彼の逆鱗
「アイ・・・さくらは明日自由か?」
「多分」
「なら生徒会室にいるように頼んでおいてくれ。今日は先に落ちる。 ログアウト」
意識が本来の肉体に戻る感覚がして目が覚める。
「大精霊・妖精よ 婚姻の祝福を編め」
その言葉に対応して6体の大精霊と大地を司る妖精がウェディングドレスを編み始める。
「マジか・・・」
本来このドレスは精霊王が妖精女王にあっていないと作られることがない。つまり俺はすでにこのドレスの主にあっていることになる。となるとあの娘か。
「はぁ・・・関係ない人は巻き込みたくないけど加護を与えることで彼女を守るしかないか」
俺はどの世界にいても同じような道を辿っている気がするがそれはそれで強くてニューゲームで楽しいが。
「取り敢えず髪留めや腕輪にあとは・・・何だ?」
さくらや美波相手なら遠慮なく下着にすらエンチャントを施すんだがな・・・。あ
「ミサンガならありか。それに腕時計」
いや腕輪とかぶるな・・・でも時計なら割と色々なことができるし最終的にはネックレス型のアミュレットに地の妖精女王の証が強制装備になる。それに精霊王の結晶とオリハルコンの指輪。要は精霊王と妖精女王の婚約指輪。ちなみになぜ妖精女王を娶る前提で話を進めているか?というと俺の前任者?がかつて地球やグルカルトを統合してあった世界で7人居た妖精女王を全員娶ったあと変な規則を創ったせいだ。なのでグルカルトにもすでに婚約者がいる。ちなみにグルカルトは水。水の惑星と呼ばれている地球が地で6割5分を地上が占めるグルカルトが水とはコレはいかに。
「考えても仕方ないか・・・エンチャント完了。そういえば」
インベントリから一つの銃を取り出す。
水蓮銃 アオイ・カナデ
水精霊が宿った魔銃。そこに万物の勇者である相対の魔王が全力を込めているので水関係の魔弾と魔法・魔術に魔力弾も撃てる戦術兵器。また精霊が宿っているので契約武器でもある。
全体的に青みがあり落ち着いているがその実は中距離弾道ミサイルさえも落とす凶悪兵器。そしてその対が炎葉銃 アカイ・カナデ。どちらも全体的にコンパクトだ。まあたった一つに特化させたのでそうなることは予測していたのだが。
「いくら考えても仕方ないし・・・今日はもう寝るか」
よく覚えていないことは放置だ。
翌朝。
いつも通りに美波を起こして朝食を取り道の駅に食材を卸し学校へ向かう。
「はぁ教師でもないのに何でこうも学校に」
「あれ兄さん今日も?」
俺の浮かれない顔を見ながら皆が尋ねてくる。
「あぁ。少し厄介ごとがな」
本当に酷い厄介ごとだぜ。何で関係もない女性を巻き込むのは嫌なんだけど何かされる前に手をつけておくのが一番良いのだろうが。
「じゃあ行って来ます」
「おう、行って来い」
満面の笑みを浮かべて手をブンブンに振る美波に苦笑を浮かべながら先日訪ねた方向に向かうと既にアイ・・・ではなく愛子がいた。
「おはよう」
「おはようございます、亮哉さん」
こちらも満面の笑みを浮かべた愛子がいた。心なしか目は笑っていないが。
「悪いな。ちょっと看過できないことになってしまっているからな」
「それはひょっとして昨日の?」
「ああ。ウェディング・フェアリーは精霊王のみが編める妖精女王専用の服なんだよ。そしてこの世界では俺はその人物を見ていないはずだがいつの間にか見ていたらしい。見ていないと編めないからな服なんて」
AWOで見ていたら笑えない話だがそれはない。多分、生徒会室で見た彼女がそうなのであろう。
「ひょっとして遠藤先輩?」
「いや通じなから俺には」
ごく稀に抜けているところがあるよな愛子って。それを除けば完璧な令嬢だけど。
「私も少し変な力を感じたんですよ。たまに亮哉さんからも似たような物を感じたことがありますけど」
「霊力かな。あれはかなり特殊だし」
「特殊?」
「精霊王もしくは妖精女王とその眷属以外は処方できないししたとしても魔力や聖気ほど大幅な上方は見込めないし直径5cmの弾丸を打ち込んだら一気に消費する。威力は折り紙付きだけど」
俺の保有する霊力だと国一つ滅ぼせます。A国基準で。ちなみにグルカルトに残して来た妖精女王は大陸一つを相手にします。
「私だと流石に難しいかな?」
「いや愛子は風と水の精霊に好かれているからマナを使えば何とかなるんじゃない?」
流転の特性を得た瞬間からそうなることは確定だ。ちなみに灼爆だと炎と地。怖いね。
「聞きたくなかったかも。っと着きましたね。会長ならこの時間帯は雑務のため仕事をしているかと」
「だろうな。真面目だし経理関係能力はかなり高かったしな」
懐かしいぜグルカルトで勇者として活動していた頃が。資金不足になったらダマスカスを錬成して金銀銅を錬金して売りさばいたのがさくら。ちなみに製造は俺。万物模倣最強だよ。
ノックをするとさくらの入室を促す声がする。
「つい最近も来たよね亮哉?」
「悪いがそんな悠長な話題じゃない。これを見てくれ」
そう言いインベントリからウェディング・フェアリーを取り出す。全体的に白いが所々に黄土色の線が入っている。そして胸元にはトパーズの宝石がかなり大きいのがある。といか前々から思っていてけどこのドレスってスリットも結構大きくあるし露出もそれなりにある。
「!!もしかして結菜?」
「だから誰?」
俺はこの高校の生徒じゃないし。個人名あげるのを
「会長呼びましたか?」
あれ?奥の方から声がする。随分と可愛らしい声だ。
「結菜今大丈夫?」
「ええ。先ほどから桜井さんと男性の声が聞こえますけど来客ですか?」
「貴女ご指名のね。お茶は・・・大丈夫だからこっちに来て」
すると俺にお茶を出せという視線を向けて来たので素早く人数分のお茶セットを取り出す。こっちが用事があるとはいえ人使いが少し雑だな。
ほどなくして女性として少し短めの茶髪で黄土色の瞳をした美少女が入って来た。その娘に精霊王の瞳を当てるとほぼ間違いない感触が返って来た。
「さくら、この子が?」
「えぇ。今になると間違えようがないわね」
何より彼女の瞳がそれを物語っている。
「亮哉さんもしかして・・・」
愛子が恐る恐る聞いてくる。
「ああ件の妖精女王さまだな。遠藤結菜さん」
その目の輝きは完全に妖精としての能力を物語っていた。
目の前にいるなぜかピンクのフリルがついたエプロンを着た宝石を思わすような瞳には霊力の輝きが見られる美少女。全体的にすらっとしているが出るところ出ている。
「初めまして自分はここの出資者の一人で他にも色々なことをしています。片倉亮哉です」
間違ってはいない。出資者であることは確かだしここの食堂にもかなりの量の食材を卸しているし専修科のいくつかでは材料も卸している。それに校長室や貴賓室にある備品のいくつか俺の作品だし。
「えぇっと私は多分そこの二人が口を滑らせ通りに生徒会書記の遠藤結菜です。本日はどのようなご用件で?」
「・・・」
「・・・」
女性陣二人の冷たい目が刺さる。ヤメてくれ。俺も如何かとは思っているんだ。とその時
サイレンが鳴り響く。
「これは?」
「侵入者ね。二人は奥の部屋に避難を。亮哉殺すわよ」
そういうと制服の胸ポケットから小型拳銃を取り出す。それに倣い腰にさしていた拳銃を取り出し二人に投げる。
「自衛用だ。さくらが言ったから大丈夫だろうが」
左太もものホルスターから魔銃と短剣を取り出す。
「掃討戦ね。こっちの校舎は私がするから向こうを」
「了解」
その言葉を聞いた瞬間に俺は生徒会室を出てグルカルトで鍛えたトップスピードまで出力する。マシンガンなどで武装したゲスどもが目に入るがその瞬間に短剣で斬り殺していた。
「聞きそびれたんだけど彼は私にどんな用事があったの?」
生徒会室にあるさくら先輩の秘密の研究室兼仮眠場。生活に必要なものが割と揃っており2年くらいなら籠城できるらしい。その場所で遠藤先輩は亮哉さんの用事を聞いてきた。
「・・・」
私は迷った。なにせ話が話だ。
「その感じは・・・」
「先輩は自分の体の異常性について考えたことがありますか?」
話をややこしくしないためにもこうするのが一番だ。
「!!さくらにも言われたけど何で?」
「あの方は私のクラスの片倉美波の義兄で今は隠されていますが私の婚約者でもあります。そしてさくら先輩同様に神隠しの子です」
神隠しの子の真の意味を知る者は少ない。更に言えば処方ができるさくら先輩に亮哉さんはそう多くの人に話してないらしい。そしてさくら先輩は遠藤先輩の違和感に気づいた際に打ち明けたらしい。
「えっ!?じゃ何ですでにここの出資者?」
「農業・鉱産業・細工でかなりの額を稼いでいるらしいですよ。ここの食堂の材料は全て亮哉さんが卸しているそうです。それにかの灼爆戦争を覚えていますか?」
「ええっと確か太平中華が軍事行為を仕掛けていたのを謎の存在が一瞬で灰塵に帰し2億人が亡くなった謎の事件でしたよね?それが原因で太平中華は恐ろしい額の借金を抱え込んだとか」
「それがただの報復ですよ。彼一人による。被害の額の5割は未だ未払いの賠償金ですから」
それも毎年のように法外的な価格をふっかけているらしいし税金制度も大幅に変更させているらしい。戦争させる気はないので軍に使える予算を絞らせて教育や医療分野に回しているらしいが。
「さすがにそれは嘘では?」
「いえ魔導女帝に銃皇そして私たちに自由騎士で勝てませんでしたから」
というか勝負ですら無かったような・・・万無の境界で魔力・マナの扱いを完全封殺されたので手も足も出なかった。
「そもそも私たちは全力を出せていません。さくら先輩と銃皇で9割ほどだと。でそこからβテストの成績と同じように下がります。そして100位以下は4割を下回っているそうです。この辺は関係ないので省きますがどうも先輩は妖精女王という存在らしくて・・・そして古い規則で亮哉さんが精霊王になって初めて知ったらしんですけど」
というかむしろうんざりしていたね。
「世界のルールの一つに精霊王と妖精女王の婚約があるらしくてそれを指摘されたのでさくら先発に相談に来たら当の本人が居たのですが腐れ外道が邪魔をしたので本部が崩壊しているでしょうね」
「えっ!?・・・」
確かに急に言われると驚くはずだけど・・・顔を赤く染め始めた・・・えっ?
「去年、美波ちゃんと一緒にいるの見ていいなぁ〜って私って姉妹はいるけど兄は居ないからあんな感じなのかな〜って」
なるほど。確かに亮哉さんは美波の兄だけどどちらかというといとことして美波を見ているような気がする。
「ところで・・・このドレスってなに?」
「さぁ?」
渡り廊下や屋上にも何人かテロリストはいたが全て魔法で殺した。そして一階から順に殲滅する。大体40秒以内に掃討が完了するので侵入者の警報がなってから3分で3階まで掃除が完了した。
4階を上った瞬間に俺はそれを感じた。美波と雫だ。そしてテロリストも居る。ほう殺す。
デニュニルを召喚して龍の咆哮を廊下に駆け抜けさせる。そしてデニュニルを仕舞い銃を取り出す。そしてドアを開ける。
するとテロリストは四人いた。
「一応言おう。全員武器を捨てて手を上げろ」
冷淡にそう告げる。ひっそりと万無の境界を使い火薬の推進力を0にする。
「ガキが何を」
最後まで言葉を紡がせずに近寄り殴り気絶させる。
「あんたらのお仲間はほぼ全員殺した。抵抗は無意味だと告げる」
銃口を突きつけながら滲みよる。
「へぇ〜何を根拠に?」
「俺が信頼しているから。アイツはこういうのが得意だしな」
チャラチャラしているこの間抜けも殴り気絶させる。
「それに人の家族に手を出そうとしたんだ?今度こそ滅ぼす」
瞬動を使い二人とも気絶させる。
読み取り。
連中の一人に手をかざし脳内を読み取る。過去を再生して行き起きた物事を読み取る。ほう。美波やさくらに愛子だけでなく遠藤さんや雫など俺の身内やその関係者に手を出すか。
「確定だ。皆殺しだ」
俺の周りだけでも許すわけないが関係ない民間人にも被害が及ぶとなれば手段を選ぶわけがない。ダンジョンモンスターや精霊を総動員する。隠蔽工作もいらない。灼爆の新年なんて児戯というレベルだ。周辺諸国もついでに壊滅状態にしよう。
「ウェイクアップ アイリ」
教室を出てスマホに似た・・・スマホを魔改造した端末を取り出す。
『パパ?如何したんですかそんな怖そうな顔をして?』
愛娘の心配そうな声を聞き心を少し落ち着かせる。
「・・・上の用意を。炎3地5氷2雷7光1闇2」
その言葉にアイリは驚きの表情を見せる。
「標的 中華國 全マーカー敵対」
俺の体からごっそりと魔力が抜けていく。
『充身完了 いつでもいけます』
珍しくアイリが淡々と告げる。まあ人として大きく逸れることを嫌っているのは知っているが平穏のためなら戦乱を起こすという考え方を変えるつもりはない。
「発動 原子汚染弾」
神殺しの切り札原子干渉最上位原子汚染の弾幕を精霊の退去および死霊や障鬼やオーク・ゴブリン・サキュバス・インキュバスの地獄艦隊を送り込む。前者はただ地獄を再現し暗黒による支配を行い後者はただ犯すためだけの性欲特化の部隊。というかこの部隊は既に地球の総人口である75億の半分近くいる。それがそれぞれ俺の力で準勇者クラスまでに引き上げられている。
「蹂躙しろ」
全員を家へと帰し・・・さくらは生徒会室の奥にある転移門で帰ったのだが。
数時間後
「3億ちょいか・・・」
内2億が原始汚染弾で死亡。残りの1億の内5000万が俺の配下の慰み者。そして残りが生きて自分の国に返された連中だ。
「にしても・・・支配」
中華國本土の霊廟の地下1000階層。そこには迷宮格が存在していた。まさかこんなところに潜伏施設があるとは思いもしなかったが予想外の成果が上がった。その一つがユーラシア大陸の面積およそ4分の1。その中には一切被害を出していない国もあり超大量のDPを生む機関と化している。
「イベント終了後だな」
グルカルトへと凱旋するのは。




