元居た世界へ3
両親の会社に行ったら 専務と両親が揉めていた どうも工場をフルオートメーション化するように 元請けから圧力がかかっているらしい そのせいで今まで大事にしてきた社員を 大量にリストラすることになったようだ だがこのまま工場にロボットが入る事を拒み続けたら 会社に仕事が回ってこなくなる そうすると会社自体が潰れて全員路頭に迷う事になる 両親は苦渋の決断で若くて資格や技術も持っている 比較的再就職が叶いそうな者達から 解雇することにした 残った社員は年齢が上過ぎて再就職が厳しい者や 若すぎて技術の無い者達だった だがその若い者達も資格を取らせ 再就職の見込みができたら順次解雇していく事にした
そして 母(副社長)は出来る限り退職金も払うように専務に指示する 両親は会社の社員を大事にしてきた為 同業他社からは煙たがられていた いつになったら? あそこはフルオートメーション化するんだと 毎日のように元請けからも圧力がかかっていたようだ だがそれでもギリギリまではと話をそらしていたらしい
だけどもうそれも限界のようだ リストラを始めたと言う事は工場内はロボットに代わっていき 人は減っていくと言う事だからだ 売り上げは確かに上がる 人件費がかからないので最初の導入費用さえ捻出すれば人件費のかからないロボットは最高の売り上げだ しかも暑いや寒い等も無いし時間の縛りもない メンテナンスさえ他のロボットがやるのだ 工場の稼働率を24時間にする事も可能だ こうなると他の会社と変わらない両親は出社したら工場の電源を入れさえすれば 工場は稼働し始める あとは元請けから送られてきたSSD(Solid State Drive)をコンピューターに差し込むだけだ それだけで後は機械が何でもやってくれる データすら打ち込む必要が無い
会社がそんな状況になって困っていくのは仕事を失った社員たちだ やる事が無いのだ 若い者は上司に言われたように資格を取っていく 年配の者達は自ら工場を去って行った そして若くて資格もあり仕事もできる者達は早期退社で退職金を少しでも多く貰ってやめようとしている おじいちゃんの代から続いた工場はこうしてロボットに乗っ取られた でもまだ両親が 会社を経営しているから若い子達は資格を取ったりして残っている そうして次の職業を探している 会社もやる事が無いので次の職業を探すのを推奨している ここまでやっていて 本当に私に恨みをぶつけてくる人がいるんだろうか? まぁ良いか 人間どうせ死ぬときは死ぬんだし
そして翌日 一晩寝たが魔力の回復が遅い この世界には基本的に魔法の力が少ないのだ これでは回復力がいくら高くてもそんなに回復しない 事実一晩寝ても魔力量はほとんど回復していなかった 以前主神ベルッド様から 転移魔法を授かった時に 『魔力石を大量に持って行きなさいよ』 と言われていたので助かっている あの時に大量に無限収納に入れておいたのだ まだまだ魔力に余裕はあるが 別に無理して使う必要もない この後で私(安藤理沙)が死んだらレイニー様に魔力譲渡して並行世界の全部の両親を幸せにしてもらわないといけない だから今は無駄遣いができないのだ むしろ満タン近くまで回復したら魔力石を作っておくべきだろう 朝食を終わらせ転移して 事件現場に行く まだ何も起きていないようだそうしたら会社に行き私を殺した奴のデータでも漁りますか 電子履歴書を見て行って住所を確認し まだ解雇されてないことを知る どういうことだ? 会社の金で資格を取らせてもらってて まだ解雇もされていない その人物が何で殺意を抱くまでになったのか? 昼間は社員の出入りがあるので特別な場所以外はガードロボットが働いていない そこに私を殺した梧桐一馬がいるはずだ とにかく探してみよう みんなでさっきの写真の人を探してとお願いし 私を先頭にあちこち歩いていくそして見つけた 元は商品を開発する部署だドアが開くと怪しまれるので 部屋の中に転移するそうするとグチグチと文句を言っている
「何で折角入った会社で 開発もできずに リストラの候補にあがってるんだよ?」
「梧桐君そうは言っても しょうがないだろう? 社長たちも今までよく頑張ってくれた方だよ」
「青井さんは悔しくないんですか? こんな事になるんだったら雇わなければよかったのに・・・」
「悔しいも何も 雇い入れは ある程度大きな会社なら 年間何人か新入社員を入れなければいけないっていう国の方針だからね それくらい知っているだろう?」
「それは知っていますが・・・・」
「それと梧桐君 今僕らは開発はできないが 会社のお金で資格を取り 次の会社へのステップアップの時間を貰っているんだよ? 確かに開発ができないのは辛いが 社長たちの方がもっとつらいはずだ 売り上げが上がらないのに社員を抱えたまま資格を取らせてるんだよ? しかも辞めるときには年数に応じてだとは言っても退職金も付けてくれるんだ これは契約書にも書かれていない 純粋なる会社の好意だよ」
「それはそうなんですが 僕がこの会社に入って5年経ちましたが 大した発明もできないまま退社しても 次でのスキルアップには繋がらないですよね?」
「それは 言葉は悪いが梧桐君の運が無かったんだよ 梧桐君は頑張っていたけどいつも大きな結果の出る研究しかしてこなかったからね 僕らが慣れるまでは成果が小さくても良いから会社の為に成る物を作ろう と提案しても君は聞かなかったじゃないか むしろ良く今までクビにならずに雇っていてくれたと思うよ」
「青井さんは 僕をそういう目で見ていたんですか?」
「そうだね 人の話を聞かない子だとは 思っていたよ それでも雇い続けていた社長たちは凄いと思うね 君の一発の開発に賭けていたのかもしれないし」
「そうですよね? 一発の大きな賭けに出ても問題なかったんですよね?」
「でも その一発の賭けに会社の金をいくらつぎ込んだ? 僕らが一個の開発をする数十倍の金額だぞ? しかも成果も一切上げずに・・・ 今回リストラの対象に名前が上がってもしょうがないと思うよ 実際君は会社の金を5年間使っただけで 会社には一切還元していないんだからね 何か言い返せるかい?」
「それは・・・・ でも上司に開発を止められる事はありませんでしたよ? 上司が無能だったんじゃないですか?」
「君は全く・・・ 言われなければ会社の金を 湯水のように使っても問題ないと言うのかい? 我々の上司は我らが一般常識があると信じて 開発を止めなかったんだよ? だから僕は少ない投資の中で最高の物を作る努力をしたし 他の仲間もそうだ だが梧桐君 君はその努力をしたかい? 資金が不足したら上司に申請を出して『今度こそ大丈夫ですから』と言って毎回多額の資金を用意させていたよね? 確かに上司も少しどうかと思うけど 会社の基本理念がの『社員の独創性を自由に鍛えよう』だから 資金は上司の許可が下りたけど その為にあちこち走り回って 頭を下げて梧桐君の資金集めをしていた上司を 無能扱いする権利は君にはないね」
「そんな事言われなきゃ わかる訳ないじゃないですか?」
「言われなきゃって・・・ 子供じゃないんだから 少しは考えるか 周りに相談するかすればよかったんじゃないか? 君はそれすらも怠っていただろう? まだあるぞ・・・」
「もういいです 聞きたくありません」
「そんなだから いけないんだよ・・・ もう何を言っても無駄だからいいけどね」
「もういいです 退職届を出して こっちから辞めてやりますよ」
「だから君は駄目だと言うんだ 会社は僕らに時間的猶予を与えてくれているんだ 最初にリストラの対象にあったのは 仕事ができるエリートだぞ?」
「なんで エリートがリストラに会うんですか?」
「社長たちにしてみれば 僕らは大切にしている子供と一緒なんだよ エリートならばすぐに再就職ができるから 最初にリストラにあったんだ でも 僕らは大した開発もなく 梧桐君に至っては何も開発していないからね だから今 会社の好意で 再就職しやすいように資格を取らせてもらってるんじゃないか しかもこの間も給料が発生しているにも関わらずだ だから僕らのできる恩返しは 少しでも早く資格を取って会社を辞める事なんだよ」
「そんな事をしなくても ズルズルとやっていれば 給料だけ貰えるじゃないですか?」
「何を言ってるんだ? そんな事をして 資格も取れずに リストラになったらどうするつもりなんだ?」
「その時はその時ですよ」
「梧桐君には何を言っても無駄なようだね? もう会話はこれでいいかい? これ以上話をしていても お互い無駄な時間だ 僕は勉強に戻らせてもらうよ」
「どうぞどうぞ 貴重なお話 あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・し・た」
「・・・・・・・・」
数日後青井さんは 資格試験に合格して他の会社の内定も貰い 最期に退職金を貰って会社を辞めて行った 他の部署の人間も辞めていき最後まで残った 梧桐は相変わらずダラダラしている きっと研究中もこんなだったのだろう? こいつはダメ人間だ人に寄生する為に生まれてきたような存在だ またぶつぶつ言いだした
「僕がこんな目に合ってるのも 社長がいけないんだ! 面接のときに社長が僕を選んだのがいけないんだ まぁ 僕は仕事ができるし選ばれるのはしょうがないとしても 採用しなければ良かったんだ そうすれば他の会社でもっとのんびりできたのに! 今後はどうせ僕は他の会社にも雇ってもらわれないだろう それもこれも社長が僕に無駄な研究を止めさせずに続けさせたのが悪いんだ・・・ 畜生どうやって復讐してやろう? 確かあそこには一人娘がいたはずだ そいつを襲ってやろう・・・・」
ここでこいつの性格が病んでいくのか 完璧に逆恨みだけど 困ったものだ こんな事で私は死ぬのか・・・ こんな自分勝手な奴のせいで・・・・ しかもこんなくだらない理由で・・・・ 今ここでこいつを殺したい!! ベルッド様との約束でそれは出来ないのが本当に悔しい・・・ そうして梧桐の動機は分かった単なる逆恨みだ・・・・ どんな子供時代を送ってくれば こんな大人が出来上がるのだろう?