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開壇

今章【起乩】はこれで最後です...

前回:近所の人々との別れを済ませ、最後の一本に火を点けた金土。煙を吐き出す間もなく、ついにその時が訪れた。


 いつものように、束の間の快楽は長くは続かなかった。

 金土は目を開けようとしたが、今回は間に合わなかった――


 気がつくと、彼は縦型の「起乩ポッド」と呼ばれる透明なカプセルの中にいた。液体に満たされた狭い空間で、頭部には複雑な神経接続装置が装着され、顔全体を覆うマスクには呼吸用チューブが接続されている。清朝の官服ではなく、体に密着したバイオフィードバックスーツを着用し、関節部分には発光するマーカーが点滅していた。


 ポッドは薄暗い治療室に設置されており、上部のモニターには心電図と脳波が鮮明に映し出されていた。


 治療室の外にあるコントロールルームでは、AI医師の阿炎が通信装置を通じて指示を仰いでいた。「臨床サイド準備完了。免疫細胞活性化プロトコルの選択と、肝臓クレンジングのナビゲーション権限設定をお願いします。」


 奥のコンソールでは、赤い作業服を着た技術者がタッチパネルを操作している。「了解」。その背中には通信デバイスが装着されていた。神壇を模した簡素なコントロールパネルの前で、技術者は流れるような手つきでタッチスクリーンを操作しながら呟く:

「CSCCS細胞起乩作戦システム、起動!」

 小型モニターに確認メッセージが表示される。

「『追跡者』夢芝居、ロード完了!」

 さらに三つの中型ボタンを押す。

「樹状細胞モジュールをロード...」

 レバーを上げると、ディスプレイに「Ready to launch」の文字。


 技術者は一歩下がり、右手を首の後ろに回して背中のロッドを引き抜く。胸の前で構え、左手親指で基部を押すと、目の前に神主牌のような水晶スクリーンが現れ、ロッドからは緑色のレーザー光が噴き出した――まるで光の剣のようだ。


 その正体は炎院長だった。彼女は右手で光剣を優雅に振りながら詠唱する:


「天靈靈,地靈靈,雷光一閃破邪靈!」

「導細胞,逆運命,浩氣長存護生靈!」

 光剣の刃先で水晶スクリーンに垂直に符咒を描く。

『勅令 ◎ 邪霊破』


 最後に左手の剣指で額を触れ、再び剣の基部を押すと、光芒は一瞬で赤く変色。その刃を符咒の中央◎に突き刺す。「開壇!ライブ開始!」の叫びと共に、赤い光が回路のような紋様となって放射されていく。


 起乩ポッドの底部からも同じ赤い紋様が湧き上がり、カプセル全体を包み込んだ。コントロールルームのメインスクリーンでは、複雑なコマンド表示がデジタルな流血エフェクトに変わり、赤が画面を徐々に染めていった。


次回に続く《勇士集結》

勇者たちが次々と現れる。もはや、金土に退路はない――

次回から新章【上陣】です!

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