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絶望ヒロイン  作者: UFF
第一章
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第一章 四話 『決意とは裏腹に』

今回は少々グロテスクかも…

あ、俺の表現力なら大丈夫か



3日が経った。

あんな決意表明をしたものの、3日間、何も出来ないでいた。

いや、出来なかったと言うべきだろうか。

やはり、妹を弔う儀式や、手続き等で忙しかったことは事実だった。

それでも、多少なりとも時間はあった。

しかし、俺は動く気力を失っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


昨日は主治医に家族全員が呼び出された。

嫌な予感を感じつつも、主治医の部屋へ向かった。


妹の死因は『多臓器不全』ということだった。

死因を告げられた俺は否と叫んだが、当然、医者に対して素人の根拠も証拠もない発言は聞き入れられるはずもなく、親に勘当され、退出を余儀なくされた。


証拠なんてない。

でも、確信は持てた。

昨日の今日だ、十分に悪夢が伝染し、妹を襲うことは考えられた。

否、それしかなかった。


妹の気持ちが分かるのは俺しかいない。

あの灼熱に包まれてみないと理解出来ない。

なのに医者ごときの分際で勝手なこと言いやがって。

憎い。

死ねばいい。


その時、俺は医者に対しても憎しみを抱いてしまった。


前の日は両親とも喧嘩した。

奴らはひたすら俺を責め続けた。


「あんたが見たものをもっと詳しく悠に言っておけば…」

「あんたがあの時もっと早く動いていれば…」


奴らは繰り返して、繰り返した。

誰よりも悔しいと思っているのに。

誰よりも悲しみ、寂しいと感じているのに。

奴らもまた、憎かった。

死ねばいい。

妹の代わりに死んで、八つ裂きにされて剣か何かで滅多刺しにされろ。


とにかく、憎かった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


3日間で得たもの。

それは壮大な憎悪の塊だった。


誰も信用出来ない。

全ての人が奴が憎いと感じる。


憎いーー憎いーー憎いーー憎いーー憎いーー憎いーー憎いーー


このままの心で妹の為に動いたらどうなるだろうか。


恐らく、妹が望む結果には決してならない。

何故なら、人を殺すことに何の感情も抱かないからだ。

それは既に実証済みである。


両親を殺して…ね。


今朝もまた突っかかってきたので、すっと台所に行き包丁を取り出した。

本当は剣が良かったんだけど。

で、先日の想像通り、二人とも包丁で刺し殺し、八つ裂きにしてやった。

なかなか人って切断するのは大変で、肉の部分は簡単に切れても骨がどうしても残ってしまう。なので、骨が見えたら切断完了扱いとした。

その後は無我夢中で滅多刺しにしたら、返り血が凄くて洋服が汚れてしまった。

洗濯が面倒なのでやめて欲しい。

そして、俺は血塗られた包丁を掲げつつ、ふと思った。

何一つ、感じなかったと。

何の躊躇もなかったと。


その時は若干、恐怖を感じた。

でも、両親の言いがかりを思い出したら、むしろ憎しみが生まれた。


「ーーーー」


俺の服は更に赤く染まった。


その後は赤く染まった服を洗濯機にかけて、ベットでゴロゴロしながらこれからのことを考えていた。


そして今に至る。


とりあえず、悪夢のことを調べるにしても時間があまりない。

いずれ両親を殺したことがバレ、マッポが俺にまとい付くことになるのは目に見えているからだ。

あの悪夢は人為的なのか、自然的な何かなのか。

それだけはハッキリさせる必要がある。

医者にもう一度話を聞くのもいいのかもしれない。

でも、また手にかけてしまいそう。

それはとても面倒だ。


そうこう思っているうちにインターホンが鳴った。

さすがに警察が来るには早過ぎるだろうと思ったが、念のため窓を覗いた。

すると、そこには大量のおまわりがゾロゾロと群れていた。

ざっと二十人か三十といったところか。

一つ言うならば、逃げられないのは明らかだ。

さて、どうしたものか。

まだ令状は持ってきてはいないはずだ。

無闇に出るのは愚策だろう。

やはり、待つのが得策。

考えをまとめた俺は、ベットの下で息を潜め去っていくのを待つことにした。

幸いにも全ての部屋のカーテンは閉まっている。

大丈夫、大丈夫。

落ち着けば嵐は去る。


「ーーーー」


やけに左側がいつもより眩しい。

警察が入ってきたのか?

いやいや。

それなら音で気づくだろう。

でも何なんだろうか。

気になる。

恐る恐る、ベットから顔を出してみた。


「やあ」


そこには見たこともないような厨二病コスプレイヤーが浮いていた。

俺の反応はもちろんこうだ。


「うわああああああ、しゃべったぁぁぁぁぁー!!」


すぐに玄関の扉が開き、大量の足音がこだました。

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