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Abilityー特異体質ー  作者: 信心
プロローグ
2/6

第2話 謎の生命体

本編に入る前の話です。

良ければ読んでいって下さい。

はっ!


パッと目が覚める。

頭を掴まれた後から記憶がない。


いつの間にか寝転がっているし、一体あれからどうなったんだ…


疑心暗鬼になりながらも起き上がる。

起き上がると、急に頬がジンジンして尋常ではない痛みが襲ってきた。

頬に手を当てて確認すると、両頬がぷっくりと膨れていた。


何だ、この頬は!?


「おい!起きたか。」


ハッとして、声のした方を見る。


えっ!?

思わず、顔を見て驚いた。


ど、どうなってるんだ!?


その顔は、昨日大学であったトウドウ教授そのものだった。

それに顔だけではなく体から足までまるでそこに本人がいるみたいだ。

ただ謎の生物だと分かる所が頭から特徴的な角が生えている。

それに、起きる前は何を言っているか分からなかったのに今は言葉が通じている。

私の頭は大丈夫なのか?

もしかして、乗っ取られているのか…


不安になり、頭を両手で抱えて座り込んだ。


「その頬はなかなかお前が起きないからな、仕方ない。」



「おい!聞いているのか?」

「ひ、ひぃぃーーーーー」


丸くなって座り込んでいると、急に声がして驚いた。

そのせいで怯えて叫び声しか出なかった。


「何だこの生き物は…こっちが聞いているというのにまともに返事も返さないとは。ここの世界の奴はこんなひ弱な奴ばっかりなのか?まぁ、いい。私の能力を使えば嫌でもな…」


何か言っているが少し心を落ち着かせる為、深呼吸をする。



くっ、まともに喋れないとは…

何とか心拍数は下がってきて落ち着いたがどうなってるんだ!?

それに、この生物は何を言ってるのかよく分からない。


「おい、話せるようになったか?」


こっちの様子を見て、話しかけてきた。


「・・・す、少しですが…」

「お前、俺と取引をしないか?」

「と、取引ですか?」


話しかけられてもすぐ返事が出来なかったが取引と聞いて、益々怪しく感じた。


「あぁ、俺はこの次元の裂け目からやって来たこの世界とは異なる世界の者だ。」

「異なる世界…」


それを聞いた時、怯えていることを忘れて無意識に思考が切り替わる。


「そうだ。急に俺の世界に次元の裂け目が出来たからな、通って来たらここに辿り着いた。」

「そういうことか…」


はぁ…

頭を抱えて、ため息を吐く。


段々とわかって来た…

要するに、abilityはタイムスリップする扉ではなく、異なる世界に通じる扉だったという事か。

まったく…

何という事だ、私の夢が…

まぁ、仕方ない。

ポジティブに考えようじゃないか。

異なる世界いわゆる異世界に繋がったという事はこれはこれで凄い事だ。


「それで貴方は向こうの世界の何者なんでしょうか?」

「そうだな、まぁいわゆるこの世界でいう神という奴だ。」

「な、なんと神様!?」

「あぁ、そうだ。」

「その向こうの神様が一般人の私と何の取引をしようというのですか?」

「やってもらいたい事がある。お前に私の能力の一つ、異質変化(ウィルス)を与えてやる。それを使いこの世界の生き物に接種し、その中で最も強い奴をこの次元の裂け目から此方の世界に送るのだ。」

「なるほど…」


少し考える。


何故自分でやらないんだ…

何か制限があるのか…

異質変化(ウィルス)だと?意味がわからない。

様々なことを考えた。


「…それだけですか?」

「あぁ、それだけだ。他にしたいことがあればその能力を自由に使ってもかまわない。どうする?」

「しかし、強ければ強い程制御も難しい気がしますがそうなるとまともに言うことを聞かない奴も出てくるのではないかとそれはどうしたら…?」

「その異質変化の能力で与えられた感染者…(すなわ)特異者(ファクト)は接種した者に逆らえない様になっているから大丈夫だ…。」

「そうですか…」


何を言ってるのかは分かるが信用が出来ない…

生き物を強くする能力を与えられるという事は私は人間では無くなると同じこと。

しかし、その能力があれば金儲けが出来そうだ。

ただ、その反面副作用とかがあってもおかしくはない。

少し気になるが…

一応、断る事は出来るのか聞いてみる。


「それは断っても?」

「断ってもいいが、その時はお前を抹消しなければならない。別に他の生き物を探せばいいだけだからな。」


え、なんだと!?

それだと選択肢がないじゃないか。

それに、この神様と名乗る生物から逃げられる気がしない。

ここはこの生物の取引に応じるしか…


「どうだ?取引に応じるか?」

「取引に応じますが…ただ、一つだけいいですか?」

「何だ?」

「その能力に副作用はないのですか?」

「……ない。」

「本当にないのですか?」

「ない。」

「そうですか…」


最初の返事がなんかありそうな間だったが、ないと言われたらそこまでか…


「この世界での時間が限られてる…どうする…」


やはり、自分でやらないのは制限があったからか…

納得がいく。

今の私では、この取引は損か得かで言ったら得の方が多いからな。

死ぬよりマシだ。


「なら、早速お願いします。」

「そうか、いい判断だ…では能力を与えよう。」


目の前まで近づいて来た。

近づく度に、肌がピリピリと痺れ、毛が逆立ち、身体に緊張が走る。

そして、目の前で止まった。


目の前まで来て分かったが、見た目はトウドウ教授そのものだが本人より少しだけ背が高かった。

180はあるだろうか…


すると、急に頭を掴まれた。

頭から徐々に身体に何かが入ってくる感覚がある。

それと同時に寒気と手足の痺れが押し寄せてくる。


うっ…


ある程度身体に入った頃、痛みも加わって来た。

何処もかしこも身体中が悲鳴を上げている。


「よし、これで終わりだ。」


言われた瞬間、身体に入ってくる感覚が消えた。

そして、能力の使い方が手に取るように分かった。


早速、貰った能力の異質変化(ウィルス)を試してみる。


すると、左手の人差し指に何か熱いものを感じる。

見てみると、人差し指が注射器の針の様に鋭く尖った物が突き出ていた。


「ハッハッハッ、凄いっ!これは人類の進化だ!」

「フッ、それを生き物に刺せば体の何処かが変化するはずだ。」

「そういうことか。」

「俺は帰るが問題ないか?」

「大丈夫だ。」

「…期限はこの世界で1年、1年後にまた来る。俺を失望させるなよ。」


そう言うと、abilityから帰って行った。


しかし、一度試してみないと信用ならない。

何かいないか探してみる。

建物の隅から隅まで探していると、都合よくネズミが配管の上を走っていた。


チュッ?


ネズミもこっちに気付いて俺?みたいな顔をした。

見つけたのはいいがこのネズミをどうやって捕まえるかが問題だ。

近づいてみる。

すると、ネズミは走って逃げ出した。


やはりか…


流石に無理だったのでネズミは諦めて、違う生き物を探して建物の外に出る。

建物の横にある石をどかすと、ミミズがいた。


こいつでいいだろう。


ミミズを手に取り、左手の人差し指を異質変化の能力で変化させてミミズに刺した。

すると、小さいミミズの身体に黒い羽模様が現れた。

その羽模様が急に光りだすと身体からミミズサイズの羽が生えた。

その羽を羽ばたかせ、何処かへ飛んでいった。


「フッフッフッ、凄い!これさえあれば金も名声も私の物だ!こうしてはいられん、早速帰って論文を書かなければ。」


車に荷物を入れ、急いで大学に帰った。

大学に着くと、研究室に向かう。


「アルカド教授っ!」


研究室に向かう途中、事務の女性が叫んで走ってきた。


「何かね?私は忙しいんだが…」

「何を言ってるんですかっ!そんな事言ってる場合ではないんです!ちょっと来てください!」


そう言われると、手を引っ張られて事務室に連れて行かれる。

事務室に入ると、スーツ姿の3人組の後ろ姿があった。



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