物だ、私の魔剣屈服で魔剣を封じ込めてしまえばいい。
このまま魔剣作成者が見つかると助かるのだが、段々と反応が近くなってきた、魔剣を握っていない、魔剣作成者の可能性が高い。このままヘリで近づいてナパームの残りを使って殺す事も可能だが・・・そうすると何のために王都に魔剣を流していたかが分からない。だが下手に近づいてこちらが攻撃されても面白くない。どうするか?こんなことなら『鷹の目』を使ってもっと遠くから確認すればよかった。相手はもうこちらに気づいている。このまま降りたら的になるだけだ、ナパームを使おう。
「このまま敵の前に降りたら的になるだけだ。こちらから遠距離攻撃をする」
「この魔道具にはそんな機能も?」
「本来ならば人に使うようなものではないのですが。あれだけの魔剣を作った人間だ、それだけの生贄もささげて来たはずだ」
ナパームが非人道的行為なのは分かっているが 今回はしょうがない
「ナパーム弾発射」
一気に辺り一面が火の海になる、魔力を探索しても魔力は感じなくなった。多分倒したのだろう、時間的にナパームが燃え尽きたころだ。ウンディーネを呼んで豪雨を降らしてもらう。そして雨が止んだらヘリを降ろして確認だ、その前にウンディーネに水の魔力石を渡し感謝する。あれだけの魔剣使いだ本当に死んだか確認しなければ、着弾地点に行ってみるとかなりの燃焼があったことが分かる。そこには魔剣も骨さえも無い確実に殺したとは思うが気になる、魔剣の燃えカスが無いのだ。私は知らないが転移の魔法などがあったら厄介だ。
「私は知らないのですが、転移魔法とかってありますか?」
「いえ、私も聞いたことありません」
「騎士団長がおっしゃるなら大丈夫ですね」
「ありますよ、転移魔法。場所を移動する魔法ですよね」
「本当ですかアンドリューさん?」
「ええ、私が開発しましたから」
「なら大丈夫ですよね?国の資金で作った魔法を市民に売ったりしてませんよね?」
「売りましたよ」
「はぁ!?何国の金で作ったもん売り払ってんだ!!!???お前今すぐ魔法騎士団止めろ!!百害あって一利無しだ。勿論研究資料の持ち出しも禁止だ、それが出来ないなら今すぐ殺してやる!!!光魔法改変、全ての関節を外し喉も潰せ『剣術魔法付与 反応速度超過付与』首を切り落としてやる。ゼータ!!!」
無限収納からゼータが飛び出す
「あいつの首を落とす、手を貸せ」
【OKマスター】
そうしたら、エンシェントドラゴンがアンドリューを踏み潰した
「これでよいかリーサよ」
「OK問題ない!!」
「あいつのせいで、魔剣が世の中に出回る確率が更に高くなった」
「エンシェントドラゴン???」
「魔法騎士団長大丈夫です、このドラゴンは私の仲間なので」
「エンシェントドラゴンが仲間ってどんな魔法使いだ?」
「だけどアンドリューのせいで、さっきの奴に逃げられた可能性がある」
「魔法騎士団長はどうやって責任を取るおつもりですか?」
「へっ?」
「さっきのアンドリューの言葉は、国に対する背任行為ですよ?民の税金で自分の懐を温めるなどもっての他」
「そっそれは奴が勝手にやったことで私には関係が無い」
「王様の前でもそう申し開きできますか?」
「魔剣造りの男を逃がしたのかもしれないんですよ?」
「それはリーサ殿の攻撃が甘かったのでは?」
「あれは1300度で燃えて、周囲の空気も燃やすから空気が吸えなくなって死に絶えます。転移魔法で逃げられたのであれば、その限りではありませんがね」
「アリーナさっきの男はまだ足の下?」
「ああそうだが?」
「ならいいわ、奴にも逃げられたとあっては、紅蓮の少女の二つ名は返上せねばいけなかった。念の為 首も落としましょう」
そしてアンドリューの息の根が完全に止まったのを確認して燃やした。アンデッドになっても困るからだそれから騎士団長のもとに向かい、王様に連絡をする。街で魔剣が増えています、増やしてると思われる人間は攻撃したのですが、魔法騎士団にいたアンドリューが創った転移の魔法で逃げられた可能性がある事、アンドリューは国の税金で研究をし市民に売っていました。税金の横領ですアンドリューは私とその仲間の手で始末しましたと。
「その仲間とは」
「エンシェントドラゴンです、古龍です」
「また、エンシェントドラゴンが仲間とは、リーサは全く・・・という事はリーサの後ろに居る美しい方は」
「はい、エンシェントドラゴンです。しかも龍種全てを統べるお方です。ここに居る龍聖の事もありますし。私は余程龍に縁があるのでしょう」
「分かった、龍族は総じて頭の良い種族だと聞く、その長であるエンシェントドラゴンが悪と断じた存在を国が良しとするわけにもいかぬからな、アンドリューはそれが運命だったのじゃろう。それと魔法騎士団長、アンドリューの件はどう責任を取るつもりなんじゃ?」
「そっそれは・・・・」
「魔法騎士団長は降格、これからは副団長として暫く過ごすがよい。時期が来たら戻す、魔法騎士団長の座は暫く不在とする」
「王様、魔剣の件はどうします?街中にかなり出回っています」
「魔剣を販売している者は即刻逮捕、所持しているものも同様、酷い者は国外永久追放とするとおふれをだせ。そして自分から魔剣の所持を自首し、魔剣を差し出してきた者には罪を問わないものとするとも書くのじゃ。更に魔剣は国が買い取るとも書いておけ、勿論安い値段だが・・・」
「王様、そうしましたら私が魔剣の検閲をしてもよろしいでしょうか?そしてアルファシリーズがあった時は私に買い取らせて下さい。勿論聖剣に復元します」
「それはこちらとしてもありがたい、他の魔剣も聖剣にしてくれると助かるんじゃが」
「体力の続く限りは」
「それでよい。じゃあ今すぐ街中におふれをだせ」
翌日検閲所には長蛇の列ができた。さすがに逮捕や国外追放されてはたまらないからだ。しかも魔剣を差し出せば買い取ってくれると来た。差し出さないわけがない、その検閲はリーサがやった。ただの安物の剣を魔剣だと言って持って来るバカ者は即刻逮捕した。国を騙そうとしたのだ捕まっても致し方あるまい。
いくら検閲してもアルファシリーズは出てこない。まぁそうそう出てくるとは思っていなかったが・・・・ だが出たのだ、アルファが名前を叫んでる【エータエータ】どうやら意識が無いようだ、これは魔力をごっそり持って行かれそうだ、これは今すぐ聖剣に戻さないとヤバイやつだな。だが他の目がある。一旦無限収納に入って貰おう、隠れた場所で騎士団には事情を説明し無限収納にしまう。
そしてまた検閲だ、アルファはエータが気が気じゃないようだが。無限収納は時間も止まるからと何度も説明した。分かってはいても心配なんだろう、アルファがこの調子じゃ他の兄妹が出てきても分からないよしっかりしなさいと怒った。そうしたらアルファは落ち着いた。
それからも安物の剣を持って来るバカがいたが、それ以外は無事に終わった。結局私と龍聖とアリーナはお祭りは楽しめそうにない。
毎日魔剣を持って来る人間がいる、どれだけの数が王都に入っていたんだ?もう100本を軽く超えている、裏で集計は取っているはずだが・・・
そろそろ聖剣にしていかないと、一か所に魔剣を集めすぎても良くないはずだ、もしかして犯人はそれが狙いだったのかも・・・
時間のあるうちに聖剣にして行こう、騎士団の人に魔剣を一か所に大量に集めると危険だからと伝え。少しづつこちらに持って来てもらう。そして一般人が見ていない場所で聖剣に変えていく。
これでラファージャは大量の聖剣を手に入れることになる。魔剣が来たら検閲を行い、居なくなったら魔剣を聖剣に変えていく。騎士団の人に言い初日とかに集めた魔剣も持って来てもらう。そして聖剣に変えていく。
魔力は底をつかないが、最後にエータが残っている、あの子にどれだけ魔力を持って行かれるかが心配だ。魔力回復量増加の影響でほとんど魔力は減っていない、しかもあれだけ有った魔剣を全部聖剣にしたのにもかかわらずだ。
神様ありがとう、貴女のお陰で色々助かってます。おっとまた魔剣が来た。なんだ?この禍々しい気は 今までの魔剣の比じゃない。その時アルファが叫んだ。
【グザイ、グザイ、マスターこれはやばい早く助けてくれ】
騎士団の人に後を任せて裏に行く。
『魔剣耐性』『魔剣屈服』『魔力増加』『体力増加』『魔力回復量増加』『体力回復量増加』これで行けるか?私は『グザイ』を握る、魔剣耐性と魔剣屈服に力を込めて魔力を注いでいく。魔力をどんどん吸われていく、まぁ魔力量回復増加もあるから回復もしていくのだが。それでも追いつかない、ジリジリと魔力を吸われていく、それにしても長い、こんなに時間が掛かったのは初めてだ。ゼータより長いぞ、そう思っているうちに剣が輝きだした。
【グザイ大丈夫か?】
【アルファの兄貴、俺はいったい魔剣にされたまでは覚えているんだが・・・】
「どんな奴に魔剣にされたの?」
【あんた誰だ?馴れ馴れしいぞ、俺はアルファシリーズのグザイってもんだ。お前みたいのに簡単に声を掛けられるような存在じゃないんだ!!!】
【バカ!!!グザイを助けてくれたのはこのリーサだ。お前を魔剣から解き放ってくれたんだよ!!!】
【そうだったのかすまない。まだ頭の整理がついてないんだ。助けてくれてありがとう俺を助けるのは大変だったろう?】
「いいのよ、それよりどんな奴に魔剣にされたの?」
【フードをまぶかに被った怪しい男だ、それ以上は覚えていない】
「ありがとう、これでまた一歩敵に近づいたわそれよりここから先は二人で話してて。他の人にあまり聞かれたくない話もあるだろうから」
「リーサさんまた魔剣を持った男が来ました」
「分かりました、今行きます」
そしてまた、検閲に時間をかけて行くのだった。その傍らにはベータに居て貰った、じゃないとどれがアルファシリーズか分からないからだ。だが最終日になってもアルファシリーズは現れなかった。最終日検閲所は騎士団の人に任せ、魔剣だと言って持ってきた物は全て安く買いたたいて貰った。そして私は他の騎士団の人と街の武器屋を検閲していく。特に露店で出している武器屋をだ。