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書けるだけ書いてやる
おれが本格的に
詩を書き始めたのは
中学生の頃だった
書いているうちに
アイデアが
枯渇するのではないかと
心配したこともあったが
どうやらそれは
杞憂に過ぎなかった
おれはまるで
地面から湧き出る
泉のように
書いても書いても
次から次に
新しいアイデアが
湧いて出てきて
留まることを
知らなかった
おれはその途中で
何度も何度も
カネになる訳でもない
詩を書いて
何の意味が
あるのか
疑問に思い
筆を折ることを
真剣に考えた
それでも何とか
続けることが
出来て
事実おれは
詩人になった
実際に
詩を書いて
得することは
あっても
損したことは
ほとんど無かった
あったとすれば
人から
笑われたり
したことだけだ
おれはそれでも
他人の嘲笑や
あざけりをよそに
マシンガンの如く
言葉を武器にして
敵に向かって
言葉を乱射した
やり方としては
それで間違っては
いなかった
おれはとにかく
書いて、書いて、書いて
書きまくった
まるで
執念深い
鬼のように




