未練にタイムスリップ
朝起きた時俺は小学生になっていた。
「どう見ても小学生の時の俺だ」
鏡を見ながら自分の顔をペタペタ触る。
昔に親父が毎朝読んでた新聞を見る。
2010年10月12日...
俺はこの日をはっきりと覚えていた。
彼女が転校する日だ。
彼女というのは俺が昔好きだった人だった。
「これはもしかして...」
俺は急いで小学校に向かう。
俺のクラスではささやかな送別会が行われていた。
帰りのHRにみんなが一言ずつ別れの挨拶をするというものだった。
そして俺の番が回ってきた。
「あの、俺...」
なぜか分からないが言葉につまる。
「どうしたの?」
「いや、なんでもない、元気でな...」
帰り道俺は1人で河原の原っぱに寝転がった。
「これじゃあ前となんも変わらないなぁ...ん?」
そして俺は気づく、俺は10月21日をはっきりと覚えていた。あの時の彼女は「なに?」と言ったはずだ。
それに気がついた俺は急いで彼女の家へと向かう。
息を切らしながら走るとそこには彼女がいた。
「君もタイムスリップしていたんだね」
彼女は少し悲しそうな顔をしながら頷く。
「俺は君の事が好きだった。それは今でも変わらない」
彼女は泣き崩れていた。喜びというより悲壮している感じだった。
「ありがとう、でも貴方の返事に答えることはできない」
「どうして」
「私、今、病気なの、命に関わる重大な...手術が終わったと思って目が覚めたら小学生の私になっていた。きっと私は...」
「そんな...」
「でも、最後に貴方に会えてよかった、私も大好きだったよ...」
「待って!!」
そのまま目の前が真っ白になっていく。
そこから彼女の事を調べたが亡くなっていた。
亡くなる少し前に彼女は笑っていたらしい。
俺は彼女の墓に花を添えて手を合わせる。
「俺も君に伝えれてよかった...」