王様達の説得
魔物の動きが活発になり 異変を感じた各国の王たちが集まって会議をしている場に乗り込んだリーサ エゼルレッド王の頼みで主神ベルッド様のお告げを聞いてくることに 更にはパパンがドワーフ王国の王位継承権第一位の王子だったことも判明し バタバタと忙しい中ベルッド様と対のオーブで連絡を取る為にいつもの場所へ そしてベルッド様と話をしてみると何とクラリスがかくれんぼの途中で逃げたことが判明 しかも最近他の神様が現われて出番の減ったベルッド様とサイフォン様が「もう私達の出番は無いのね」っと悲観して精神を病んでいたことも判明 更には精神を病んだことでクラリスが飲んでいる母乳に魔素が混じっていたらしい そのせいでかくれんぼの途中で逃げたクラリスは神様の母乳パワープラス魔素を手に入れて魔物を操って遊ぶのであった だがそれがきっかけで世界各国の魔物の動きを活発にし魔物の氾濫の兆候になって表れてしまった それを伝える為にリーサは一旦王城に戻るのだが まさか神様の出番が最近少ないから心が病んでしまったとも言えず クラリスの件も伝えたら 各国の王が封印しようと行動に移るのが目に見えているからこれも出来ない リーサは皆にどう伝えたものかと悩みながら転移するのだった
「ただいま戻りました」
「おぉリーサよ無事だったか 遅かったので心配したぞ」
「ご心配をかけましたお爺様」
「いやいや良いのじゃ 無事に帰ってくればそれだけで十分じゃ」
「リーサ殿それで神様は何と?」
「エゼルレッド王 それが思っていたより事は重大でした・・・・・ 神様への信仰心が薄くなり神様の心が病んでしまっていたのです!!」
「なんと!?それではどうすればいいのだ?」
「まず神像も神殿もないドワーフ王国に神殿を建てます そして鍛冶師と物作りの神ドルトン様に祈りを捧げてもらいます そうすれば間接的にでもベルッド様のパワーアップにつながります 勿論ドルトン様もパワーアップしますが そのうえでパワーアップしたベルッド様に道を示していただきます 実は今回の神様の心の闇が一番強く表れてしまったのが ドワーフ王国のまだ誰も踏破したことのない迷宮の奥深くなのです その闇を打ち払えば神様は完全復活し他の国の魔物達も押さえつけられます」
「そうか我が領内の迷宮が一番被害が酷いのか・・・・ いくら物作りが得意なドワーフとはいえ神殿を建てると言っても簡単にはい出来ないだろうし どうしたものか・・・・」
「お爺様 それは私が神の力を借りて建てますのでご安心を その代わり場所の確保だけお願いします できれば国の中心に近い所が良いのですが場所は確保できそうですか?」
「国が亡びるかどうかの問題だ 何とかして見せよう」
「そうですか 皆さんはこれからどうなさいますか?各国に戻り守りを徹底しますか?今回神様からのお告げのもとに私が行動しますが必ずしも成功するとは限りません 一応冒険者ランクはSランクですが前人未到の迷宮へのアタックです 神々が創りし聖剣と共に行動するつもりですがどうなるかはまだ分かりません できる事なら国での備えを万全にしていてください それとできる事なら神に祈りを捧げて下さい」
「わかった 我らは我らで出来る事をしよう」
「そうだな急ぎ国に戻り神に祈りを捧げよう」
「願い事なんだが この一件が片付いたら我が国にも神殿を建ててくれないか?」
「そうだな 我が国にも神殿を建ててくれ勿論謝礼はする」
「皆さまそれは神様が決める事ですのでお待ちを・・・・例えば国民に重税を課して神殿を建てるような国には神殿は建てられません 神を信じて民を守るような国には神様も神殿を建てようとします 先程も申し上げましたが国民に重税を課しているような国では神は信仰されません むしろ神様の精神が病む事に繋がります それと神の巫女のや僧侶の確保も必要です これは神様がこの者は信頼が置けるといった者を神のお告げで選んでおります ですので時間もかかるのです 今回は王都の神殿からベテランの巫女と僧侶に手を貸してもらい ドワーフ王国の神殿が軌道に乗るまで指導してもらいます もし今後神殿を建てたいと王と国民が願えばそれに答える形で私のもとにお告げがあるでしょう その際には今回同様に私も全力を尽くすことをお約束します」
「分かった神殿を建てるのには残念だが 我だけの祈りでは足りぬのだな?そして国民が心から神殿が欲しいと思う必要があるのだな?そのためには圧政を強いるような王では神様のお告げはいただけぬという事だな?」
「失礼ながら その通りでございます 私はまだ生まれて間もない少女のせいで 皆さまの国がどのような政治をおこなっているかは存じ上げません ですので・・・もし・・・もしもですよ?自国では圧政を敷いているのではという国は行いを改めていただければ幸いです そうすれば神様の力で圧政を敷かなくても政治は上手く回り 国民の生活も変わり国庫は潤う事でしょう そうですよねエゼルレッド王?」
「そうじゃな神様からのいきなりのお告げもあるが それに対処していったおかげで我が王都は国民の生活も国庫も潤っているのは事実だ 逆に言うと圧政を敷いていた国は神に滅ぼされているな そしてその国民がそのまま我が王都に流れてきて働きの担い手になってくれている そして増えた税収で国庫は自然と潤っている それがこの一年の間に起きた出来事だ 更には不正を働いていた者などは神の裁きでこの世からいなくなったがな」
「そうですねこの1年で色々ありました 神様の恩恵で怪我や病気の者を神の御業で治したり 未来の働き手となりうる子供も大量に授かりました この一年大変ではありましたがこの先の事を考えればプラスになる事ばかりでしたね」
「リーサよそれは我がドワーフ王国が 圧政を敷いていないと神様がお認め下さったと思ってもよいのか?」
「お爺様失礼ではありますが申し上げます 今回ドワーフ王国に神殿を建てるのは ドワーフ王国にある迷宮のせいです これから国や国民が神様をどう信仰していくかで ドワーフ王国の未来が決まっていく事になります ですので楽観視はしないで下さい お爺様が圧政を敷いていないとしても 実際には不正を働き民に重税を課している家臣がいるやもしれません ですのでお爺様は反乱が起きないよう慎重に綱紀粛正をおこなう必要が出てきます」
「そうか今まで家臣の事を信頼していたが・・・・もしかしたら国のどこかに膿が溜まっている可能性もあるのだな?」
「そうでございます これは何処の国でもいえる事ですので ここにお集まりの王たちに措かれましては まずは自国での民の意見を聞くことが大事だと思われます そしてあまりにも羽振りが良い家臣は疑う必要があるかも知れません こんな小娘の意見で国の在り方を変えるのは癪だとは思うのですが それが神様の信頼を勝ち得て今後の国を左右する分岐点だと思っていただければ幸いです 因みに今まで私を邪魔だと思い私や私の家族を狙った国もありましたが ことごとく神の怒りを買い潰されております 私自身もエルドーラ国での魔物の氾濫の際に 紅蓮の少女の二つ名を貰うだけの攻撃力を有しております 勿論ここにお集まりの賢王に措かれましては 変な事を考える方たちはいらっしゃらないと思いますがもし私の家族に危険が及ぶ際はご自身だけでなく国が亡くなる覚悟をされてください」
「神の巫女よ!! それは我らを脅しているのか!?」
「いえ 以前愚かな王たちが辿った結末をお話しただけであります では私はそろそろドワーフ王国に行かねばなりません 詳しくはエゼルレッド王からお聞きください この世界の地図上から消え去った国の事など色々お知りのはずですから さぁお爺様時間もありません 私の能力に転移と言って瞬間的に場所を移動する能力があります 家臣の方達もお集まりください皆さん纏めてドワーフ王国に帰りましょう お爺様 私の手を握って下さい そして執務室でも謁見の間でも構いません 私が入っても構わない部屋を想像してください」
「リーサよ想像したぞ」
「分かりました では少し記憶を覗かせて頂きます『転移』」
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「お爺様目を開けて下さい お爺様が想像した場所はこちらで合っていますか?」
「おぉ 我が城じゃ凄いなリーサよ」
「ありがとうございます ではお爺様先程申し上げた神殿の土地の件と 神への祈りを捧げる件を国民に知らせて下さい 私は一足先に迷宮を下調べしてきます 2日ほど迷宮に潜りますが気にしないで下さい そして神殿の場所の確保と その土地に住んでいる住民への手厚い待遇も御願いします 不満が出てしまっては元も子もありませんから」
「分かった任せておけ そしてリーサよ気を付けて行ってくるのだぞ もし必要なら騎士を護衛に付けるがいかがする?」
「お気遣いありがとうございます ですが私には神々が創りし聖剣達がいます ですので大丈夫です」
「リーサよ聖剣達と言っても所詮一人で使えるのは一本のみであろう? それでは敵に囲まれた時に反応できないのではないか?」
「大丈夫です 神々が創りし聖剣は一味違いますから みんな出ておいで」
アルファ達聖剣が出て来る 魔王を倒してから時間もあったので皆に私の魔力を食べさせて 今は全員が擬人化している そして普通の人でも分かるくらい魔力が溢れている
「おぉ!! これが神々が創りし聖剣なのか? 魔力がワシでも分かるくらい溢れているが・・・ そして皆剣の形をしていないのだな?」
「そうですね私がつかう時は剣の形に戻ってくれますが普段は人型です そしてこの状態でも能力は変わらないので人型のまま私を守ってくれます 私の魔力でなければ操れないのが難点ですが まぁ普通の人が使えたとしても人の欲望が形を変えて聖剣を魔剣に変えてしまうので やはり神の巫女である私にしか使えないのですが・・・・」
「そうであろうな・・・ これだけの魔力を有する剣をワシは見た事が無い ドワーフの王であるワシでさえだ これであれば騎士を護衛に付ける必要は無いな わかったリーサよこちらの事は任せておけ既にワシの臣下が土地の確保に動いておる 勿論国民へ神殿ができる事 そこに鍛冶師や物作り神がいる事などを周知させる準備をしているはずじゃ ここはドワーフ王国じゃ鍛冶師や物作りの神がいると聞けば信者は後を絶たんだろう」
「では あとの事は宜しくお願い致します 戻ったら神殿を建てます 神殿を建てる土地の建物はそのままで構いません神殿を建てる際の材料にさせてもらいます」
「分かった ではそこに住んでいる者達の移動だけで構わないのだな?」
「そうです 勿論家財道具は移動してかまいませんが 無理をして建物を壊す必要はありません」
「そうか ではリーサよ孫のお前に危険な事を頼むのは気が引けるのだが・・・・・これも世界の為その身をもって世界を救ってくれ」
「はい!お爺様」
そうしてまずは迷宮の探査に入る事にしたリーサだった