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浮遊

作者: 鉄 竜太

「やーい金無し」

僕を見上げるその子どもはバカな笑みを浮かべて叫んだ。

僕の家は宙に浮いている。巨大な電磁石の力でバランスよく浮遊しているのだ。問題は電気代である。

「払わないと落ちて死ぬんだよ!」

僕はその子どもに叫び返した。

そう。働いた給料のほとんどがこの浮遊装置の電気代で飛び、自分で使うお金なんて残っていない。

全てこの女性のため。この家で静かに眠っているこの女性が、安らかに天国に行くためだ。

全てあなたのために。


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