魔導女帝
「ほら、遣らかした。」
とミィーナが呆れたように呟く。
「何がほらだ。というか何だよ金亥って。」
俺が怒りながら謎の名前にツッコム。がその返答は俺を驚愕させた。・・・2重の意味で
「金亥はα・β両テストでありとあらゆる草原・森型のフィールドに登場しましたがただ一回も討伐に成功した事が無く大手クランでは1番目の討伐を掲げる所もありましたから。プロゲーマークランのパーティーに新人候補が入ってエンカウントして勝ちましたじゃあ納得がねぇ~。」
「はぁ。でも悪いが倒せなかった奴らが悪いんだ。現にLV.1の4人で倒せている以上文句は言わせん。」
これは至って普通の話だ。横殴りのような相手がある程度削っていたり攻略情報を与えているのなら兎も角俺の魔法剣講座の殴られ役にしか過ぎんのだから弱い奴らが悪い。
「と言っても銃は効かない。魔法耐性も高い上に速いからいろいろと疑われるのは確かですけど。」
「槌は如何なんだ?俺がアイツに与えたダメージのほとんどは叩き落とす面での圧力攻撃だ。決して斬切でも刺突でも無い。其処に気付かないと倒せないだろうな。」
というよりも足の肉付きとかで分かるんじゃないか?
「エアハンマーとかあれば違うんだろうな。」
もしくはダウンバースト。アレは自然現象だから向こうで一般的に知られている魔法ではないし複合属性の魔法だからそう簡単には扱えない。が別の反応が出た。
「それは魔導女帝の十八番ですよ。オリジナル魔法の」
なんかすげー二つ名だな魔導女帝って。王でなく帝とは何らかの畏怖を感じるのだが・・・というよりも心当たりがある。
「ダウンバーストとかもあったり」
「・・・何故そう思うのですか?」
と聞かれると困るが
「何となくだ。まぁ名前に桜絡みなら俺の予想は的中する。」
多分だがエア・ダヴン・バーストを使っていない辺り確実にアイツしか候補が思い浮ばないし女帝はともかく魔導を二つ名に授かりそうな人間に心当たりがある。なので発破を掛けてみる。違うと良いのだが・・・まぁ最悪例のクランに該当しなければ良いだけで魔法狂のあいつがそこまで特定モンスターに拘るとは思わんし。
と何故か顔を見合わせる3人。・・・マジで?
「チェルンと言う名のプレイヤーなんですよその人。」
考える気が無いな魔術の勇者そして魔導皇 霧宮さくら。