魔剣探索
1週間の祭りの始まりだ、皆早起きして修練場に集まる。リフレッド先生が点呼をして皆で王都に繰り出していく。まだ朝早いというのに町はにぎわっている。いつもの商店は店の前にテントを張って店を拡張して商売をしている。それ以外の広場や公園などは大道芸人や、普段は街から街の移動で商品をさばいてる商人が店を出していたりと意外に面白い。それに食べ物は神様の優しさで日本と変わらない食べ物ばかりだ。昔読んだ転生物だと、食事で苦労するネタが書かれていたが私には縁のない話だ。じゃがバターやベビーカステラまである、流石に七味屋さんが出てるのには驚いた。飴細工のお店や、クレープなどお金がいくらあっても1週間持つだろうか?ちなみに剣や防具の店も出てるので念のためアルファを腰に下げている。価値の知らない商人がアルファシリーズを売ってるのを期待してだ。アルファには、何かあったら私にだけ聞こえるように声を掛けてくれと頼んである。
男子たちがハンマーで土台を叩いて上にある鐘を鳴らすゲームを始めた。鐘がなるとお金がもらえるらしいSクラスの男子がやって鐘が鳴らない。これはという事でリフレッド先生がやった、そして初めて鐘が鳴った、店の人が不思議そうな顔をしている。はなから鳴らない使用になっていたのだろう。だがそこは競技大会の優勝者地力が違う。リフレッド先生は生徒の意趣返しとばかりに、何回もやってお店の人から出禁を食らってた。まぁ男子たちは先生がお金を取り返してくれたので大喜びだ。私達女子はクレープなどを食べていた、そうしたらアルファが声を掛けてきた。
【マスターあそこに魔剣がある。あのままじゃ危険だ】
「おじさんそこの魔剣売って、もうそろそろ暴発するよ」
「何言ってるんだいお嬢ちゃん?」
「早くしないと近くの人の魔力吸って暴発寸前だよ?暴発して騎士団の人に連れて行かれたくなかったら私に売って?」
「よしてくれよ、魔剣なんか売ってるわけが無いだろ?」
「じゃぁ知らない騎士団呼んでくるね」
「まてまてまて、どれが魔剣だって言うんだ?」
「これだよおじさん、握ってごらん魔力を一気に吸われるから」
「はははは大丈夫だよ、さっき並べるときに触ってるんだから、ほらってなんだこれ魔力が・・・」
「早く手を離さないと死ぬよ?だから売って私なら魔剣を封じ込めるから」
「ははは、いくらで買うんだい?」
「いくらで自分の命を買うの?私は学校でSクラスだから分かるの、あと少しだよ?おじさんは騎士団に連れていかれるか?魔剣に魔力を吸われて死ぬかどっちが良いの?・・・私は巻き込まれるのが嫌だからもう行くね。騎士団のお兄さん、あそこで魔剣を売っているおじさんがいますよ」
「リーサさん本当かい?」
「嘘はつかないわ、そろそろ暴発するから気を付けてね、私なら抑えられるんだけど私に売ってくれなかったから。もう知らない」
「おい、そこの商人この子にその剣を早く売りなさい。売らないなら連行するぞ」
「いくら騎士団でもそれは横暴じゃないか!!」
「ああ、もうだめだわ3・2・1・0ボンッ」
「ローナ出番よ、この付近で怪我した人を治して。請求はそこのおじさんで」
「まぁそのおじさんも怪我してるけどね」
「おじさんも回復した方が良い?」
「さぁ自業自得だからしょうがないんじゃない?」
「騎士団の方これそこのおじさんへの治療費の請求書、祭りは1週間あるからまた似たようなケースがあると思うわ、その時に私に剣を渡さない人は問答無用で捕まえて、そして商品を取り上げて」
「分かった、これからも協力をお願いします」
「ちなみに、そのおじさんはどうなるの?」
「まぁ暫く牢屋暮らしだろうな?」
「そう、それくらいならいいわ、自分が悪いんだしね」
「何なんだ彼女は」
「紅蓮の少女の二つ名を持つ、凄腕の魔法使いだ」
「お前が素直に商品を売っていればこんな事にはならなかったな!」
「くそ、商売っ気を出したばっかりに・・・・・」
【マスターどうして止めなかった?】
「そんなにたいした被害にならないと踏んだから、今後の為にわざと爆発させたのよ。じゃないと騎士団も信用してくれないしね、せっかく教えてくれたのにごめんね」
【理由があったのなら構わない。だが同じ剣として仲間が死ぬのは辛いからできる事なら助けてやってくれ】
「ごめんなさい。分かったわ」
【そう言ってるうちにもう1本魔剣だ】
「おじさんその剣いくら?」
「白金貨1枚だ」
「高いわもっと安くして?だってそれ魔剣よ?知ってて売ってるなら騎士団がいるから通報するわ」
「分かった、金貨1枚で良い」
「やっぱり魔剣て知ってて売ってたのね?どこで仕入れたの?」
「ここに来る前に旅の商人からだ、フードをまぶかに被ったチョット怪しい感じの奴だった」
「その人もこの王都に?」
「いや、王都とは逆方向に行ったよ」
「ありがとう、じゃぁ金貨1枚ね」
「あいよ、魔剣なんか買ってどうするんだい?」
「私の魔法で聖剣に変えるのよ『魔力注入』ほら、剣が虹色に輝きだしたでしょ?」
「それを売ってくれ」
「駄目よ聖剣は魔剣にもなりやすいの、だから私が保管するわ」
「駄目か・・・・」
「そもそも魔剣を持ってることじたい犯罪よ」
「それが分かってても欲しいやつはいるのさ」
「まぁいいわ、情報ありがとね」
「なに、騎士団に突き出されるよりましさ」
「気を付けて商売してね」
「おう、嬢ちゃんも変な奴に目を付けられない様に気を付けな」
「ありがとう」
「意図的に王都に魔剣を流してるやつがいるわね」
【そうみたいだな。マスターあそこにも2本あるぞ】
「おじさん、そこの魔剣2本とも売って頂戴」
「おいおいいきなり何を言い出すんだい?魔剣なんか売ったら捕まっちまう」
「売るのもそうだけど持ってるのも犯罪よ?」
「どうする?今なら騎士団はいないわよ?安く売ってくれるなら買うわ?」
「仕入れにいくらかかってると思うんだ?安くなんか売れるか!!」
「そうじゃぁいいわ、またね」
暫くして騎士団を連れて戻ってくる
「この2本が魔剣よ、それと意図的に王都に魔剣を流してる奴がいるみたいだわ。取りあえず、このおじさんを捕まえて。魔剣は私が処分しておくわ」
「何なんだお前たちは?」
「何に見える?騎士団には見えないか?」
「何でこんなガキの言う事を信用してるんだって話だよ」
「彼女は隣国エルドーラでモンスター3万匹を一人で焼き尽くした。紅蓮の少女という魔法使いだからだよ」
「なんでそんなのが街中歩いてんだよ」
「ラファージャの英雄だからかな?そんな話は良いんだけど、あそこでも魔剣売ってるわよ付いて来て」
「わかった、今行く」
「誰が王都に魔剣を、何の為に?」
【アルファシリーズは無いがな】
「それはそうだけど数が多すぎるわ。それに売った人間の風貌も似たような人だし、多分同一人物よ」
【マスターあそこにもあるぞ】
「本当に嫌になるわね、私遊びたかったのに・・・騎士団の人あそこもよ」
「なんだなんだ?何で騎士団が?」
「お前が魔剣を売ってるからだ!!」
「そんなもの売ってないぞ」
「じゃぁこの剣の柄を握ってごらんなさい。ほら早く」
「すみませんでした」
「ほら、御覧なさい」
「騎士団のみなさんお願いします」
「この調子だと武器屋なくなっちゃいますよ」
「かといって魔剣の所持は違法だからな」
「私だけじゃ切りが無いわ。騎士団か魔法騎士団に魔剣が分かる人いないの?」
「魔法騎士団に恐らく一人だけ」
「それでもかまわないわ、誰か早く連れてきて、このままじゃ誰かが王都に魔剣を流してるかも調べられない」
「それが変わった奴でして、決して表に出ようとしないんです」
「そんなの魔法騎士団に置いておく意味あるの?」
「それが魔法の開発は得意でして、それで魔法騎士団でも困ってるんですが手放せないんです」
「もういいわよ、私が全部やれば良いんでしょ!!!ほらあそこも魔剣があるわ!いったい何本あるのよ」
それから1日魔剣探しで終わった。誰かが確実に魔剣を王都に流してる、今までも少しずつ流されていたんだろうが。今回一気に流されている、魔剣が王都で買われて暴れまわるように?それとも魔力の吸い過ぎで爆発するように?目的は分からないけど魔剣を作り魔剣を売ってる奴がいる。王都に喧嘩を売ってる奴がいる、探さないと、魔剣に残った魔力からサーチできないかな?ヘリで移動しながらサーチで探すとか、街道や町中を重点的にやってみるか。ってかやらなきゃ、騎士団長と魔法騎士団長に付いて来てもらって。私一人じゃ捕まえられない、取りあえず騎士団長に話に行こう。
「騎士団長、王都に魔剣を流してる奴を捕まえるのを手伝ってもらえませんか?」
「リーサ悪いが、今は祭りでいざこざが多すぎて魔剣を流してる奴を捕まえには行けないよ」
「魔法騎士団長なら興味を持つかもしれないが、紹介しようか?」
「お願いします、このままじゃいつまでも魔剣が出回ります」
そして魔法騎士団長のもとに行ってみた、魔法騎士団長も魔剣には困っていて、探すのに協力的だ。もう一人魔剣に詳しい人がいると聞いたのですが?と尋ねてみる。あいつは部屋から出てこないよとそっけない返事だ。
「戦闘ヘリに乗って空から探すとしても出てきませんか?乗ってみたくないですかね」
「空飛ぶ乗り物か、それなら交渉してみよう」
そして、交渉の結果空飛ぶ乗り物には勝てなかったみたいだ。じゃぁお空の散歩に行きましょうか。