万物の勇者VS剣の勇者5
俺の全てを注ぎ込んだ一撃必殺の攻撃を受けた一也は倒れ伏す。
「俺の勝ちか?ラーア」
「うっ!」
急速に減り行くHPバーを尻目に霊装や擬似エクスカリバーを解除して聖気を循環させ少しづつHPを回復させる。神剣や聖魔剣を握る彼の力は弱々しい。そしてHPバーが赤く染まる。残り3割。
2割。
1割。
5分。
4分。
3分。ここで何故かHPの減少が止まる。
「逆らう心 反逆の意志 逆境 勇者補正 主人公補正 限界突破」
矢継ぎ早に唱えられる数々のスキル。安全マージンを取ることを前提とした俺とは違いどんな場面でも負けない強さを誇る一也はそれらのスキルを極めている。がアレはその程度では防げないはず。撃った俺でさえもその余波で動くことすらままならないというのに。
「ぐっ、まだ減り続けるか。でもお前も限界だろ?戦闘が終わってないのに霊装や擬似エクスカリバーを解除するということは」
「バレてやがるか。口と眼は動くがそれ以外がかなりキツイのが確かだが」
それだけで十分だ。
「邪滅聖砲」
「!」
眼を見開く一也は白き大剣を召喚する。
手に取られなかったそれは深々と地面に突き刺さる。そして完成した聖気による砲撃が放たれる。
「ナヘマー」
その言葉により大剣が黒く染まり聖気を吸収して魔力に変換する。まさかあの剣はグラム?となると不味い。
「限界突破 有効化 悪魔王 練金神」
その瞬間に魔力が超回復する。生命力を限界まで燃やし尽くし力に変える。なんとか足りた。
「来い グラン ミミローア」
一対の剣が舞い降りる。グロウを鞘に仕舞いその剱を抜く。本来なら存在するはずのないその組み合わせ。常時回復のミミローアと切った対象の力を吸収するグラン。
「へぇ〜なら変転」
「!」
変転は発動に条件がいる魔法。世界への反逆の意志を必要とする。魔王はその存在から。俺は神殺しという行為から。ただ目の前の男は何で示しているのかが分からない。ただその行為が神々への世界への反逆と認めれているという事のみが確かだ。
これにより互いのHPは3割。
ここから先は誰にも分からない。俺がしたあの行為に効果があるかが分からないがあの時の続きだ。互いに死力を尽くしあい殺し合いをしたあの時の続きを。互いに使える能力は出し尽くした。
「さあ、始めようか?」
俺の問いかけに一也はこう応じた。
「剣神と創造神の神話戦争を」
そしてグランをミミローアをグラムとぶつけた。




