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4月1日

作者: 瑞姫

俺が17の頃。


「お前はいいなぁ。色んな人から好かれる」


「何いってんだよ」


亮介が俺が羨ましいと変なことを言ってくしゃっとした笑顔で俺を見る。


「だって、お前は目立つから色んな人の目に付くだろ」


はははって冗談と思わせるような口振りでそんな事をいう。


「おかげで親とか先生、警察とかにくっそ怒られるけどな」


俺からしたら、ごめんだな。羨ましいとかそんな事は思いもしねぇよ。なんて、思いながら答える。


「しかも!お前、才能あるしな!くっそ!むかつくわ〜ははっ」


「才能って。何いってんだよ!遊びだぞ?

遊びに才能もくそもあるか!」


亮介はえぇー?と不満の声をあげ、それでも。とまた、言ってくる。


「まあ、そんなんでも、お前は俺にとって羨ましい存在で、一番信頼できる友達だ!」


「じゃ、俺と同じことしたら?目立つぞ?」


「俺がやったら浮くからね!」


じゃあ、んなこと言うなよな。なんて思ったりしたけど言わなかった。

あの頃の俺は夜遊びしたり、100均で買ったスプレー持ってそこらじゅう落書きしまくってた。ほかにもたくさんイケナイ事ばかり覚えては迷惑かけてってしてきた。


18年経った今はどうかな。


いつかの亮介がいたビルの端に立つ。

ただ、1人。風に当たりながら言ってみる。


「久しぶり。It is made fine and shines?

わかるか?亮介。

お前は英語苦手だったよな。

なんもできねーのに、先に俺置いていきやがって。久しぶりにお前に会って語りたいよ」



亮介に聞こえてるかどうかは知らない。

だけど、15年前にはお前もここに立ってただろう?聞こえてるって信じてるよ


「まだ、お前のとこにいく気配はねぇーから、もーちょっとこの世界で伸び伸びとやっていこうと思うよ。しっかりと見とけよ

お前がこっちに戻ってきたらやることを全て見せて教えてやる。覚えとけよ!じゃあな!」


そう言い残して俺は屋上をあとにする。

今はお前みたいな明るくて優しい奴を相棒として仕事してるよ、すっげぇ楽しいよ。

けど、やっぱり、お前のあの笑顔が見たくなるんだ。


15年前の4月1日。

お前は死んだ。みんなが涙が出なくなるほど悲しがった。

お前が思ってるほどみんなはお前の事、嫌いじゃないんだ。こんなにも悲しがってくれる、心配してくれる人がいるんだ

もう、気付けただろう?


Bye-bye.see you again.


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