奇幻昇降機
前回:喀血した廟公は転院させられ、廃れた「病院」にやって来た。末期症状が迫る中、付き添う娘とその彼氏には他に選択肢もなく、せっかく来たのだからと中へ。
三人がエレーターに飛び乗ると、ドアは素早く下りて閉じた。その音は未来的な空圧音のようだった。ドアにはスキャナーが付いており、性別不明の声が響いた:
「お昼はもうお済みですか?あら、お二人の初めてのお客様がいらっしゃいますね。どうぞカメラの前で笑顔を作ってください」息遣いも唾液音もない、純粋に合成された声だった。
ドア上部の補助照明が点灯し、亜嬌と阿郎が笑顔を作ると、四方の壁に脈動する虹色の光が広がった。二人は歯を見せて笑っていた――この廃墟のような建物の中での幻想的なハイテク体験は、診察前のサプライズと言えたかもしれない。
すると、壁面に一連の勅令符が現れた。完全な落書きではなく、「消炎」「解熱」「収驚」「駆邪」といったキーワードがかすかに読み取れる。やがてそれらの符は焼却されていった。
全てが幻想的だったが、さらに驚くべきことに、今度は古い(白黒の)記録映像が流れ始めた...
画面は病院の正面玄関前に切り替わり、おしゃぶりを咥え・眉間に朱の印・頭に二つの髻・腹巻き姿・二つの車輪を踏んだ少年乩童が槍を振り回し、次に霊幻道士の衣装に金縁眼鏡をかけた中年男性が木剣を舞う。少年乩童が戻ってきて銅鑼や太鼓を叩くと、再び中年道士が現れ、悠然と剣で門前のテープカットを行う――開院式の様子だった。
続くカットでは、多くの――病に伏し・痛みに悶え・狂い・憂う――人々が群れをなして病院に押し寄せ、孤立無援で苦しむ様子が映し出された。そして彼らは次々と、笑顔の整った白衣のスタッフに個室へと案内されていく。父娘は診察を急いでいるようで無表情だったが、阿郎はますます興味を惹かれている様子。
その後は一連の施術シーン――優しい眼差し、微動する鼻翼、開く朱唇、器用な指先。映像中の患者たちは泣き叫んだり、首を振ったり、跪いて頭を地面に擦り付けたり、筊を投げたり。スタッフは砂盤に文字を問い、亀の甲羅を振り、体に符を書く。巧みな手つきで経穴に針を刺し、吸い玉を置き、蝋を垂らし、扇いで薬を煎じる。
やがて画面は淡くなり、金縁眼鏡をかけた鋭い眼差しが浮かび上がる。同じ中年男性で、銀髪のショートカットに白系の道服姿。鋭利なサメ皮の剣を手に、大勢の患者が見守る中、自身の背中・胸・頬をその剣で削り始める。衣服は血で染まるが、表情は変わらず毅然としている。見物人たちは息を殺したまま。次に彼は真っ赤に焼けた炭の上を裸足で歩き始め、足元から炎が上がっても歩みを乱さない。消防靴を履いた患者たちが後に続くが、炭の爆ぜる音以外は一切の物音がない。
最後にBGMが消え、彼の鋭い眼差しと金縁眼鏡がアップになる。引きがなされると、霊幻道士の装束に桃木の剣で顔の半分を隠している。そこへスーツ姿の手が伸びてきて、彼の額に「西區派出所」の印と「勅令封院」の文字が記された符を貼り付ける。画面は突然カラーに変わり、道士服は「炎院長正英」と刺繍された医師服に、背景は封鎖された病院正面玄関に切り替わる。院長は冷静にその符を剥がし、家伝の剣法を華麗に舞い、怒号と共に剣先と貫かれた封院令を大門の隙間にガシャンと突き刺す。
画面は真っ白にフェードアウトし、「浩気長存(偉大な気魄は永遠に)」の文字が浮かび上がった。
三人の反応は様々:
「Bloody hell...」亜嬌が呟き;
「おお...」阿郎は理解しようとしている様子;
そして
「......」金土の目には涙が浮かんでいた。
その時、空圧音が響き...ドアが開き始め、明るい光が差し込んできた。
次回に続く《冷看護師》
三人は炎院長が現れるかどうか知らないが、出会ったこの看護師は少し冷たそうだ。