第三話
今日は祭りだ。夏祭り。夏一番のイベントでもある祭りでは同時に花火大会も行われる。そして真坂兄弟と三桜加奈子は17:30に祭りが行われている神社にある一番大きい大木を待ち合わせ場所に指定していた。
せっかちな加奈子は三十分前には来てしまっていた。.
「ん~。早く来すぎたなぁ~・・・適当にそこら辺をブラブラ・・・いや、それは後で二人としたいからとっておくかなー。取り敢えずは時間つぶしということで、人間観察でもやってみます!」
加奈子は相変わらず加奈子だ。天然としか言い様がない。
自分では、薄々感じているものの、真坂兄弟にそのことを指摘されると加奈子としては、ムッとしてしまう。しかもあの口調で。まさにダブルパンチだ。
それにしても、あの双子の連携プレイは目を見張るものがある。
文字通り意思疎通もとい精神がシンクロしているのではと思ってしまう。
一日だけでもいいからあの二人の生活を体験してみたいと思ったことは何度もある。
ほとんど同じ思考回路。言動やその他諸々。それならば必然的にお互いが衝突してしまうのではないのかと思わなくもないのだ。思考回路が一緒ならば、風呂やトイレ(トイレはそうでもないかな・・・)食事のときに同じものを同じタイミングで取ろうとしたりとか、色々と問題がありそうなのだが、少なくともあるか否かは別として、ありそうに見えないのだ。そのような問題は二人にとっては最早些事なのか。もしくはとうの昔に解決してしまったいるのか・・・謎は深まるばかりだ。
それに双子の謎に付け加えて双子の両親も消えちゃうし・・・
「あの家族は謎の権化とも言える気がする。」
なんて口走ってしまうほど謎家族なのだ。
「今は、夏休みだから特に問題はないけど、学校が始まったら保護者面談とかどうするのかなぁ・・・いつかはばれるんだろうし・・・何か対策を・・・って!どうして私が考えてるのよ!二人は全く気にしてないし・・・」
ただ楽観してるだけなのか。それとも、あきらめの境地にいるのか・・・
どちらにせよあまり心配をかけさせないでほしい。こっちの身にもなってほしいものだ。
色々と考えているうちに二人がやってきた。
「加奈子、早いね」
「待たせちゃった?」
「こういうお楽しみイベントは」
「いつも時間より早く来るよね」
「一言多い!」
いや、二言か・・・二人は相変わらずだ。
「待ちくたびれちゃった。早く行こうよ!!」
こちらの催促など気にもしてない様子で
「加奈子は」
「子供だなぁ」
何だか馬鹿にされたようでむかついたから一発ずつ蹴ってやった。ふん。
「うわぁ。姫様は」
「御立腹のようだ」
もう一発蹴ろうと思った瞬間、花火が打ち上げられた。
それはまさに様々な色の花が一斉に咲き誇るような景色だった。
百花繚乱とはこんな感じなのかなぁと感動した。
「もう、打ち上げ始まっちゃったよ!早く早く!」
「うん」
「急ごうか」
二人もまんざらではないようで早くも花火に夢中だった。
三人で走った。走った。とにかく花火をこの目に焼けつきたくて。
加奈子は走りながらいつまでもこんな風に生きていけたら良いなと感じていた。自分と二人。今までと同じようにこれからも・・・
気が付けば二人に話しかけていた
「私たち三人でこれからも一緒にいれたら良いね」
走りながら二人は全く同じ表情でこちらを見ていた。握りこぶしが入りそうなほど口を開けてポカーンとしていた。
次の瞬間には二人は笑いだしていた。
「「ぷっ。あはははは」」
「な、何よ!笑うなんてひどくない!?」
「ごめんごめん」
「いきなりだったから」
「むぅ・・・」
確かにいきなりだったからどうしたんだろうとは思うけど・・・
それにしたってひどい!と思った私の気持ちは次の瞬間、和らいだ。
「加奈子。そんなの」
「今更だよ」
「えっ・・・」
「僕たちは血は繋がってないけど、家族なんだから」
「いつまでも一緒にいるさ~」
と、軽い口調で言いのけた。
瞬間、私は幸せで一杯になった。
これからも三人でいようと心に誓った。どんなことがあろうと一緒に・・・
「ここなら花火が」
「よく見えるよ」
私たちの夏はまだまだ始まったばかりだ。
もしかしたらいつかは別離が訪れるかもしれない。
でも、私たちなら大丈夫だと思えた。
きっと、すべてを乗り越えて一つに収斂するのだろう・・・
グダグダですいません・・・
ジャンルが「学園」となっているのに全く関係なかった・・・
他にも色々と作品を書けたらいいなぁと思ってます。
いつかまた、他の作品を投稿するかもなのでその時は見ていただければ幸いです。




