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絶望ヒロイン  作者: UFF
第一章
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第一章 八話 『異変』



「そもそも!

お前は兄としての威厳はないのか!」


テリー君が激おこプンプン丸になってから、体感30分が経過した。

未だに終了の気配はない。

だんだん、面倒になってきた俺は適当に相槌を打ち、流していた。

こうも暴言ばっか浴びせられると、逆に安心感が芽生えてくる。

同時に、眠くなってきた。

よく考えたら、異空間に来てから一睡もしていない。

恐らく、かなりの時間が経過してるのだろう。

眠くなるのも当然か。


「おい!聞いているのか!

このちんちくりんボケナス意気地なしが!」


聞いてるわけないだろ。

それに暴言がどんどん雑になっている。

恐らく、彼の暴言ボキャブラリーも底を尽きて来たのだろう。

いい加減、やめればいいのに。


何て感想を持っていると。

俺は強烈な眠気に襲われた。

当然、なす術もなく、眠りに落ちた。


「寝てんじゃねえよ!

ぶっ殺すぞ!」


その後、テリーの怒りがしばらく収まらなかったのは、言うまでもない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



今日もセラフ・ミーティングは行われる。

本来、毎日行うものではないが、最近の快進撃にはこの会議の影響が少なからずあると皆が睨んだ結果、毎日行うのが暗黙の了解になった。


「さて、今日もやるかのう」


「そうだな」


「ああ」


「始めてくれ」


四人の重鎮が各々に返事をする。

特にリーダーみたいな存在はいない。

皆が支え合い、お互いを敬うからこそ、この会議も成り立つのだ。


「昨日、奴らに不審な動きがあった」


リーダーはいないが、最初に口を開くのは決まってこいつだ。


「それはラファの配下の情報でいいんだな?」


お互いに信頼してはいるが、情報の信ぴょう性を求める上で、ソースは非常に重要だ。

噂レベルのことを議題にあげるのはタブーとされている。


「ああ。

どうも、テリーが姿を消したらしくてな」


「あのテリーが?」


「ほう」


「おもしろい」


3人は同じ様な反応を示した。


「まさか、クーデターか?

なら、好機ではないのか?」


「まあまあ、まだ話は終わってないぞ、そう焦るな、ウリエロ」


戦が大好きなウリエロはまだまだ未熟なところもある。

戦闘がしたくてしょうがないのだ、彼は。

だから、戦の匂いを嗅ぎつけた瞬間に首を突っ込もうとする。

彼の悪い癖だ。


「テリーが姿を消したのには意味があると私は踏んでいる。

クーデターらしい動きはなかったしな」


「なるほど…

ラファはどんな意味があると思う?」


「当然、新たな魔王探し一択だろう」


「確かにな…

その可能性が濃厚だとは思うが、決めつけるのは愚策だ。

何か裏があるかもしれん。

それに…」


知的な思考を持つ、ミカエロはいつも議題の新たな方向性を示してくれる。

彼が会議の価値を高めていると言っても過言ではない。

そんな彼は含みを持たせ、言った。


「あいつは一筋縄ではいかない男だ」


「ふむ」


いつも曖昧な返事をするガブリエロだが、こう見えて頭がかなり切れる。

その上、この四人衆の中で最も発言力が強い。

しかし、それを濫用することもなく、会議を良い方向へ是正してくれる。

最年長の彼は会議においてはストッパーの役割だ。

そんな彼も、言った。


「奴は3000年前の第三次天魔海森土大戦においても、暗躍してはとんでもない策を編み出し、敵を散々陥れた。

今回もまたロクでもない策略であろう、無闇な手出しは命取りとなるぞ」


第三次天魔海森土大戦。

彼はあの戦争の唯一の生き残りだ。

戦争の生き証人といってもいいだろう。

文献にも残らない程に激しい戦いだったのだから。

無論、他の3人もそれを把握している。

それだけに、彼の言葉には重みがある。


「そうだな、ここは手は出さず、情報収集に徹することにする。

異論のあるものはいるか?」


ラファエロが議事をまとめに入った。

いつも通り、全員の意を聞き、迅速にまとめ、適切な決断を出す。

短いが、彼らも暇ではない。

会議は終わりだ。


「うむ」


「いいと思うぞ」


「…」


だが、普段通りとはいかなかった。


「どうした、ウリエロ?」


何かが狂っていた。


「おかしい!

お前らはおかしい!」


いつもなら、落ち着かせてお終いのはずだった。


「てめえらは、腰抜けなんだよ!」


だが、そうはいかなかったのは、ウリエロがおかしいだけではなかったからだ。

全員が、この四人が、長らく支え合ってきた皆が、

狂っていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



柔らかい。

いつもの自分のベッドの10倍、いや、100倍は気持ちいい。

まるで、天国に登るようだ。

ずっとこのままでいたい欲が湧く。

至高。

この一言に尽きる。


「起きた?

魔王様〜?」


しかし、最高の環境は一声で一気にドブ地獄に成り下がった。

さっきまで聞いていたやかましい奴の声。

先ほどからかなりイライラしてた俺にとっては凄まじい威力。

効果は、抜群だ!


「起きたなら返事くらいしておくれよ。

全部聞こえてるんだから」


「なっ⁉︎』


「誰かの思考を覗くことなんて朝飯前だよ…

やっぱり起きてるじゃんか、寂しいねぇ…」


俺は驚きが隠せない。

こいつの趣味の悪さと、超人的な能力。

本当に何者だよ、テリーよ。


「超人的だなんてそんな…

素で褒められると流石に照れるなぁ〜」


「満更でもなさそうなのがキモい。

あと、人の思考を勝手に覗くなぁ!」


俺はテリーに対して怒りをぶつけた。

久々に罵ってやったから、気分も良くな…


「ドゴォォン!!!!」


スッキリした気分は一気に塗り替えられた。

爆音。

鼓膜が破れてもおかしくないレベルだ。


「何事だ!」


なんと、最も動揺していたのはテリーだった。

怒りは見せても弱さは見せないテリーが。

基本、ヘラヘラしているテリーが。

あの、最強のテリーが。

俺よりも動揺していた。

三白眼をカッ、と見開かせ、拳を握っている。

そして、足がプルプル震えているのだ。


「僕の人生の中でも最も強い魔力を感じた…

こんな力は少なくともこの世界の住人では出せない…」


テリーが焦って何かを考えてるのよそに、俺は別のことが気になっていた。

いや、気にせざるを得なかった。


自分の記憶にないものが、頭の中に流れてきたのだ。

俺は自然と嘔吐感を覚え始める。

自分が、自分じゃない。

こんなこと、記憶にない。

不思議過ぎて、気持ちが悪い。


「何だ…これは…」


苦しい。

俺はこんな奴ら知らない。

誰なんだよ…


あまりの苦痛に悶絶した俺は、せっかく起こした体をベットに倒した。

すると、テリーがこちらの様子にようやく気づいたようだった。

同時に、意味不明なことを言い出した。


「もしや…

さっきのは魔王様が引き起こしたのか⁉︎」


よくわからない感想を抱いた後、

俺の意識はまたも、消失した。




まだまだ未熟な点も多いかと思います。

些細なことでも構いませんので、アドバイス等、よろしくお願いします。

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