神の巫女になっちゃった・・・
龍聖とエルドーラからの帰りに前方から何かが近づいてくる。王様がヘリで夜に飛んでいるのかな?と思ったが、大きさが違うかなり巨大なのだ、私はサーチを使い急いでその物体を調べてみる。するとまさかのドラゴンだ・・・これはヤバイと旋回し逃げ出した。するとドラゴンは追ってくるではないか、これはヤバイ、速度がドラゴンの方が早い、龍聖と2人なんだから攻撃ヘリにすれば逃げ切れたかもしれないが、今はそれどころじゃない、すると龍聖が。
「あのドラゴンさん話があるから止まれって言ってるよ」
っというのである、龍聖の言う事も信じたいが、頭は逃げろって言ってるし、でも速度が足りなくて逃げきれない。しょうがない、龍聖の言う通り大きな草原に大型輸送ヘリを降ろす事にした。そうするとドラゴンも降りてきて大型輸送ヘリの前に鎮座している。なにやら龍聖と話をしているみたいだが私にはわからない。しょうがないので腹をくくって龍聖とヘリから降りていく。ちなみにイメージ魔法でミサイルを作る準備は万端だ、この距離で打つとこちらも被害をこうむりそうだが、貫通するように弾頭から火薬は抜いてある。使わないで済めばそれに越した事は無いが念のためだ・・・
「龍聖、このドラゴンさんは何て言ってるの?」
「えっとね『その大きな空飛ぶものは何だと』聞いてるよ」
「えっとドラゴンさんに、私にもわかるように人語で話してもらう事は可能か聞いてみて」
「分かった」
暫くの沈黙の後、綺麗な声が聞こえてきて、更には光と共に綺麗な女性が現れた。
「人族と話すのは久しぶり故何か間違いがあったら教えてくれ」
「わかりました、私はドワーフのリーサと申します。隣にいるのはホーリードラゴンの龍聖と申します」
「そうか、リーサよ私はエンシェントドラゴンのアリーナだ」
エンシェントドラゴンと言えば古龍のはずだ。その古龍が私達に何用?
「アリーナ様、今回は私達に何か御用がおありですか?」
「ふむ、まず人間のお前がなぜホーリードラゴンの赤ん坊を連れて歩いている?」
「それは、あるダンジョンで死にかけていたドラゴンの卵を見つけ。私の魔力で孵化させたからで御座います」
「そうか、仲間を救ってくれたこと感謝する。だが聖なる龍は人に狙われやすいリーサの年では守り切れないのではないか?」
「ママは強いから大丈夫だよ。今までもずっと守ってくれたもん」
「そうか龍聖、良い母親代わりを見つけたな」
「だが龍聖よ。これからも守り切るとは限らん我と一緒に来ぬか?」
「やだよ、ママの傍から離れない!!」
「リーサよ。余程気に入られているみたいだな」
「はい。私も龍聖と離れるのは自分の身を切り割く思いで御座います」
「そうかわかった。この話はここで終わりだ、次の質問だ、なぜリーサは空を飛んでいる?空は我ら龍種の領域ぞ」
「それは失礼いたしました。ですが、私は自分の魔法で空を飛ぶ魔道具を作り出し、空を自由に飛ぶことに成功しております。余談ですが変化の術でドラゴンにもなれます。ドラゴンになり、龍聖に獲物の取り方などを教えております」
「本当に変わった人間だな、ドラゴンにもなれるか。まずは本当にドラゴンになれるのか見て見たい。変化して見せよ」
「畏まりました『変化・龍化』これでよろしいでしょうか?」
変化した姿はさっきのアリーナ様と一緒くらいだ。かなり大きいはずだ、大きいから強いわけではないのだが、一応変化には成功した。龍聖との修業の成果だ。
「ふむ、本当に変化できるようだな。ドワーフがドラゴンに変化とは面白い。ドラゴンの変化は龍人の龍化だけだと思っておったわ。リーサは普通のドワーフではないのか?」
「はい。実は異世界からの転生者で御座います。この力も神様から譲り受けたもので御座います」
「何?神とな?これは不遜な事を平気で口にする。恐れを知らぬのか?」
「いえ、真実なればこその言葉で御座います」
「ならばそれを証明して見せよ、出来ぬであろう。神がドワーフごときにそのような力を与えるわけがないのだ」
「分かりました。証明いたしましょう」
「何?」
無限収納から対のオーブを出す。
「これは神様から譲り受けたものの一つで御座います。このオーブの向こうに神様が見えてきます」
「これは面白いことを言う、古龍の我でさえ神に会ったことなど無いのにリーサはあったことがあると?」
「はい。そうでございます。信じるか否かはアリーナ様次第で御座います」
対のオーブが輝きだした。そして神の部屋が映し出される。そして例のごとく着替えている。この神わざとやってるんじゃなかろうか?
「神様?」
『ひゃあ』
「お着換え中に申し訳ありませんが、わざとですか?わざと私が連絡するのを見計らって着替えておられるのですか?」
『そんなわけないじゃないですか?』
「今回非常に困ったことが起こりまして。私が転生者だと説明しなくてはいけなくなりました。こちらのアリーナ様に説明をして戴けませんか?」
『良いですよ、おおこれは珍しい。エンシェントドラゴンじゃありませんか?」
「人に変化した我をなぜ見破れる?」
『それは私が貴方達を創造した神のうちの一人だからです。それくらい見抜けぬようでは神の名は名乗れません』
「本当に神だと言うのなら何か。証明をして戴けませんか?」
『良いでしょう。そこに巨大な雷でも落としましょう【雷豪】』
神様の掛け声の後に辺りは暗くなり、とてつもない雷が落ちてきて森を燃やし始めた。
「神様ちょっとやり過ぎでは?」
『そうですね森林破壊はいけません【豪雨】』
今度はゲリラ豪雨のような雨が降ってきた、だが私達はなぜか濡れていない。周りにしか雨が降っていないのだ。
『これで、ちょっとは信用していただけたかしら?』
「分かりました。不遜な態度の数々お詫び申し上げます。貴女様は神そのものです」
『よろしい!で、リーサさんは何でそんな面倒な状態になっているのですか?』
「私が作った大型輸送ヘリで空を飛んでいたところ、エンシェントドラゴンのアリーナ様と遭遇し、話し合いの結果こうなっております・・・」
『まぁ何となく分かりました。空は龍種の領域ですからね、ドワーフが空飛んでたら怒られますよね』
「そうは言われましても、私も神様からの能力で空を飛んでいるだけの事。領域うんぬん言われましても知らなかったとしか。答えようが無かったのです」
『そうでしょうね、私そこまで教えていませんもんね。どうでしょうアリーナさんとやら、このドワーフは私の眷族も同様の力を与えています。ここは大目に見て貰えませんか?』
「神がそう仰るのならば我ら龍種に異論はございません。リーサ殿が作るものに関しては関与しない事を誓いましょう」
『そうですか、ありがとうございます。多分これからも空を飛ぶ乗り物が増えると思いますが、大目に見て下さい』
「畏まりました。これから空で見た事の無い物を見つけた時は、リーサ殿が関わっているとして関与しない事に致します」
『それを龍種全てに徹底することは可能ですか?』
「幸いわたくしめは龍種の頂点に立つ古龍で御座いますれば。それくらいの事は簡単で御座います」
『そうですか。それは良かった、リーサさんお許しが出ましたよ。これで問題はなくなりましたね?』
「ありがとうございます。対のオーブを貰っていて、今日ほど良かったと思う事はありません。本当にありがとうございます」
『いえいえ、色んな意味で私のせいでもあるので、気にしないで下さい』
「そう言われればそうですね・・・・・・・・・まぁいいです。今は幸せですので」
『そう言って貰えると私も肩の荷が下ります。それでは、又何かあった時に連絡ください』
「着替えは本当に狙っているわけじゃないんですよね?」
『あっ当たり前じゃないですか。理沙さんの世界の読者サービスとかじゃありませんから」
「神様がなんか、変な言葉を発してますが気にしない事にします。本当にありがとうございました。アリーナ様もこれで満足して頂けましたか?」
「うむ、リーサ殿を疑ってすまなかった。あれだけの神の御業を魅せられば信用しないわけにはいくまい。そして神の眷族と同じ御業を持っているとの事だから、我らが従わないわけにもいくまい」
「いや別に従って貰わなくても良いのですが・・・・」
『あっ、多分無理だと思いますよ。龍種は神の信仰が強いので、私の眷族のリーサさんは神の巫女と同じ扱いです』
「なんと?ええっと、本当に?神の巫女扱い?」
『ええ、本当に神の巫女扱いです。良かったですね。最高の護衛ですよ』
「そうですな。我がリーサ殿の護衛を致しましょう」
「えっ?えっ?えっ?何この展開?私にはアヤメさんて護衛が・・・・アヤメさん?アヤメさん?あれ?どこに?」
「先ほどリーサ殿の近くにいた人間は、我の姿を見て逃げ出しましたぞ?」
「ひどい!ひどいよ、アヤメさん・・・・アヤメさんのばか~」
「まぁ、良いではないか、リーサ殿の護衛を人間ごときに任せるわけにはいかぬからな!!」
「まぁ。しょうがないか、私でも逃げ出したかもしれない状況だしね。神様との通信も見られなくて済んだし良かったとしましょう!!」
『そうですね、私との通信は普通の人には見られない方が良いですよ』
「ええとあと1つ気になることが、アリーナさんが私の護衛に付いたら、誰が龍種に空を飛んでるのは 神の巫女だから手を出すなって伝えに行くんですか?」
「それも大丈夫だ。リーサ殿の事はもう我が龍種全体に伝えた。ドラゴンは遠く離れていても話をすることが出来るのだ」
「ママ、さっき私が話してたのもそれだよ」
「そうか、龍聖もドラゴンだもんね」
「ママの子供だけど、ドラゴンだからね」
「本当にリーサ殿と龍聖は仲が良いのだな」
「龍聖とはちゃんとした親子ですから」
「分かりました。気になる事も解決したので。長々と引き留めて申し訳ありません神様。それではまた何か問題がありましたら。連絡をします」
『はい、分かりました。まぁ最強の護衛が付いたから、問題はアルファシリーズくらいだと思いますけどね』
「あっ、そう言えばその後のアルファシリーズの行方はどうなりました?」
『強い封印に邪魔されて、まだ見つかっていません』
「ちなみに、うちの実家に4本ありましたけど」
『えっ本当に?凄い封印でもしてました?』
「普通のカギがかかってるだけでしたけど・・・・・」
『おかしいなぁ?なんで見つからないんだろう?』
「まぁ、保存の状態が悪くて死にかけてましたけど」
『あぁ、それが原因ですかね?』
「そうしたら。今も死にかけの聖剣か魔剣、もしくは凄い封印の場所に隠された聖剣か魔剣があるって事ですね?死にかけはやばそうですね。早く探さないと、学校に戻ったら聖剣や魔剣の伝説を調べてみます」
『私の方でも探しますが、そちらでも宜しくお願いします』
「分かりました。ではまた」
『はい。さようなら』
対のオーブから光が消える、オーブを無限収納にしまい。改めてアリーナさんと話す。
「護衛という事は、常にそばに居るって事ですよね?」
「そう言う事ですな」
「はぁ、リフレッド先生にどう説明しよう?分かりました。今日はもう遅いので帰りましょう。アリーナさんは常に人型でお願いしますね。街中で古龍が現れたら大変な事になるので」
「分かりました。リーサ殿がそう望むのであればそうしましょう」
「あっ、アリーナさんに1つお願いがあるんですが。今度人気のない山奥で龍聖を鍛えてやってくれませんか?私では限界があるので・・・・龍聖も良い?そうしないと強くなれないから頑張って」
「我は構いませんが、龍聖が付いてこれますかな?」
「そこは手加減しながらお願いします。龍聖もママを守れるくらい強くなってね?」
「うん、分かった。ママを守る為に頑張る。アリーナさん宜しくお願いします」
そうして大型輸送ヘリにアリーナさんも乗ってもらい。寮に帰るのであった、そしてアリーナさんは終始ご機嫌だった。神の巫女に仕えることができ、神様にも会えたと今日の喜びを噛みしめていた。寮に戻ったらローナに新しい護衛の人と説明し。イメージ魔法でベッドを作り、無限収納からご飯を出して皆で食べるのだった。明日からどうしよう・・・・