王様に特製リムジン買って貰った
王様の車を作るのは午後だが、今日は朝早く起きて設計図を引く。流石にリムジンになると。馬車が走る道じゃ長さ的に曲がれない場所も出てくるだろうから。長さは馬車が普通に曲がれる道の長さにあわさなきゃいけない。そうなるとあまり長いのは実用的じゃないしな、もしくは長さの調節が出来るボタンでもつけておくか、そうだなそうしよう、中の部分は椅子とか含めて伸縮性を持たせて。固い部分はスライド式で最大で全長が2メートル短くなるようにしよう。どうせ車には王様と彼女くらいしか乗らないだろうから。車の真ん中が短くなっても問題ないだろう。接合部の防水をしっかりして、よし!だいたいの設計図は引けたあとは午後だ。
今日の授業はエドモンド先生による古代遺跡の謎だった。何てタイムリーな、古代遺跡にはアーティファクトと呼ばれる、現代ではどうやって作られたのか分からない神秘的な魔道具があることがあるらしい。どうしてそこに封印されていたのか分からないような物や。呪われた魔道具などもあるらしい。
「エドモンド先生は古代遺跡に詳しいのですか?」
「そうだねぇ、まぁ他の先生達よりは詳しい方かな?」
「一昨日の事なんですが、有名なリゾート地に王様に連れて行ってもらいまして、そこの海にクラーケンが大量発生していたんですが。その真下に海底神殿がありまして。金銀財宝と1本の魔法剣があったのですが何かお心当たりはあったりしますか?」
「ん~心当たりはないが、クラーケンが大量発生していたと言う事は、大量の魔力がそこに溜まっていて、それを求めてクラーケンが集まったんだろうね?」
「ということは、その魔法剣には大量の魔力が内蔵されているという事ですか?」
「きっとそう言う事だろうね、試しに見せて貰ってもいいかい?」
「いいですよ、でも頭に直接話しかけてきますよ」
「それは、珍しいね。見せてくれるかい」
「待って下さいね、無限収納から出しますから」
【いきなり収納ボックスに、しまうってどういう事じゃ?】
いきなり辺りに響く声、というか頭に響く声、皆にも聞こえたようで皆不思議な顔をしている。
「収納ボックスじゃないよ、無限収納だよ」
【もっと悪いわ、このボケ】
「口が悪いなぁ、もう一回しまうよ?」
【あぁ待って待ってごめんなさい。久しぶりに出れたからテンション上がっちゃって】
「先生、こんな剣なんですけど・・・わかります?」
「わからないなぁ、確かに魔力は凄いけどリーサさんの魔力の方が全然多いし」
【なんで?なんで?こんな小娘がこんなに魔力保有してるの?わしより、魔力多いじゃないかぁ】
「うるさいんでしまいますね」
【あぁ、まってぇぇぇ】
「なんか、うるさいだけの剣だったね」
「まぁ、魔剣にも色々あるって事だね。今回は外れだったのかもしれないね」
「最初に持った時は我を使えば。神羅万象全てが切れるって豪語してたんですけどね」
「その割には魔力、少なかったね」
「だよねぇ」
その日はそれで、授業は終わった
『イメージ魔法 鍛冶 練成』錬成光と共に王様の車が完成した。ボタンを押して全長の調整をしてみる。全長の調整に3分、まぁそんなものかな?中に乗ってボタンを押してみる。違和感はないな、最初に「曲がり切れない場所があるから全長を短くします」と連絡さえ貰っておけば問題ない、あとこのボタンを押すとうフラットのシート『ベッド』になる。運転席との仕切りが上がり。後ろが見えなくなり音も漏れない。これで王様も満足でしょう。
では、これを試乗がてら王城に届けますか。王城に着き門の前で王様を待っていると、王様が走ってきた
「リーサよ、もうできたのか?」
「はい、王様」
「今回は車体の長い車ですので、トラックの運転技術が卓越している方が運転することをお勧めします」
「おお、今度は真っ白な車なのだな?」
「中は紫に仕上げております。そして街中を走る際に、この車の長さでは曲がり切れない道もありますので、全長を短くするボタンも付いております。ここです、中に乗って見ててください」
「おお、車体が短くなったな。これで狭い道も入って行けるという事か?」
「そうです、そして車内のこのボタンを押すと。シートがフルフラットになりベッドになります。そして、運転席との間に間仕切りが出てきて後ろが見えなくなり防音になります。これで彼女とムフフな事も可能です」
「なんと?そんな機能まで、至れり尽くせりではないか」
「そう言って貰うと作った甲斐があります。あとこの箱ですが、開けると冷たくなっておりますので。なかに冷たい飲み物を入れて置くこともできます。お仕事の後の冷えた飲み物は最高でしょう?」
「そうだな、一仕事終えた後の冷たい飲み物は最高だろうな?」
「そうですね、それで王様はこの車にいくらの値段を付けますか?」
「白金貨100枚を支払おう」
日本円で1億円かそんなにもらえるのか?
「ありがとうございます。それだけ気に入って貰えたと思ってもよろしいので?」
「おお、そう思って構わんぞ」
「それにしても王様?そんなに車を所有してどうするので?」
「完璧に趣味じゃな。他の王が持っていないものに、金を払うのは惜しくない」
「分かりました、今後も王様がお気に入りになれる車を作りましょう」
「ワシとしては、あのヘリと言う空飛ぶ乗り物も欲しいのじゃがな?」
「あれは魔力制御がかなり難しく、少し間違えると墜落して死んでしまいます。今の平和な世の中を維持する為にも。王様には長く治世を収めて頂きませんと」
「そうか、惜しいのう。あれがあれば他国への訪問も少しの時間で済むと言うのに」
「他国にあれで訪問されますと。新種のモンスターと勘違いされる恐れがあります」
「その辺は手紙で先にやり取りするぞ」
「それであれば、その時は私めに運転の指示を出してください。そうすれば学校も文句は言えません」
「そうじゃな、それであればこの前のリゾートに行った時のヘリが良いな。他国の王に自慢したいからな」
「かしこまりました、それではその時はお呼びください」
「うむ、わかったぞ。それにしてもリーサよ、最近会話が前より硬くなっておらぬか?」
「王様の手前ゆえ、言葉遣いに気を使っておりますが」
「前のままでかまわぬぞ、リーサはワシの友達じゃからな」
「よろしいので?」
「うむ、かまわん」
「はぁ、助かりました。あの喋り方はかなり気を使うので・・・・」
「そうじゃな、その方がリーサらしいぞ」
「分かりました、ではではこれからも新製品をお持ちしますので。宜しくお願い致します」
「分かった、面白いものが出来たらまずワシのもとに持って来いよ」
「はい、それでは彼女さんに、石鹸とシャンプーとヘアマスクのセットを説明書付きでお渡しください。お風呂で使う女性用の美容品です。あと新商品のポロポロクリアジェルも付けましょう。お肌がツヤツヤになります。これも説明書が付いてます」
「これで、わしの株も鰻登り間違いなしじゃな!」
「あ、そう言えば、王様の部屋に取り付けたエアコンの調子はどうですか?」
「おう、あれも良い感じじゃぞ。一仕事終えた後は体が熱くなるからな。部屋全体が涼しくなって良い感じじゃ」
「それは良かった、何か不具合が出たら教えて下さいね」
「わかった、あのような魔道具を治せるのはリーサしかおらんからな」
「ではでは、今日はこの辺で失礼します。リムジンの乗り心地も今度聞かせて下さいね?」
「色んな意味での乗り心地があるが、まずは普通に乗り心地を教えよう」
「はい、分かりました」
そうして王様のリムジン納車は終わった。今度は部屋に帰ってあの変な剣に話を付けよう。トラックを出して寮まで戻ろう。寮に戻りローナと食事をして、龍聖にご飯をあげて、お風呂に入って、さぁ準備は完了だ。
「ローナ昼間出した変な剣あるでしょ、あれとちゃんと話を付けたいと思っているんだ。チョット付き合ってくれる?」
「いいよ~。リーサ一人じゃ心配だし」
「ありがとうローナ大好き、では出すね」
無限収納から剣を出す、すると剣は静かに寝ていた・・・・・
「もしも~し、起きて貰えますか~?」
【ん、誰だ?人の眠りを妨げるのは?】
「私です私、あなたを見つけたリーサです」
【おぉ、嬢ちゃんリーサって言うのか?よろしくな。俺は『アルファ』っていうんだ】
「では、アルファさん、あなたは本当に神羅万象が切れる剣なのですか?」
【おお切れるぞ!っていうか。魔力が随分と減っているから今の状態じゃ無理だがな・・・】
「じゃぁ魔力が戻ったら何でも切れる剣に戻れるんですか?1回1回魔力切れになるんですか?」
【いや、そんな事は無いぞ、封印されている間に魔力が空間に溶け出してしまったんだな?だから1回充電すれば暫く持つぞ】
「そうですか、じゃぁ今から充電しますか?」
【そういうても、リーサが充電してくれるんか?】
「はいそうです、魔力だけは自信があります」
【そうは言っても、普通のドワーフだろ無理があるぞ】
「大丈夫ですよ、やってみましょう。どうすればいいですか?」
【俺を握って魔力を込めるだけだな、無理なら途中でやめとけよ死ぬからな】
「分かりました。じゃぁアルファさんを握りますね 」
【おう、俺も無理には吸わないから無理なら本当に途中で止めろよ。干からびて死にたくないだろ?】
「確かに、干からびたくはありませんね。でも行きます」
そしてアルファに魔力を注ぎ込んでいく、そうしたらアルファに異変が起きた。
【おおおおおおお。久しぶりに力がみなぎってくる】
そうして、アルファが七色に光りだしてきた。
「リーサ大丈夫?辛くない?」
「大丈夫まだまだいける」
【おいおいまだまだいけるって、どんだけ魔力有るんだよ?本当に人間か?】
「人間と言うか、ドワーフですね」
【そういう問題じゃないだろ】
「でもまだまだいけますよ。まだ魔力の半分も使ってませんし」
【そうなのか?ってか、こっちの方が魔力いっぱいでお腹いっぱいで。もういっぱいいっぱいなんだが】
「そうなんですか?まだまだ魔力補充できますよ?」
【もう十分だ、全盛期に戻ったよ疑ってすまなかった。リーサは俺を持つにふさわしいだけの魔力を持っているな。できれば俺のマスターになってくれないか?】
「マスター・・ですか?何するんですか?」
【俺を使って戦ったり、封印を解いたりあるいは回復にも使えるぞ】
「はぁ、そうなんですか?私達まだ学生なのであまり戦いとかに縁が無いのですが・・・・」
【そう言わずにお願いするよ、俺の持ち主は大抵魔力不足で途中で死んでしまうものが多くて、封印されちまったんだ】
「そうなんですか?今日は龍聖にご飯あげた後なので。魔力全開からアルファに魔力注いだわけじゃないんですが。それでも半分以上魔力残ってますよ」
【その龍聖ってのは?】
「ホーリードラゴンです、私が育ててます」
【そうか、その魔力はホーリードラゴンの恩恵か。確かに普通の人間の魔力じゃないわけだ】
「あそこのベッドで寝ているのが、龍聖です」
【そうか、まだ子供なんだな、、でも魔力は美味かったぜ】
「ああ、それは私の固有魔法でイメージ魔法と言うのがあって、想像したものを全て具現化できるので、普通の魔力とは違ったんだと思いますよ」
【そうかそうか、それなら更にマスターになって欲しいな。あれだけ美味い魔力も中々ないからな】
「魔力に美味いも不味いも、あるのですか?」
【俺が今まで食ってきた魔力の中では断トツだな】
「リーサ、アルファさんもここまで言ってるんだから。マスターになってあげたら?」
「ローナはそういうけど、マスターになる方は色々気になることが多いんだよ?封印されてた門がなぜ開かれていたかとか?なぜ封印されたのかとか、魔力の使い過ぎで死んだ人が多いのは聞いたけど。それでも使いたくなる人は多いでしょ?それなのに封印されたんだよ?」
【まぁ、気になることは多いだろうが、リーサの魔力量なら死ぬ事は無いさ】
「その言葉が一番怖いんだけどねぇ。まぁ魔力は今も毎日増えてるから問題は無いだろうけど」
【何で毎日魔力量が増えてるんだよ?あり得ないだろ?】
「龍聖に毎日ご飯あげて、魔力を毎日限界まで使うようにしてるからかな?回復と限界値の伸びが半端ないのよ」
「今日はアルファと話すから、魔力を取っておいたんだけどね」
【なぁ頼むよ、俺のマスターになってくれよ、普通の剣なら当たった瞬間にバターみたいに切り落とすぜ】
「そういう剣なら自分で作れるんですよねぇ。あとは封印を解くのが本当ならマスターになりますけど 封印なんてここにありませんしね」
【そんな剣を自分で作れるのかよ】
「作れますよ、これです、ウオーターソードを出して、そして普通の剣を出してっと、ローナこっち持ってて。普通の剣をウオーターソードで切ってみましょう」
普通の剣はポロポロポロと切れて落ちていく、それを見ていたアルファは
【本当に作れるのね・・・でもその剣じゃ封印や回復は出来ないだろう?】
「そうか、回復を試してみましょうか?私の魔力を回復してください」
【ごめんなさい、それするとまた自分の魔力が無くなります。ってか普通に回復にしてくれよ】
「でも、今疲れてないしなぁ」
そういう会話をしながら、夜は更けていくのでした。