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子猫のヒゲ  作者: 梨香
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紅玉のアップルパイを食べたい!

 私の住む町の隣町には、季節限定の「紅玉アップルパイ」を販売するケーキ屋さんがあります。私は、ここのアップルパイが大好きなのですが、年に1個か2個しか食べられません。何故なら、季節限定だからです。


 ここのアップルパイは、パイ生地に紅玉リンゴの煮たのがゴロッと入っているシンプルな物です。20㎝ぐらいの長方形で、一本丸ごと竹の皮に包んで販売されています。ケチケチと細く切ったら、6切れになるかもしれませんが、両端はパイの部分が1㎝はあるので、太目に切らないとリンゴが少なくなってしまいます。


 私は2回食べたいので、家族の人数より多く切り分けようと、アップルパイを考えながら切り分けます。本当は、焼きたてが美味しいのはわかっているのですが、滅多に食べられないので、オーブントースターで暖めて2度目も楽しみたいのです。


 パイはサクッとしているし、紅玉リンゴの煮たのは、甘酸っぱくてジューシーで、口の中で混ざると絶妙な味です。


「こんなに美味しいのに、何故、季節限定なんですか?」


 このケーキ屋さんには、知り合いの男の子が勤めているので質問しました。


「この紅玉リンゴは、契約した農家で無農薬栽培して貰っているから、無くなったら作れないのです」


 無農薬なので美味しいのかは、私にはわかりませんが、お店のポリシーなら仕方ありません。せっせと、季節限定のアップルパイがある間は、ちょっと山の中のケーキ屋に通うしかないのです。


 そう! 季節限定と、この立地が、私が大好きなアップルパイを食べるのを邪魔しているのです。わざわざ30分かけて買いに行っても売り切れだったら泣くしかありません。それに、周りには何にも無いので、本当の無駄足になるのです。


「紅玉アップルパイ、ありますか?」


 恥ずかしいですが、あらかじめ電話をかけてから、車で買いに行きます! 特に、季節限定がいつからなのかが、わからないのが辛いのです。


「紅玉アップルパイ、ありますか?」


「いえ、未だ焼いてません」


 この応答を繰り返すのは、かなり恥ずかしいのです。 ハッ! 今年は未だアップルパイを食べていません。忘れていた!


 10月に電話した時は、未だ焼いていなかったので、忘れてしまっていたのです。明日は買いに行こう! でも、定休日だったかも?……確か、火曜か水曜が定休日だった筈です。大好きなケーキ屋の定休日すら覚えていません。言い訳をするなら、第三は火曜、水曜と連休とか、イレギュラーな定休日なのです。電話してから、買いに行こう!



 私が大好きな紅玉アップルパイをなかなか食べられないのは、季節限定だからでなく、頭がザルだからなのですね!


 挿絵(By みてみん)

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