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プロローグ
朝の通勤ラッシュ
むさい教室
精神年齢の低いクラスメイト
ーーどれも都内の男子高校生には馴染み深いものである。
それでは、
背後からの視線
何者かの気配
ーーといったらどうだろうか。
ただの妄想だと思うか、何かの前兆ととるか、この選択は、今思えばかなり重要だったと思う。
実際、妄想にしては幼いときから感じ過ぎていた。歩いている時、授業中ーーなど、ことあるごとに気になり過ぎていた。
俺には、こんな結果は予想できなかった。前提が違いすぎた。生きている世界が違いすぎた。世の中の外について知らなさすぎた。
そう----あの日、あんなことが起こるまでは、俺の日常は、平和としかいいようがなかった。