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第11章:虐殺

混沌とした虚無の世界で、ヘクターは闇の中を歩いていた。


彼のそばには、レベル6の神であり、かつてオリバーの同級生だったジェームズがいた。


二人は歩きながら、気軽に会話を交わしていた。


「ちくしょう、アレックスが言ってたあの深淵、どれだけ遠いんだよ?


あいつ、シュルト様についてからいいことばっかりだろ。


俺たちはこんな斥候や探索の雑務ばっかり押し付けられてさ!」


「へっ、そんなに文句言うなよ。


アレックスと組んでシュルト様の仲間になってから、俺たちの力、めっちゃ上がってんじゃん?


俺、すでにレベル7だぜ。お前もレベル6だろ? すげえ気分じゃん?」


「まあな、でもさ、いい目見てるのはやっぱりアレックスだよ。


あいつ、すでにレベル8だぜ。


噂じゃ、あの伝説の木を見つけたら、シュルト様が宝物までくれるって話だろ。」


ヘクターとジェームズは熱い議論に夢中だった。


二人はまったく気づいていなかったが、巨大な暗い影がひそかに後をつけていた。


それはオリバーだった。


彼の巨大な蛇の体は、ステルススキルで完全に隠され、混沌の中に溶け込んでいた。


二人のわずかな気配すら感じ取らせず、静かに尾行していたのだ!


その瞬間、二人が話題にした「伝説の木」が、オリバーの好奇心を刺激した。


伝説の木、だと?


この混沌の世界では、多くの神々が動物の姿を持っていた。


だが、これまでオリバーは植物の神を見たことがなかった。


その木とは一体何だ?


シュルトのような強力な神でさえ、その木を必死に探している。


きっとその木には大きな目的があるに違いない。


その果実か、あるいは何か別のものが、ものすごい価値を持っているのだろう。


オリバーは、伝説の「世界樹」のことまで考えていた。


それもまた、混沌の中で生まれた偉大な神だった。


後にアイテールが世界を創造した際、宇宙や無数の銀河を支えるために使われたのだ。


「でもさ、その木は俺たちには関係ねえよ。


まずはあの深淵を見つけないと。それと、オリバーってあの負け犬もな。」


ヘクターは頭の角をこすりながら、突然オリバーの名前を口にした。


その言葉に、オリバーの心臓が一瞬高鳴った。


何年も経った今でも、こいつらはまだ俺を探してるのか?


「なんでアレックスはあのゴミみたいなやつを執拗に探してるんだ?


しかも、シュルト様に知られちゃいけないって、なんでそんなこと言うんだ?」


ジェームズは疑問を抑えきれず、困惑した表情で尋ねた。


彼の目には、オリバーは完全な落ちこぼれだった。


小さな蛇に変身したやつだ。


こんな混沌の世界じゃ、とうの昔に死んでるはずだ。


だって、この混沌はめっちゃ危険だろ。


ここには知能が低くても、めっちゃ早く成長する原生モンスターがうじゃうじゃいる。


中には群れで行動するモンスターもいて、俺たちでさえ遭遇したらヤバいのに。


ましてや、オリバーみたいな弱いやつが、一人で生き残れるわけねえだろ。


たぶん、誰かに食われちまったんだ。


オリバーが変身した神の体、めっちゃ小さいんだから。


そんなやつの力なんて、たかが知れてる。


それに比べてアレックスは、巨大なドラゴンに変身したんだぜ。


そのアドバンテージで、めっちゃ早く成長した。


昔の仲間を集めて、自分の派閥まで作ったんだ。


で、今じゃ?


シュルトみたいな強力な神に忠誠を誓って、未来はもう無限大だ。


ほとんど神話の歴史に名を刻む存在だろ。


未来の人間は、俺たちを崇めるかもしれないぜ。


「ハハハ、俺たちの最大の後悔は、あの負け犬を昔、ひと飲みしなかったことだな。


でも、アレックスがオリバーを探してる理由は、


あいつが宝物を見つける宝物を持ってるからだ。


で、スタークの姿がその宝物に映ったんだよ。」


「それってどういう意味だよ?」


「分かんねえのか? あいつ、宝物を隠してるんだよ。


アレックスが言ってたけど、オリバーが変身した神は弱いけど、


初期アイテムでレアなやつ、少なくともSランクのアイテムを手に入れた可能性があるんだ。


そいつを見つけて、殺して、その宝物を奪えば、俺たち、完璧だろ。」


「その負け犬が、Sランクのアイテム持ってるって…?」


「その通り。俺なんて、Bランクのアイテムしか持ってねえよ。


オリバーみたいな弱いやつが、そんなすごいもの持ってる資格ねえだろ。


絶対見つけて、殺して、奪わねえと!」


「なるほど…アレックスのアイテム、めっちゃ便利だな。


他のやつのアイテムまで分かるのかよ?」


「それもSランクのアイテムだ。


でも、具体的に何なのか、アレックスは絶対教えてくれねえ。


いつも秘密主義なんだよ、あいつ。」


「ふん、めっちゃ運いいよな、あいつ。


変身した神もめっちゃ強いし、Sランクのアイテムまで持ってるなんて。」


「どんなに強くても、結局シュルト様に忠誠を誓ってるけどな。」


「でも、シュルト様が普通の神より強い理由って、


混沌の中で生まれた時に、SSランクの宝物、『太陽神の剣』を手に入れたからだって聞いたぜ…。


もし俺たちがSランクのアイテム持ってたら、どれだけ強くなれるんだ?


オリバーみたいな弱いやつが、そんなレベルのもの持ってる資格ねえよ!」


二人はオリバーを完全に見下して、ずっと「負け犬」と呼び続けた。


その話を聞いているうちに、オリバーの心には燃えるような怒りが湧き上がった。


それは高校時代を思い出させた。そう、昔もこいつらはこうだった。


口が悪くて、どこでもケンカを売って、他人をいじめてた。


今、この別の世界でも、そいつらは何も変わっちゃいねえ。


「いいぜ。俺を殺そうって? じゃあ、俺が先にやるのも恨むなよ。」


そう考えたオリバーは、すぐには無謀に行動しなかった。


彼は隠れたまま、静かに二人を尾行し、彼らの力を観察した。


オリバーのシステムパネルで、すでに二人のステータスが自分よりはるかに劣っていることは確認済みだった。


正直、差はめっちゃ大きい。


こいつらを殺すなんて、朝メシ前だ。


でも、オリバーが警戒していたのは、


二人に何か隠されたアイテムや裏技があるかもしれないってことだった。


だから、慎重に、もっと観察する必要があった。


混沌の世界は安全な場所じゃない。


案の定、すぐに二人は野生の神々に襲われた。


三回の戦いを観察した後、オリバーはようやく確信した。


こいつらに、特別に強力なスキルやアイテムはない。


その確信が、オリバーを大きく安心させた。


彼は静かに速度を上げ、巨大な体を雷のように動かし、


素早く二人に近づいた。


混沌の世界は不気味な静けさに包まれていた。


あまりにも恐ろしい静けさだった。


オリバーは突然、ジェームズの背後に現れた。


彼の獰猛な口が大きく開き、鋭い毒の牙がジェームズの頭を狙って、


ガリッと噛み砕いた!


レベル6の神であるジェームズの体は、オリバーに比べればずっと小さかった。


オリバーの牙だけで、ジェームズの頭とほぼ同じ大きさだった。


その一噛みは、キャンディーを噛み砕くようなものだった。


ガリッ!


くぐもった音が響いた。


ジェームズの体は一瞬で粉々に砕けた。


強烈な毒の腐食効果が即座に働き、彼の残骸を溶かし、


純粋な混沌のエネルギーの流れに変えて、オリバーの口に吸い込まれた!


こいつは、アレックスと一緒にオリバーを辱めたやつだった。


なのに、今、殺すのはこんなに簡単だった!


驚くことでもない。オリバーは今、レベル9の神だ。


ステータスパネルだけで、レベル6のジェームズを何倍も上回ってる。


それに、オリバーの持つ驚異的なスキルやアイテムの数々もある。


混沌の空気には、死の匂いが濃く漂っていた。


ヘクターは体が硬直し、圧倒的な寒気が全身を襲った。


彼の牛のような姿が振り返り、オリバーをまじまじと見つめた!


その時、ようやく彼は衝撃から我に返り、信じられないという表情でオリバーを見た。


「て、てめえ…まだ生きてやがったのか、スターク、てめえ…」


「そうだ、俺はまだ生きてるぜ。


さっき、俺をどこでも探してたって言ってたよな?


ほら、こうしてここにいるぜ!」


オリバーの巨大な蛇の目は冷たく輝き、縦の瞳孔がヘクターをしっかりとらえた。


彼の巨大な蛇の口がわずかに開き、原始のルーンで形成された音節を吐き出した。


ヘクターの頭は恐怖で真っ白になり、一歩後ずさった。


その目には恐れが満ちていた!


彼には理解できなかった。


かつて自分たちが面白半分でいじめ、殴っていたあの役立たずのガキが、


どうしてこんなに強くなり、こんなに恐ろしい存在になったんだ?


だって、オリバーの今の大きさは、普通の神をはるかに超えていた。


ヘクターの牛の神の姿は、神の中でも決して小さくなかった。


だが、今、彼の全身はオリバーの蛇の頭とほぼ同じ大きさにすぎなかった。


もしヘクターの体を人間の大きさに例えるなら、


オリバーはまるでビルディングのサイズだった!


なんて恐ろしいサイズの差だ!


戦う必要すらない。


オリバーがそこに立っているだけで、ヘクターは本能的な、圧倒的な恐怖に襲われた!

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