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聖なる龍

野営地が決まったら、することはテント張りと食事と見張、見張りは前衛職にお願いして。私達中衛と後衛はテント張りと食事の準備だ。テントが張り終わり、食事が出来たら交代で食事だ、前衛職と見張りを交代してまずは食事をとって貰う。食事が終わったら又交代で食事だ、確かに私の無限収納には食事も入っている、だがここでそれを出したらダンジョン探索の意味がなくなる。イメージ魔法のサーチ等も使えば、もっと楽にダンジョンを探索できるはずだ、だが私の魔法に慣れてしまっては今回の探索の意味はなくなる。私の魔法は学校の授業では使いどころの難しい魔法みたいだ。 


食事も終わり、見張りをどちらからするかだが、明日からの事も考えると先に前衛職に見張りをしてもらい、後からゆっくりと休んでもらうことにした。誰しも眠っているときに途中で起こされたくはないからだ。野営の際は先生は寝ずに3日間見張りをするそうだ、万が一に備えて寝ないというか、冒険者に成ったら寝れないことが普通にあるという事だ。 


二日目の朝、食事の準備をしセルとシフォンの2人を起こす。まずは食事をしてもらい、残りは交替で食事をする、昨日の夜はモンスターの襲撃は無かった、このまま襲撃なんて無ければいいのにと思った、だがここはダンジョンで、自分たちは自分の意志でここに入ったのだ、襲撃が無ければいいのになんて言ってはいられない、テントを畳んで2日目の始まりだ。 


まずは地下に下りる階段を下に降りる、すると迷路のような道が広がっている、モンスターが隠れていたり襲撃されても道が狭いので、前衛職がどうしてもキツクなる、ここで流石にサーチ(探索魔法)を使うことを進言するが。セルもシフォンもそれに慣れると独り立ちできないからと言って断った。だが流石に二人も疲れているのが目に見えてわかる。初めてのダンジョンがキツイのだ、私は皆に内緒でサーチを使い続ける事にした。魔力自体はそんなに使わないし、慣れのお陰でそこまでの集中力も必要ない。サーチで先を行っているローナ達も見つけた、皆無事の様だ。 


そして、先を行っているローナ達のお陰か、迷路のような道でもモンスターがサーチに引っかかることが無かった、その代わりに光魔法の様な魔力を感じる場所があった。それは、とてもよわよわしく今にも消えてしまいそうな魔力だった、だがそれは壁の向こう側からなのだ私は少し迷ったがその事を皆に話す。もしかしたら壁の向こう側で冒険者が倒れているかもしれないのだ、私は壁を壊すことを皆に進言した皆もそれに同意してくれ、私が壁を吹き飛ばす、そこには1つの卵があった、それは本当によわよわしくて今にも消え入りそうだった。 


セルが言うにはドラゴンの卵かもしれないと言う、とにかく私はその卵を抱きかかえると温めることにした。そうしたら、魔力が少し吸い取られるような感じがして、卵は少しだけ元気になった。私は全魔力を注ぎ込むつもりで、卵に魔力を注ぎ込んだ。そうしたら卵はどんどん元気になっていって、ドクンドクンと脈打つようになった、それでも私は魔力を注ぎ込んだ、光魔法と同じ様な波動を持つこの卵が悪い物には思えなかったからだ。そうすると『ピシり』と言う音とともに卵が割れ始めた。 


すると、中から小さな白いドラゴンが現れた。セルが言うには『ホーリードラゴン』聖なる龍だとの事だ。さすが龍人、龍の事には詳しい。ドラゴンは私を見て『ピィピィ』と泣き擦り寄ってくる。流石にフラウ先生もそばに寄ってきて、私の魔力で育ったから私の事をママだと思っているとの事だ。なぜここにドラゴンの卵が有ったのかは謎だが、ドラゴンの命を救ってくれたとセルから感謝をされ、シフォンから羨ましそうな目で見つめられるのだった。実はシフォンは性格とちがって可愛い物が好きだから、何となくその目の理由は分かった、ドラゴンは可愛かったのだ。


セルの話だと、ドラゴンは育ってくると人型に変身する能力もあるそうだ。だけど・・・・ドラゴンなど何処で育てて何を食べさせれば良いのか分からない。先生はもうリーサさんがママと認識しているからここに放置しても付いてくるとの事だし、勿論この子をここに放置など出来るはずもなかった。かと言ってこのまま連れて行けば、他の冒険者に狙われる事になるというので一旦私の無限収納に入って貰う事にする。可哀そうだがこうしないと他の冒険者に狙われ素材にされてしまうと言う、そんなわけには行かないのでしょうがない。


さて、こうなるとダンジョン探索どころでは無くなった。先を行くローナ達が休憩しているのをサーチで確認して、その場所を目指す、そして合流し今までの経緯を話す。ローナ達に同行していたエドモンド先生も了解し、ここからは合流してダンジョンから出ることになった。それからは早かった、前衛職が2倍になりっと言うか、全ての配置が2倍になったのだからモンスターの殲滅も早かった。オークなどは剥ぎ取りもせずに全て私の無限収納に入れてしまっている。中のホーリードラゴンはどうなっているのだろう?中では時間も止まっているので大丈夫だとは思うが少し心配である。 


帰りにもう一晩野営をして、テントを張り、食事は私の無限収納に入っているものを出す。私のせいで一日早く帰ることになったのだからこれくらいはしても良いだろう。野営の際フラウ先生に話をしたら、流石に学校の寮でドラゴンを育てた例は無いので、王様に話をした方が良いだろうとの事だった。っと言うか私が育てても良いのかと言ったら、あなた以外にはなつきませんと言われた。内心喜んだのは内緒だ。そして食事だが、自分で狩りをする様になるまでは魔力を餌としてあげていれば良いらしい。ちなみにセルさん情報だ。


翌日、まぁダンジョンの中なので正確な時間は分からないが、多分日が昇ったであろう時間に見張り組以外を起こして食事である。やっぱりここでも、私が食堂のおばちゃんに作って貰った食事を出す。皆にこれだけ快適だと行きは何だったのかと言われた。確かに行きの食事は味気なかった、帰ったら食堂のおばちゃんに食器を洗って帰さねば、やはり翌日の帰還も早かった、あっという間に外に着いた戦力2倍は伊達じゃない。


そして無限収納からトラックを出し、皆が乗り込むとそれを合図に発車する。このままのペースで帰ればお昼を少し過ぎたころには寮に戻れる。寮に着いて皆を下ろしたら、すぐに王城に向かって車を走らせる。フラウ先生は助手席のままだ、王城に着くとすぐに私が来たことが分かり。まぁ初めて見せるトラックだしね、王様への伝令が走るんだが、王様は居なかった・・・・・車を手に入れてからというもの本当にナンパを続けているらしい、エルフは寿命が長いだけあって臣下に仕事のできる人たちがいっぱいいて、王様が居なくても国がある程度回るらしい。私は鷲を10羽召喚魔法で召喚し、早く帰ってこないと車を壊しますよ、との内容を鷲の足にくくりつけ飛ばした。


それから10分後、真っ赤な車が私の前で急ブレーキをかけた。 


「待たせたかね」


「いえ、そんなには」


「お父様!!仕事もしないで何をしているんですか?」


「いや、そんなに仕事をしていないわけではないよ。少しだけ休みを取っているだけだよ」


「先生、そんな話をしている時では・・・」


「そうでした、お父様、学校の寮でドラゴンを飼う事をお許し頂きたく参上いたしました」


「学校でドラゴン?」


「この子です」


無限収納からホーリードラゴンを出す


「おぉ、これはホーリードラゴンではないか?」


「そうです、よくご存じで」


「昔読んだ文献に挿絵が入っていてな、聖なる龍ホーリードラゴン、それを見つけたものは幸せになれるとか」


「誰が見つけたのだ?」


「リーサです」


「そうか、聖なる龍を害するわけには行かないからな。学校で一緒に暮らす事を許可しよう」


「まだ、赤ん坊の様だし、大きくなるまでには時間もかかるであろう?」


「大きくなると、人型に変身することも可能らしいです」


「それは好都合、大きくなったら変身し人型でクラスで一緒に勉強すればよかろう?」


「総じてドラゴンは頭が良い、人間の言語や勉強などすぐに覚えるであろう」


「ありがとうございます」


「気にするな、私も車を壊されずに済んで助かっている」


「そう言えばリクライニングシートって使ってます?」


「何だそれは」


「車のここをこうするとシートが倒れます。女性を押し倒すときに便利です」


「ほぉ、これは知らなんだ、良い事を聞いた」


「お父様!!!!?リーサも余計な事をお父様に吹き込まないの!!!」


「はぁいごめんなさい、つい嬉しくて何か教えてあげようと・・・」


「ごほん!!まぁそれはそれとして、良くぞ聖なる龍を助けた、聖なる龍は国にも多大な恩恵をもたらす。これからは大事に育てるのだぞ?」


「はい」


「何かあれば国で保護する事も考えておこう。っと言うかリーサには騎士を交代で護衛につけよう。以前の商人の様な事があれば問題だし、もう商人はその気も無いだろうが、冒険者は狙ってくるだろうからな。女性で腕の立つ騎士なら問題無かろう」


「ありがとうございます」


「ところで、このトラックはリーサのか?初めて見るタイプだが」


「あぁこれは普通の人には運転が難しいので、作らなかったタイプです」


「そうなのか?」


「はぃクラッチと言う機能を使って、スピードを変えることが出来るのですが。そのスピードを変える機能が24段階になっていまして、どんな悪路でも走行が可能なんですが、なにぶん運転技術を教えるのが大変で・・・」


「そうか、今までのトラックより悪路を走れるのであれば、購入の検討もしなければの」


「いや、教えるのが本当に大変なんです。それにスピードは王様の車より出ませんよ」


「速度より、悪路をメインとした車なんじゃな?」


「はいそうです、10分で1メートルとかの遅いスピードでも走れます」


「そうか、まぁ今は前回買ったトラックで十分機能しているから我慢しよう」


「王様は新しいもの好きなんですね?」


「そうじゃのう、言われてみればそうかもしれん。特にリーサは今までに見た事も無い物を持ってくる、王として長く献上品などを見てきたが、これほど面白い物は見た事も無い。特に部屋に取り付けた冷たい風の出る箱は暑い日には欠かせないな。この車にも同じ機能が付いているが中々に快適じゃ」


「ありがとうございます」


「まぁ今は、そのドラゴンを大事にな。騎士はチョット変わっているが邪魔にはならんはずじゃ」


「はぁ・・・?」


「とにかくこれでお父様の許可も得られました、寮に帰ってドラゴンに名前を付けてあげましょう。お父様あまり公務を投げ出さないようにお願い致します」


「わっ分かっておる」


「では、王様ありがとうございました」


「うむ、又面白い物が出来たら持ってきなさい」


「はい、それでは失礼いたします」


そして寮に帰ってきたは良いが 


「名前はどうしよう?ドラちゃん?どこかのネコ型ロボットみたいだな。龍樹・竜鬼・龍羽・白龍、う~んどれもしっくりこないなぁ、聖なる龍で龍聖?」


『ピィピィ』 


「龍聖が気に入ったの?龍聖」


『ピィピィピィ』


「これが気に入ったの?何かキラキラネームみたいだな?」


「でも気にいったなら構わないか、じゃぁ君は今日から龍聖だ」


『ピィー』


「ドラゴンの性別ってわからないけどいいよね?」


コンコン


「はぁい」


「リーサいる?」


「うん、帰ってきたよローナ」


「今この子の名前考えてたんだ、色々候補を出したんだけど。龍聖ってのに反応したから今日からこの子は龍聖です」


「聖なる龍で龍聖ってそのままだね」


「だってこの名前に反応したんだもん、ねっ龍聖」


『ピッピィ』


「ほらね」


「本当だ、龍聖ちゃ~ん」


『ッピィピィ』


「おお、可愛いね」


「だよね~、あっご飯あげなきゃ龍聖おいでご飯ですよぉ」


抱っこして、イメージ魔法で色んな属性の魔力を注ぎ込む。そうすると少し大きくなった気がする?気のせいかな?そんなにすぐに大きくならないよね?明日からは一緒に学校かぁ、みんなびっくりするよねぇ、それにしても王様、。女性の騎士を寄こすって言ってたけどいつ来るんだろう?今日はもう遅いから明日考えよう。


「ローナ私今日は疲れちゃった、魔力あげすぎたかな?もう寝ない?」


「いいよ、私も初めてのダンジョンで疲れちゃった」


「じゃぁ、今日からは龍聖が真ん中ね」


「「おやすみぃ」」


そして夜は更けていくのでした。

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