いい風に繕うナマクラな主夫
私の夫はすぐ隠す。
良くないものは隠して、見映えだけをよくする。
スーパーの惣菜を皿に移す。
そして自分で作ったかのように見せる。
人間型掃除ロボットをレンタルして隠し持っている。
それで自分で掃除したかのように見せる。
入れるだけで洗濯・乾燥・畳みまで済む機械も隠し部屋に隠し持っている。
買い物はAIが勝手に全部やってくれる。
AIがいい主夫に見せるやり方も全部指示してくれている。
それが主夫の私の夫。
私は全部知ってる。
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「ただいま」
妻が会社から帰ってきた。
「お帰りなさい」
妻には最高の料理を用意した。
「プロの人が作ったみたいな惣菜ね」
「そうだろ」
「キッチンが全く汚れてなくてすごいわね」
「そうだろ」
「機械的っていうかホコリがなくて完璧ね」
「そうだろ」
「洗濯物がお店に並んでるみたいに綺麗に畳んであって気持ちいいわ」
「そうだろ」
「買ってくれたの?ちょうど無くなるところだったから、ありがとう」
「うん。あ、当たり前じゃないか」