リーサとローナの会話
職員会議で進級試験の日程が決まった 1週間後の金曜日だ 今日は週末の金曜日だから試験までの猶予は1週間ぴったりだ 寮の生徒には寮監が伝え 家から通っている者は召喚魔法の鳥を飛ばして1週間後に試験がある事を伝える そうすると土曜の朝から 学校の修練場は体術の練習や 魔法の練習で大賑わいだ 売店も朝から新しい装備を揃える者などがいたりしてオープンから大忙しだ そしてリーサが作っている風魔法と炎の魔法が付与された武器が飛ぶように売れていく 流石にみんな自信が無いのかウオーターソードは中々売れないが・・・ でもローナが作った常時回復の付与魔法の着いた装備も売れていく そして売店からのSOSだ 商品が足りなくなったので支給納品してほしいと・・・ しかも教頭先生を通して伝えてきた 自分達の修行もあるが 教頭先生の依頼を無碍にも出来ない 仕方ないのでリーサとローナは学校の鍛冶場に来ていた
「それにしても 売店もずるいよね~」
「リーサもそう思うよねぇ 教頭先生に頼まれたら断れないじゃんね・・・」
「まったく こっちも修行があるって言うのに」
「そうだよねぇ 修行を始めようとしたら 教頭先生に呼ばれたもんね」
「それにしても1週間かぁ短いようで長くも感じるね~」
「そうだねぇ 来週だと思うと短く感じるし いざ修行を始めると早く始まらないかなぁって長く感じるもんね」
「まったく 成績がそんなに簡単に変わる訳じゃないんだから 半年に一回なんて面倒なことしなくてもいいのにね」
「本当だよね どうせ学校卒業しても 最低ランクのGから始まらないだけで EかFランクくらいからしか始められないんだから 進級試験の意味も薄いよね~」
「でもローナ 来年から始まる特Sクラスに入れる子は 伸びるはずだよ」
「えっ? なんで?」
「私が教師になるからです!!」
「あははは 面白い冗談だね」
「あっ ひどーい!!」
「うそうそ でも 特Sクラスって何をやるの?」
「普通より濃い授業内容で 頑張っている子には冒険者の神様の恩恵を授けちゃうの」
「あっ それはずるい! 成績伸びるの当たり前じゃん」
「ふっふっふ~ そこは 私が教師でみんな幸せって事だね」
「まぁ私達1年のSクラスも全員 冒険者の神様と戦神の神様の恩恵を授かってるから 人の事言えないか」
「でも 恩恵を授けるのは 頑張っている生徒だけだけだから 特Sクラスの中でも少数の可能性もあるけどね」
「そっかぁ でも 1人が恩恵を授かったら他の子も頑張りだすんじゃない?」
「どうだろうね~ 何処の世界にも馬鹿はいるしね~ 自分が何でこの成績何だろうって思うだけ思って 逆恨みに走る奴もいるしね~」
「あぁ 似たようなのがいたねぇ 貴族である実家の権力を振りかざして Aクラスを先導した奴がいたっけ 名前なんて言ったっけ?」
「リューリィ・クマイエスだったかな? まぁ入学式初日からめんどくさい奴ではあったよね」
「うんうん 私達が一番小さいから弱いだろうと思って いきなり攻撃してきたよねぇ~」
「考えてみたら 不死のフィールドの上とはいえ 初めて人を殺したのもあいつだったなぁ」
「えっ? そうなの?」
「何よ? 人を殺人鬼みたいに・・・」
「だってさぁ 今までにも盗賊なんかには結構襲われてたでしょ? だからとっくに人殺しに手を染めていたかと思ってた」
「失礼な! 盗賊さん達はちゃんと生け捕りにしてましたよ 骨が折れたりとかはあったけど・・・」
「そうなんだ? でも何で生け捕りに?」
「殺しちゃったら 尋問されて過去の悪事を全部吐かされて 懸賞金が上がるっていう お得な出来事が減るからだよ」
「そうかぁ 4歳くらいの頃から盗賊を捕まえてたけど それが狙いで わざと金目の物を持っている振りをしていたのか?」
「うっ! バレたか・・・ でも鍛冶師ギルドでパパンが売った売り上げは 生活費だったから手を出さなかったよ ちゃんと1ヵ月に1回パパンが鍛冶師ギルドに取りに来てたもん」
「でも できた商品は結構目立つように持ち歩いてたよね?」
「まぁねぇ それくらいしないと盗賊さんが寄って来なかったしね」
「要はその頃から 殺そうと思えばできたと・・・?」
「できただろうね イノシシとかクマとか野生動物は 食べる為に結構殺していたしね ローナの所にもお肉を持って行ったでしょ」
「あぁ その節は御相伴にあずかりまして 大変美味しくいただきました」
「まぁ そんなわけで 人を殺したのはリューリィ・クマイエスが初めてだったのさ まぁ実際は死んでないけどね」
「そっかぁ あれが初めてかぁ 意外だったなぁ でも相手があんな奴だと悪い気もしなかったでしょ?」
「そうだねぇ むしろスカッとした そしてこんな弱い奴らと一緒にこれから過ごすのか っと思うと嫌気がさした まぁ今となってはSクラスはそこそこ強い人達だったから良かったけどね 最初は先生たちの資質も疑ったもん」
「あぁ リーサ程強いとそう思うかもねぇ」
「そうなんだよ でも魔法の強さは私の方が強かったけど 応用の仕方やコツなんかは先生たちの方が優れてたから 学ぶことは多かったねぇ」
「まぁ まだあれから1年経ってないけどね 私達どれだけ異常なスピードで成長してるんだろうね?」
「そうだねぇ 結局みんなSランクだもんね」
「それは ほとんどリーサの手柄でしょ」
「手柄はそうでも ドラゴンの鱗でドーピングしたから強さ的には皆強くなったでしょ」
「それはそうだけどね」
「何? 何か問題があった? この前の私がいないときのクエストも問題なかったんでしょ?」
「リフレッド先生の助言があったからね それが無かったらクエストクリアは厳しかったろうね」
「そうだったんだぁ 龍聖があんまりその辺の事喋らなかったから 普通にクリアできたんだと思ってた」
「龍聖ちゃんは何も言ってなかったの?」
「う~ん とにかくリフレッド先生が操縦する ヘリコプターには乗りたくないって言いながら震えてた 何かあったの? 龍聖に聞いても答えてくれなくって」
「あぁ あれはねぇ・・・・ リフレッド先生は操縦桿を握ると性格が変わるみたい」
「あぁ 先生もその呪いにかかってしまったかぁ」
「えっ? なに? あれって呪いなの?」
「そうなんだよ 古の書 亀有ってのに出て来るのが最初なんだけど その中の本田速人って人がかかった呪いで バイクって乗り物に乗ると 性格も顔も変わってしまうっていう呪いなんだよ 幸いリフレッド先生は性格だけで済んだみたいだけどね」
「そんな昔からある呪いなんだぁ 解呪の方法は無いの?」
「それが 運転もしくは操縦を止めない限り 元には戻らないんだよ・・・・」
「そうなんだぁ・・・・」
「でもリフレッド先生は操縦を止めないでしょ? 諦めるしかないね・・・・・」
「そっかぁ 呪いかぁ じゃぁしょうがないねぇ でも普段は元に戻るんでしょ?」
「そうそう それがこの呪いの良い所でさ 操縦さえしなければいいんだよ」
「良かった じゃぁそんなに問題ないね 教師を育てるのは終わったんでしょ?」
「うん終わった だから これからは私が操縦桿を握る事になるかな? きっと たぶん おそらく」
「なんで? そんなに疑問形なのよ」
「リフレッド先生にもチヌークあげたじゃん 絶対操縦したがるだろうなぁって」
「あぁ そうだねぇ もう諦めるしかないのかもしれないね・・・・」
「そうだね 諦めよう・・・・」
「ところで私の方はもう終わるけど リーサの方はどんな感じ?」
「あぁ 話に夢中で何もしてなかった チョット待ってね」
パチンと指を鳴らすと武器が出来上がった
「チョット多く作りすぎたかな? まぁ良いか」
「もう 鍛冶のスキルで リーサには勝てないことがはっきりした」
「ふっふっふ~ 何をいまさら 私のイメージ魔法に勝てる者はいない!!」
「はいはい そうですね じゃぁ売店に装備を卸しに行こう」
「チョット投げやりな感じが気にかかる所だけど そうね 売店に行きましょう」
そして売店に付くと長蛇の列ができていた みんな納品されると噂の装備を待っていたのだった 売店のおばちゃんも早く早くと願っていた商品が今届いたのだ みんな売店でパンでも買うかのように武器を防具を買っていく 売店のおばちゃんは仕入れた商品の数だけ数えて 受取証はあとから書くから そこの金庫から代金持って行ってと中々に無茶な事を言う しょうがないのでおばちゃんの手伝いをして終わってから代金を貰う事にした
そこにウォーターソードを買いに来た上級生がいた 決まりなのでと剣を持たせて水の魔力を流させた そうしたら水がちょろちょろと流れるだけだった みんなの前で恥をかいた上級生は怒っていた
「不良品だ何だこの商品はこんな物売店に置くな!!」
「何言ってるんだい あんたが使い方が下手だから水が流れないんだよ」
「おばちゃん 私がお手本見せてあげるから いらない剣を1本出して頂戴」
「あいよ これでいいかい? 何ならこのまま持っていようか?」
「そうしてくれると助かる ありがとうおばちゃん 先輩これは水の魔力を循環するように流すんですよ さっきのようにただ垂れ流すだけだと飲み水しか作れません 因みにこうやって循環させます」
勢いよく水が循環していく そしておばちゃんが持っている剣をバターのように斬っていく
「これで この剣が不良品じゃないことが分かりましたね」
「インチキだ 何か細工がしてあるんだ」
「あまり 店先で文句言っていると 退学にしますよ」
「何を言っているんだ この私を退学になどできるわけがないだろう」
「なんで 退学にできないんですか?」
「この学校に多額の寄付金を治めているからだ!!」
「いくらですか? それと裏口入学じゃないですよね?」
「白金貨10枚だ お前など白金貨など見た事もあるまい」
「これの事ですか?」
無限収納から白金貨を机の上にぶちまける
「なっ 何だこれは?」
「何ってあなたこそ 白金貨を見た事無いのですか? 私は見飽きてますけど じゃぁ この中から10枚取り出して校長に渡して あなたを退学にすればいいんですね?」
「そんな事できるわけないだろう 俺の実家は貴族だぞ そう簡単に退学になどできるものか」
「そうなんですか? では聞いたことがあるはずです 半年ほど前に実家の貴族の名前を使って学校内で権力をふるった貴族の末路を・・・ 知りませんか? 因みに私はこの国の大公リーサです 私に逆らうというのですね? 爵位の取り消しを自分から申し出たのですね? 更に私は神の巫女でもあります 大勢の信者を敵に回すというのですね? この剣も私が作りました それを自分のふがいなさを棚に上げてインチキだと言いましたね? もう命はいらないという事ですね?」
「リーサちゃんそれくらいにしてやんな もう泣いちゃってるよ」
「おばちゃんが言うので 今日の所は許してあげます ですが次に実家の権力を使ったら 屋敷ごと全員燃やしますよ」
「はい 申し訳ありませんでした 今後は大人しく生きていきます」
「冒険者になるんだから大人しくちゃ困ります ですが自分の物でもない 地位を振りかざしたら処罰すると言っているのです」
「わかりました 冒険者として生きて行けるように努力します」
「そうしてください 皆さん申し訳ありませんでした 折角並んでいたのに列を途切れさせてしまって」
「いえいえ 全然大丈夫です 大公閣下」
「やめて下さい 私は普段はリーサ先生です」
「さぁ あと少しだお客さんをさばいちゃおう」
そうして土曜日は終わりを告げていくのでした リーサとローナが修行できないままに・・・・・