45/302
災難
おれは想い出の中で
生きている
他の人たちからは
おれは特別な
存在だと
思われている
でも
おれはまるで
めくらで
何にも見えない
すべては
夢のように
見えていた
あの出来事は
ただの夢で
おれは夢の中で
生きていたの
だろうか
あの女たちは
どこかに
消えてしまった
おれは再び
一人ぼっちに
逆戻りだ
おれはもともと
孤独な男だったが
もっと社交的に
なっていれば
あの女とも
付き合いやすかったのかも
おれはまだ
信じられない
おれもあの女も
普通じゃない
だから
普通の付き合いも
出来なかった
おれは分かっていたが
それでも
辛かった
胸がズキズキ痛んで
しょうがない
忘れたくても
忘れられなかった
悪い想い出も
良い夢も
すべては
闇の中へと
溶け出した
まるで雪のように
まるで氷のように




