賄賂万歳
結局フラウ先生は新婚旅行に1年行ってくることになり、代わりに競技大会優勝者のリフレッドが小さい頃からの『夢』である先生になることになる。リフレッド先生は魔法戦士という事もあり魔法を使うジョンさんやナムサンさんや、私やローナと仲良くなれそうな気がすると思ったのもつかの間、リフレッド先生は魔法だけじゃ無く剣はもちろん、弓や格闘も得意なオールラウンダーだった、先生は冒険者として経験を積んで色んな状態で戦えるようにひたすら練習をしたそうだ。なので授業は『根性』だそうだ・・・誰だ仲良くなれるとか言ったやつ!!
・・・私だ!!!!
シクシクシクシク、根性で剣術をマスターする頃には私の性格が変わっていそうだよ・・・っていうか魔法も根性で覚えたのか?凄いなっ!!!先生に聞いてみたら魔法は生まれつき使えたそうだ、だけど属性を増やしたのはやはり『根性だ』と強く言われてしまった。どう扱えばいいんだろう?前世でもこんな性格の友達いなかったよ・・・・私が苦手なのは剣術だけなんだから、先生には内緒で騎士団の人の動きをトレースしてきてそこそこの剣術魔法を使えばバレないかな?そうだなそうしよう。じゃぁ、早速今日トラックを出して王城に向かおう。もうフラウ先生はいないから私一人で行くしかないが、もうほとんど顔パスなほど王城には通っている。そして王様にも余程の事が無い限り顔パスだ、さすが5歳児は警戒されない、また、騎士団や魔法使いの人たちとも仲がいい、自分たちが強くなる魔法を教えて貰って感謝されているくらいだ。少しは不満を持つ人もいるかと思ったが、流石は長く戦争のない国、負の感情を持つ人がいない。
これも神様に感謝しないと、今度感謝の気持ちを伝えるために緊急連絡用に貰った対のオーブを使おう。あれも何か危険な事が有ったら使いますと言って、これと言って危険な目に合っていないので使っていない、よし人気のないところで使うためにトラックの中で使おう、部屋だとローナが居るしトラックならいても龍聖だけだ、龍聖は私が行くところには絶対に付いてくる。逆に私も龍聖を一人にすることはしない、だから龍聖になら神様と連絡が取れるのがバレても問題ない、だってドラゴンだし人化は出来るけど私の秘密を話すような子じゃない。さぁ王城に行きますかトラックを出してっと、そしてトラックを出したらリフレッド先生が興味津々な顔つきで近寄ってくる。
「リーサ、それは何処から出したんだい?」
「あぁ、私は無限収納持ちなのでそこから出しました」
「ほうほう、そしてそれは何だい?」
リフレッド先生は珍しい物が好きなのか目をキラキラさせている。眩しいくらいに・・・この後どうなるんだろうヤッパリ乗りたいよねぇ、今日は王城に行けそうにないし神様にも連絡取れないな、ふぅ。
「これはトラックと言って、大量輸送が可能な馬車の様なものです。動力は魔力石なので馬は必要ありませんが」
「何と!!それは珍しい、実は私は珍しいものに目が無くてな、何とか乗せて貰う事は可能だろうか?」
えぇえぇそうでしょうとも、目が『私珍しいものが大好き!!!キラ~ン☆』って言ってましたもの。乗りたいなら乗せてあげましょう、私も少し自慢したいし、どうせなら王都の外に出て乗り回しましょう。
「えぇ良いですよ、先ほどから先生の目が乗せて乗せてと語りかけておりますから」
「なんと?それは少し恥ずかしいな・・・・だが探求心が無ければ冒険者は務まらんから気にはしない」
「では、ドアのここに手をかけてドアを引っ張って下さい、そうすればドアが開きますそしてここに手をかけ登るように乗って下さい。そうしたら中からドアを引っ張ってドアを閉めてください」
それにしてもリフレッド先生凄いスタイルだな、出るところと引き締まるところの差が激しい『ボン キュッ ボン』って感じだ、みどりの髪も綺麗だし艶々だ。
「今思ったんですが先生の髪綺麗ですねぇ」
「そうか?そう思うか?これは最近王都で人気のシャンプーと言うものを使っているからなんだ」
「あぁ、そう言う事ですか。お買い上げありがとうございます」
「ん?どういうことだ?」
「それを商人ギルドに作って卸しているのは私なんです」
「なんと!!何と中々手に入らない商品を作っているのが私の教え子とは」
まだほとんど教わっていませんがね・・・・あぁ『根性』は教わりました
「なぁリーサよ、金は定価で払うから数を融通してもらえんか?中々手に入らなくて困っていたんだ」
「それは構いませんよ、っていうか剣術の授業をもう少し優しくしてくれるなら。無料で差し上げることもやぶさかではありませんが・・・」
「ぅう・・・それは教育者としてどうかと・・・」
「実は私には剣術魔法と言うのがありまして、リフレッド先生の動きも出来る優れものの魔法なんです。ですが、剣術の先生に使用の禁止をされておりまして、使えないのですがそれが使えるのであれば剣術の成績はきっとSランクです。あと私の魔力は切れることがありません。並みの魔法使いが100人集まっても勝てるくらいの魔力を保有しています。ですので魔力切れで仲間に迷惑をかけることもありません」
「うぅ・・・」
「さらに今ならまだ発売前のヘアマスクも付けましょう」
「分かった、授業での剣術魔法の使用を許可する、その代わりそのヘアマスクとか言うのが効果が有ったらだからな?」
「分かりました、それには自信がありますから大丈夫です。そしてトラックの魅力をこれからお楽しみください」
やった勝った根性に賄賂で勝った。少し汚いが元々そのために作った魔法だしね。使わないと損でしょ、そして先生はやっぱり新しもの好きだ、これからもこの方法で行こう、まだ冷蔵庫や洗濯機にエアコンなど物は色々ある。
「さて先生、トラックを動かす前にこのベルトをこのように止めてください。これで体が固定されます」
「固定されないといけないくらい危険なのか?」
「そうですねぇ、乗り方によっては危険です基本私は安全運転ですが、念のために付ける事を義務付けています。因みにトラックも私が作りました」
「なんと!!何でも開発しているのだな?!!」
「他にも商人ギルドで売り切れている、冷蔵庫や洗濯機も私です」
「あれも欲しかったんだよな~『チラ』欲しかったんだよな~『チラチラ』」
この人は・・・・欲しいものにどん欲だな・・・
「こちらは今品切れしていますので無理ですね」
「そうかぁそうなのかぁ、残念だ」
「まぁ今日はトラックを楽しんでください。王都から出て外を走りましょう」
「おぉ、それは楽しそうだな!!」
それから私達は辺りが暗くなるまでトラックで遊んだ。ウニモグは登坂傾斜45度まで登れるので、かなりの急角度の斜面も登れる、リフレッド先生はかなり楽しんでくれたようだ、暗くなってきてライトを付けた時など感動していた。しまいにはトラックも欲しいと言い出す始末、トラックは王城の許可が無いと売れませんと言うとかなりがっかりしていた。冒険者をしていたころにかなりのお金を貯めこんでいたらしく。物珍しい物を買うのを趣味にしていたようだ、そして飽きてきて相場が上がったころを見計らって売っていたそうだ。商人が向いているような気もするが、趣味以外には興味が無いので商人は無理との事だった。そして貯金の額も相当なのだろう。
王都に帰りトラックから降りると、非常に残念そうな顔をしていた、まだまだ乗りたかったのだろう。また今度ドライブでもしに行きましょうねと言うと顔がほころんだ。本当にトラックが欲しいのだろう、この人なら王城の許可も自分で取ってきそうだ。そうしたら売るのは普通のトラックじゃなく、このウニモグなんだろうなぁ・・・・王城の人もこのウニモグの本当の性能を知ったら欲しがるんだろうなぁ、アタッチメントは1000以上、道路工事から災害現場、農地開拓まで何でもできるトラック、存在を知ったらさすがにあの王様も欲しがるよなぁ、いくら平和な国とはいえ農地開拓や道路の整備何かにはお金と人が必要だもんなぁ。まぁ王様は今は真っ赤な車がお気に入りみたいだし大丈夫か。
そして寮に帰ってきた私と先生は、ローナを誘って食堂に行くのでした。
「リーサ 今日はどうしてたの?」
「リフレッド先生とドライブしてた」
「あ~いいなぁ 今度は私も誘ってよね?」
「分かった分かった、あのトラックはそんなに人が乗れないから。今度、別の人がいっぱい乗れる車作るよ」
「絶対だからね」
「分かったよ、私がローナとの約束破った事あった?」
「無いけど・・・ 最近リーサ忙しくて構ってくれないんだもん」
「あぁ、それは素直にごめんなさい」
「まぁいいけど私も光魔法の改変で忙しいし、最近は王都で範囲を広げてやっているんだ」
「気を付けないと、騎士に捕まるよ?」
「大丈夫、今はチョットお腹痛いかなくらいにしてるから、でも範囲は広がったしそろそろ限界かな?」
「それは魔力的に?それとも人道的に?」
「もちろん人道的に」
「何か二人して不穏な会話をしていないか?」
「あぁ、今度のクラス替えの競技の時に使う必殺技の開発です」
「そうです私は光魔法の使い手と、鍛冶スキルくらいしか得意なものが無いので必殺技が必要なんです」
「まぁ最悪、私が剣術魔法をローナにかければ問題は無いんですけど。一応自分の力で勝たないとSクラスに居る意味が無いので」
「それなら良いんだが、あまり目に余るようなら止めさせてもらうぞ」
「大丈夫です、もうやりませんから。それに最後には王都全体に光魔法をかけて、回復もしているので 最初より元気なはずですよ?」
「それだけの範囲に光魔法が使えるだけで、Sクラス判定だと思うのだが・・・・」
「一応競技会で勝たないとSクラスに入れないので、一応の必殺技です」
「分かった、競技会の条件を見直すように進言しておこう」
「「わぁ、ありがとうございます」」
「Sクラスになった時からそれだけがネックだったので助かります」
そして後日、リフレッド先生の意見が通り王都全体に光魔法がかけられるのなら、その生徒はSクラスで問題ないと言うか。そんな優秀な生徒を競技会で落とすわけには行かないので、一度先生達の前で光魔法を使う事になりました。範囲を調べるのは古典的に、王都全体に教師全員が散らばるというものでしたが、見事教師全員の調子が良くなったという事でSクラス残留は決定しました。
でも、今までの慣例もあるので競技会には出場との事です。まぁそうしたら、ローナの競技場に居る皆がお腹が痛くなって、更に嘔吐を繰り返すという修羅場が待っているのですが・・・・ローナの出場を決めたのは教師なので私達は知りません、まぁまだ4ヶ月以上先の話なのでそれまでに先生達にリフレッド先生から話をしてもらいましょう。あぁそうそうリフレッド先生と約束していた、ヘアマスクは好評で剣術魔法の使用許可も下りました。これで剣術の授業が楽になる賄賂万歳。