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世界はギフトで出来ている!

前に書いていた「収納力ゼロ、僕の空間収納で物は収納できません。」の改訂版です。

 教会からの帰り道。


 人々が行き交う石畳の道をとぼとぼと歩いて帰る。もう春も終わりだというのに吹く風が寒く感じられた。


”世界はギフトで出来ている。”


 何処かの偉い人がそう言ったらしい。その偉い人が言う通り、世の中の人はギフトを最低1つ持っている。多い人で2つ、最大で3つ。


 僕の名前は二コラ。


当然、僕にもギフトが一つだけある。手に持った白木の記録票にギフト名”空間収納”と書かれている。


 この国では、十歳になるとギフト授与の洗礼を受ける。洗礼が無くてもギフトは授与されるのだけど、そこは宗教的な何かの為らしい。


 ギフトが授与されると鑑定の魔道具を使い牧師様がギフトの名前と効果を鑑定する。鑑定の魔道具が鑑定結果を記録票にすぐさま記入してくれるのだ。


 ギフトを記入した記録票は三部作られ、“ギフト管理記録室”、“王都の役所”、“本人”に渡される。

 管理記録室と役所は膨大な資料になるので紙の記録票。本人には丈夫な白木の板に書かれた記録票が手渡される。

 白木の記録票の大きさは手のひらぐらい、横に少し長い長方形だ。首から吊るせる様にひもを通す穴が板の左側に空いている。


 僕はその穴にひもを通し首からぶら下げていた。貰った白木の記録票には“ギフト名:空間収納”と書かれている。


「はぁ~。」


 その記録票を見て長い溜息を洩らした。




 僕は農家の三男の生まれだ。生まれた場所は王都ではなく、王都から馬車で三日かかるクレブス村にある。


 家にはデン兄さんとカルス兄さんと言う二人の兄がいる。耕作地は一家五人が食べてゆくには少し余裕があった。二人の兄が耕作地を分けた場合はギリギリ何とか生活できる。

 だから、三男である僕に耕作地はまわってこない。三等分すれば暮らしを維持できなくなるからだ。新たに土地を開拓できればいいのだが、周りに開拓できそうな土地はなかった。


 そんな理由で、僕は商人のアルバートさんの下で徒弟になった。

 アルバートさんは王都でも指折りの商人で主に農産物を取り扱っている。僕の家の麦の卸先がアルバートさんの商店だった縁故だ。


 アルバートさんは僕の他にも付近の町や村から僕の様な子供たちを集め教育を行っていた。どの商人も有用なギフトを持つ者を集め、教育を施すことは大なり小なりやっている。有用なギフトを持つ子供に支度金を出し抱え込む。特に収納のギフト持ちは引く手あまただ。


 アルバートさんが他の商人と異なるのは、ギフトが判る前の段階から教育を施している事だ。ギフトの授与前に抱え込んだ場合は支度金は必要なくなる。


 授与されるギフトには当たり外れが存在する。(あくまで商人にとってであるが)当りのギフトが授与される可能性を上げるためには多くの人数を抱え込む必要があった。

 だけど、アルバートさんが抱え込む人数は他の商人に比べて多いわけではない。


“どんなに良いギフトを持っていても、心根が悪かったり、身体が弱かったりする者は商人には向かない”


(と、アルバートさんは言っていたけど、さすがにこのギフトは……。)


 僕が貰った白木の記録票には


“ギフト名:空間収納”


 と書かれ、その下に


“収納力:0”


 と書かれていた。


「はぁ~。」


 その記録票を見てこの日何度目かになる長い溜息を洩らした。

改訂が出来上がり次第、投稿する予定です。

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